もちろんただで持っていった訳じゃなく、交渉して貰っていった。その結果、
そして聖王教会との対談が数日後に控えた今日、俺はいつも通り仕事をしていた。そんな時にヴァーリがやって来た。
「……お前は何か話があるからここにいるんじゃないのか?ヴァーリ」
「ふっ。まあ、良いじゃないか。そんなに切羽詰まっている訳じゃない。ゆっくりしてから話すさ」
「はぁ……まあ、別に良いんだけどさ」
「そう言えば
「元々、
それでも3人いれば十分だろう。それ以上いても爆弾になるだけだからな。それに彼は人間だ。という事は齢百いくかいかないかという者に執着する気はない」
「なるほどな。そういう勝つのを当たり前と思っているのは君らしいな。みすみす負けるつもりはないがな。……ところで、一つ訊いても良いかな?」
「なんだ」
「……どうして眼帯なんてしているんだ?君が病気を患うとは思えないし、たとえ患ったとしてもすぐに治せるだろう」
「……言っておくが、これは眼帯じゃなくてアイマスクだ。
「それなら別に構わないんだ。変な言い訳をされても困るからな」
「はっ!ほざけ。……そう言えば、お前他の面子は如何したんだ?」
「……ヴァーリチームは解散したんだ。美猴は初代に捕まったし、力が弱くなった以上テロ活動に参加できなくなった加那はグレモリー眷属の所に行った。ルフェイはそちらに頼んだだろう?その時にフェンリルとゴグマゴクもついて行った。アーサーはとある老人の所に行った。なんでもすべてを切り裂く事のできる流派の師範代らしい」
「ふーん……まあ、そういう流れだったって事か。それで結局お前は何の話を訊きに来たんだ?」
「一つはラインハルトに対する対策だ。君が京都の一件から何処かーーーーおそらくは次元の狭間ーーーーに行っていた事は知っている。そこでおそらく何かしらの修行をしていた筈だ。そしてこれは勘だが、それはラインハルトに対する何かしらの力を得る為だと睨んでいる。違うか?」
「……お前の直感が鋭すぎて気持ち悪い。まあ良いけど。取り敢えず答えは『YES』だ。前にお前にカバラ思想の話をしたのを覚えてるか?」
「グレートレッドと接触した時だろう?覚えているが……それが如何かしたのか?」
「覚えてるならいい。前に言ったとおり、カバラ思想というのは活動・形成・創造・流出の位階が人にはあるという物だ。そこでこれを人間に喩える。
まず活動位階。大体の人間、つまり一般人はこの位階にいる。己の渇望が何なのかをちゃんと認識していない状態だ。
次に形成位階。異能の力を持った奴は大体この位階にいる。ここまで行けば大体は超人だな。今のお前がちょうどこの辺りにいる。何でかって?神器という物が所持者の渇望によって顕現するからだ。取り敢えず黙って話を聞け。
次に創造位階。お前も見た事があるだろうが自分の渇望を更に昇華させ、世界に影響を与える段階の事だ。この位階に辿り着くには二つの手法がある。まず一つ目はラインハルトと同じように魂を集める事。そして二つ目は自分の渇望を正しく認識する事だ。これによってブーストをかけて魂の位階を押し上げる」
「……整理するからちょっと待ってくれ。魂を昇華させるというのは如何いう事なんだ?」
「それぞれの位階には異なった壁が存在する。活動から形成に至るにはまず渇望を形にしなければならない。要領的には神器持ちが神器を認識するのと同じだ。創造は……そうだな。普通の状態から
そして最後に流出位階。これが最も重要だ。創造によって形にした渇望を己の内から溢れ出させる。世界を包み込める程の領域まで、な。此処まで至った者はこう呼ばれるーーーー覇道神とな」
「覇道神……そう言えばあの時、『求道よりの覇道』と言っていたな?それは如何いう意味なんだ?」
「人の渇望は大体、二種類に分けられる。それが『求道』と『覇道』だ。『〜でありたい』と思うのが求道。分かりやすく言えば赤龍帝はこれにあたる。上へ、さらに上へと登り続けて最強という座を求めて高め続けるのが求道。
逆に『〜になりたい』というのが覇道だ。こっちは
「ああ。……だが、どうやってそこまで至れば良いんだ?」
「さっきも言ったが自分の本当の渇望を見つけるか、あるいは人を殺し続ける事で力を得るか。二つに一つだ。前者の方が伸びは良いんだがな……渇望が日常的な物であったり、認めたくない物の場合もある。後一年で何とかするしかないだろうがな。それで、まだなんかあんのか?」
「ああ……実は」
