リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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八舞回。ようやく自分でもよく分からないデートシリーズが終わった……。自分、我慢しきれなくなってまだ入ってすらいないのに最終決戦を書き出しています。やっべ、どんだけ我慢弱いんだ。出来る限り練っていきたいので、おそらく今までで1番長くなる可能性大。

まあ、それは置いとくして……それでは、どうぞ!


閑話 八舞と……

 

 

最後に八舞の番となったわけなのだが。今度は何処に行くのかと思ったら、そもそも日本ではなかった。俺たちが向かったのは俺と八舞が初めて会った場所だった。名前も知らない広原。そこが初めて俺たちが出会った場所であり、俺たちが戦った場所だった。

 

「……懐かしいな。ここに来たのは。大体十年ぶりか」

 

「そうですね。マスターと初めて出会った場所であり、初めて戦った場所であり、忠誠を誓った場所です」

 

八舞は世界が融合した影響で誕生した精霊。より人間に近しい性質を持っている世界でたった1人の存在だ。しかしそうか……もう十年も経つのか。時の流れとは早いものだ。

 

あの頃ーーーー当時7歳だった俺は特に行くあてもなく世界中を放浪していた。いろんな神話勢力を訪れていたとは言っても、殆ど無気力に近かった。ただやった事がないからやってみようレベルの試みだったのだ。そんな時、とある街である噂を聞いた。曰く、暴風が吹き荒れ、まったく風が引かない場所に1人の美しい女性を見たという話だ。

 

自分でもよく分からないが、もし本当にそんな存在がいるのなら、一目見てみるのも良いかもしれないと思った俺はその人に場所を訊いて行ってみる事にした。その場所に行ってみると、確かに暴風が吹き荒れていた。そこで風に魔力のような物を感じた俺はそのまま突っ込んで行った。その時から使っていた防御術式は己に対する害意があれば、勝手に防いでいく。

 

八つ当たりのように放たれていただけに風は防がれた。そのまま進んでいくと、虚空を苛立たしげに眺めていた1人の精霊がいた。無論見に来ただけだった俺はすぐさまその場を後にしようとした。そこで膨大な魔力を感じたので振り返ってみると、一本の巨大な槍を創り出していた。それが放たれ、俺は左手で受け止めた。そして思いっきり握り締めた。

 

夢幻によって肉体を創られた俺はすべての意識の総体。幼い頃の俺は力のほぼ全てを最高の状態で固定していた。わざわざ調節するよりも、固定しておいた方が圧倒的な差を理解させるのが簡単だったからだ。ともかく、そんな状態で握り締められた槍は粉々に砕け散った。

 

それに驚愕していた八舞に対して俺が取った行動は一つだけ。左腕を凪ぐように動かしただけだ。魔力が膨大すぎた故に、その一撃は如何なる防御も突破し如何なる攻撃も破壊する一撃となっていた。ならば残された選択肢は回避のみだ。しかしその一撃は速すぎた。

 

八舞からすれば何か攻撃を放たれたと思ったら、とんでもない衝撃が意識を刈り取ったのだ。それは驚いた事だろう。俺はやった後にやりすぎたと思ったが。そこから暫く看護なんかをして俺に仕えたいと言った八舞に座を与えた。これが十年前の出来事だったのだ。

 

一誠side out

 

八舞side

 

十年前、私は気付けばこんな場所にいた。私の同類と呼ばれる存在どころか、訳の分からない者たちが沢山いる世界にだ。混乱しきり、もう戻れないのだと諦観していたある日。私はマスターに出会った。

 

ほんの小さな子供が私の張っていた結界を突破してきた。それだけでも十分驚きだったのだが、消そうと思った私が放った天を駆けるもの(エル・カナフ)颶風騎士(ラファエル)を意図もたやすく掴んで破壊したことだ。それに動揺して隙を見せてしまい、よく分からない一撃で打倒された。

 

その強さに惚れた。そして少しの間だけだったが、共にいて傍にいたいと願った。そして刻まれたのが栄光(ホド)(セフィラー)。これを刻まれた時、私は世界中のどんな存在よりも満たされていた。私が精霊界に戻ってしまう事になり、一度別れてしまったがまたこうやって共にあれる事が何よりも嬉しい。私たちの生活を守るために強くありたい。この至福の時を失いたくない。

 

そのために……聖槍十三騎士団首領ラインハルト・アルゾフ・ハーデンが宣告した怒りの日(ディエス・イレ)を生き残る。聖槍十三騎士団を打倒してまた陽だまりに帰る。それだけが私の望み。それを叶えるためなら何でもしましょう。全ては愛しい陽だまりの為に。

 

八舞side out

 

一誠side

 

草が生えている地面に寝っ転がって、空を見上げた。雲一つない大空。何処までも広がる蒼穹の彼方へと手を伸ばす。もちろんそこには何もない。その握り締めた拳を胸に当てた。そこに確かにある何かを感じとりながら、八舞に視線を向けた。俺と同じように寝っ転がり……否、俺の右腕を枕にして眠っていた。

 

俺の初めての臣下。別れていた時間はあるけど、俺が1番頼りにしている存在。シエナと同じくらい迷惑をかけていると思っている。俺の眷属の中でも三指に入る実力者であり、眷属をまとめ上げている。俺はそっと右腕を抜いて八舞の左手の中指に翠色の綺麗なエメラルドの指輪を嵌めた。そしてそっと抱き締めて額に軽くキスをして呟いた。

 

「大好きだ。これからもよろしくな」

 

そう言って眠りについた俺の耳に微かに声が聞こえてきた。それが夢だったのか現実だったのかは本人にしか分からないだろう。

 

「……私もです。あなたの事を永遠にお慕いいたします。愛する我がマスター、一誠」

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