さて、今度はゼノヴィアの番……なんだが。本人は特に何処かに行きたいという訳でもないので、街を軽く歩きまわってみる事になった。なんだかんだで決まったところしか行かないから、この街にあまり詳しくないんだよな。
ゼノヴィアの格好は……なんて言うかそこら辺の男よりも男らしいんだよな。ごちゃごちゃと考えない性格もそれに拍車をかけているらしい。いわゆる男装の似合う女子って感じかな?
「そう言えばゼノヴィアとこうやって2人きりで歩いた事はなかったな」
「そうですね。……何時もは誰かが傍にいたので話に悩む事もなかったんですけどね」
「……って言うか、お前はいつまで敬語なんだよ。家族に対して敬語なんて使う奴はいないだろ。普通に喋っていいんだぞ?」
「ああ……なんて言うか癖だな。止めようとは思っても教会時代にお世話になったのが抜けきれなくて」
「まあ別段急かしてる訳じゃないから、ゆっくりやってけば良いんだが……なんて言うかむず痒くてな。俺はそこまで大仰な事をやっていないのに、敬語を使われるってのはちょっと、な」
「そんな事を普通じゃない人に言われても……」
「普通じゃないのは重々承知しているさ。それでも遜られるような事をしているつもりはない」
「世界の創造と新しい命を創りだした人の言う事ではないと思う。それにあれだけの人員を持ってしてもできない事を1人でこなしてしまうし……規格外にも程があるのでは?」
「規格外ねぇ……昔から言われ慣れてるから特に言うつもりはないんだが、すべて神滅具の力だからさ。俺個人の力はさほどだよ」
「神滅具、ですか……この間の一件もやはり
「邪龍の復活……ユークリッド・ルキフグス……魔法使い派……吸血鬼……聖杯。まあ十中八九関係しているだろう。その点に関して俺がごちゃごちゃと何かを言うわけにはいかないがな」
つい先日、駒王学園を
連絡を受けた俺はソーナさんたちと共にはぐれ魔法使いを潰しに行った。そして1番奥にいたのは亡くなった筈のグレイフィアさんの弟ーーーーユークリッド・ルキフグスだった。そして召喚されたのが初代ベオウルフによって倒された
圧倒的なまでの膂力と神龍の固有能力、それに
他の龍が戦おうとしない意味がよく分かった。あいつみたいな奴の相手をするのは面倒すぎる。どれだけダメージを与えても向かってくる。しかも鱗はやたらと硬いから神器化する事も出来ない。無駄にしぶとくて大変だった。……つってもこれからもいろいろと関わる事になるんだろうが。ああ、憂鬱だぜ。
「まあ、今は気にしなくても良いだろ。俺らはアザゼルが帰ってきた時に、朗報が来るのを期待して待ってるぐらいしかできる事ないからな」
「そんな呑気な……」
「ゼノヴィアの言うとおりですね。もう少し真面目にしたらどうなんです?」
「そんな事を言われましてもねぇ……これが俺の基本思想なんでどうとも出来ませんよ。それにしても後ろから急に話しかけてくるなんて趣味が悪くありませんか?ーーーーシスター・グリゼルダ」
俺たちが後ろを振り返ると、そこにはシスター・グリゼルダとデュリオ、それに黒い犬を連れた黒髪の青年が立っていた。クイーン・オブ・ハートにジョーカーをスケットに寄越すとは……大盤振る舞いだな。教会はさ。俺が視線を向けている事に気がついたのか黒髪の青年が自己紹介してきた。
「初めまして。幾瀬鳶尾です。堕天使側のスケットで来ました。この子は刃って言います。よろしくお願いします、赤龍帝殿」
「堕天使側のスケット?……まさかあなたが
「
「堕天使側にある唯一の
独立具現型の
「ちょうど創生龍殿のところに挨拶に行く途中だったのですが……2人は何をしているのですか?」
「デートに近い散歩ですかね。という事はそうか……御三方もここに滞在するという事か。ゼノヴィアも大変だな。あんまり怒られないようにしないといけないな」
「そんな他人事だと思って……」
「まあ実際他人事だけどな。しかし高神くんのところに行く、か。どうする?ゼノヴィア。このままだとただぶらついただけになるけど」
「そうですね……私たちも付いていって良いかな?」
「構いませんよ。私としてもあなたと話したい事もたくさんありますからね」
「あ、そうだ。ゼノヴィア、ちょっと待て」
「はい?……これは?」
「サファイアを使った腕輪だ。放っておくと忘れそうだからな。渡しておいた方が良いだろ。……これからも末長くよろしく頼むぞ?俺の愛しい
「……イエス。マイロード」