八神が泣き終わるのを待ちながら、ちょっと考え事をしていた。
(お礼を言われるなんざいつ以来かな……?)
人は大抵、俺の力を見れば恐怖する。そりゃ、人間だとは全く思えない姿に力を使えば怖がられるだろうさ。そういう姿をずっと見続けてきただけあって、人に礼を言われる機会なんてなかった。
「こんな力が役立つ日が来るなんてな……」
「え?何か言うた?」
「いや。それでお前はもう大丈夫なのか?歩けるようになったとはいえ、リハビリなんかは必要だぞ?筋肉が衰えているからな」
「それくらいは分かっとるよ。こんだけやって貰ったんやで?それくらいは当然の事や」
「そう……。それで八神、お前の言ってた変な本ってのは」
この反応は……チィッ!もうちょっとタイミングを考えろよ!間が悪すぎるだろ!
「……?どないしたん?」
「悪い、八神。ちょっと用事ができた。この話はまた今度だ」
「あ、そうなん?分かった。気ぃつけてな」
「おう。それじゃあ
「……うん!」
八神の家を出ると、反応の発信源である港に向かった。しかしまたな、か。我ながら柄でもないことを言ったものだな。
『そういう割には昂ぶっているみたいだな?相棒』
「そんなことはわざわざ言わなくても良いんだよ。……まあお前の言うとおり今の俺は酷く気分がいい。今なら今まで以上に力を引き出す事もできそうだ」
『ほう。それは僥倖だな』
「まあ、な!ーーーー
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
ああ、ああ、心地良い。最早今となっては滅多に感じないほどに心が昂ぶって身体に力が満ち満ちている。何処かの神話体系に喧嘩を売っても良いくらいだ。しないが。
港に着くと、ちょうど封印し終えたらしく、何かを二人で話し合っていた。どうやらこのジュエルシードを賭けて戦うらしい。ちゃんと前の事も留意している様で安心した。そして2人がぶつかり合った瞬間
「ストップだ!ここでのこれ以上の戦闘は危険過ぎる!」
見事に空気の読めていない輩が現れた。見てたんなら最初から出て来いよ。因みに俺はジュエルシードを握っていた。勝った方に渡すつもりだったんだが……
「管理局!?逃げるよフェイト!ジュエルシードは……」
「おい、狼」
「なっ!?あんた……ってこれはジュエルシード!」
「それを持ってここから去れ。あの空気の読めていない奴は俺が対処する」
「……どういうつもりだい?」
「ここは俺の管理する場所だ。そんな所で好き勝手やってもらう訳にはいかない」
「それに貴様は使い魔だろう?それなら自分の主人位、守ってみせろ」
「……いわれずとも!」
「逃がすか!スティンガー……」
「お前は邪魔だ」
「くっ!?」
あいつらは……無事に離脱したか。
「貴様どういうつもりだ!公務執行妨害だぞ」
「黙れ不法侵入者。お前の方がよっぽど罪を侵しているだろうが。誰の許可を得てここにいる?」
「犯罪者を擁護するなど、あってはならない事だ!」
「あいつらはこの件を迅速に終わらせる為に動いていただけだ。貴様に攻撃されるいわれなど無い。そもそも貴様、遅れてきておいて何様のつもりだ?」
「それは……だが君に邪魔をされる理由もないだろう!?」
「ここは俺の管理する土地だ。貴様らのような外部の人間にいてもらっては困るんだよ」
「この世界には魔法技術など無いはずだぞ!」
「自分達の理屈を押し付けないで貰いたい。というか、貴様じゃ話にならん。責任者を連れてこい。さもなければ……宇宙にあるあの船、落とすぞ?」
「なっ!」
『待ってください!』
「貴女は?」
『管理局所属次元航空艦アースラの艦長リンディ・ハラオウンです。お話をお聞かせ願いたいので私達の船に来てもらえませんか?』
「……分かりました。良いでしょう。君たちはどうする?高町なのは、ユーノ・スクライア」
「ぼ、僕も行きます!」
「わ、私も!」
「という事ですので」
『分かっています。此方もそのつもりでしたので。それじゃあクロノ』
「……分かりました」
そう言うと空気の読めていない奴は杖……デバイスか?を振るって魔法陣を展開した。そして光に包まれたと思ったら、俺たちは艦の中に転移した。