ヴァーリがそう言った瞬間に店のドアが開いた。まだヴァーリが張った人払いの結界は機能しているのに、一体誰が?と思ったら俺にとっては懐かしくされど意外な相手がやって来た。
「……いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「4人で。出来ればカウンターが良いんですが……出来ますよね?」
「……少々お待ちください。ヴァーリ、悪いがちょっとずれろ」
「ん?分かった。……彼女たちとは知り合いなのか?」
「ん〜……まあ、一応知り合いと言えば知り合いだな。そこまで深くは知らないんだけど」
目の前にいるのは茶髪、蒼髮、銀髪、金髪とカラフルすぎるだろ集団の女性たち。ヴァーリを視界に入れると、それぞれ自己紹介をし始めた。
「初めまして。私、シュテル・スタークスと申します。以後、お見知り置きを」
「レヴィ・ラッセルだよ!よろしく!」
「ディアーチェ・
「ユーリ・エーベルヴァインです!よろしくお願いします」
「ヴァーリ・ルシファーだ。よろしく頼む。それでどうやって此処まで来たんだ?」
「ヴァーリ、お前アザゼルから魔導士の存在は訊いているか?」
「異世界の魔法を使う連中の事だろう?確か……リンカーコアとやらで魔力を精製してデバイスとか言う道具で魔法を行使するとか」
「この4人……いや、3人か。はその魔導士だ。それとヴァーリ、人払いの結界はそこに行くという意思が強ければ効かないよ。俺たちが寸前まで認識出来なかったのは……認識阻害でも使ってたんだろ」
「ご明察です。私たちが此処に来たのは、エトルリアの復興作業がほぼ終わってする事がなくなったからなんです」
「エトルリア?何処だそれは」
「異世界の名前。もはや滅びを待つだけだった世界ーーーーだったんだがな。もう終わったのか。俺はもっとこう……百年単位でかかるのかと思ってたんだが」
「予想以上に貴様が与えた恩恵は大きかった、というわけだ。今では怯える事など何もない豊かな世界になっている。アミタやキリエ、それに博士は本当に感謝している。礼を言っておくように言われたほどだからな」
「どういたしまして、と言っておこう。……それでヴァーリ、話ってのはなんだ?」
「あ、その前に注文良いですか?」
「ちょっと待ってろ。……それでどれにいたしますか?」
「これとこれとこれ。後は……あ、これもお願いします」
「かしこまりました」
出端を挫かれ続けているが、気にせずにおこう。ヴァーリが拳を握りしめて震えているところなんて俺は見ていない。だから気にしないように……さっさと仕事を済ませよう。その気概で調理を済ませてようやく話に移れた。
「ミッドチルダへの行き方が分からないから座標を教えて欲しい?」
「ああ。修行の方向性が見えたのは良いんだが、ミッドチルダへの行き方が分からないんだ。ラインハルトが君に聞くように言っていたから君は知っているんだろうと思ったんだが」
「……知っている事には知っている。だがお前、一体どうするつもりだ?俺は後ろ楯を作る事は出来るが、お前何の繋がりもないだろう」
「それに関してはとある科学者から誘われているんだ。それで直接会うことになったんだが……」
「場所がミッドチルダだったから困っていると。相分かった。……これがミッドチルダの座標だ。一年後を楽しみにしてるぞ」
「期待には応えるさ。それじゃあ、感謝する」
ヴァーリがそう言って店を出ていった。ため息をつきつつ、皿を片付けていると視線を感じたので視線を向けると4人がこちらをすごい形相で睨んでいた。正直怖い。思わず身を引いてしまった。
「……何?」
「一年後、一体何があるんですか?そこらへん、詳しく教えて欲しいものですね」
「はぁ……戦いだよ。三つ巴の戦争。その為に必要な要素を教えていただけだ。まあ、眷属ではない以上お前らを巻き込むことはないよ」
「それなら眷属にしてください」
「……はぁ?お前、何言ってるのか分かってんのか?眷属になるって事は、生涯俺から離れられなくなるってことだ。それを分かって言ってんのか?」
「何も思い付きで言っている訳ではありません。あの時、あなたに新しい生を貰った時からあなたの事が気になっていました。それを復興作業の忙しさにかまけて考えないようにしていましたが……はっきりと分かりました。少なくとも私はあなたに惹かれているのだと。あなたの傍にいたいのだと」
「……お前らは?って言うまでもないか。しばらく考えさせろ。聖王教会との対談が数日後に控えてるんだ。今はそっちに集中したいんでな」
「はい。色良い返事を待っていますね」
……まあ、正直な話だが考えるまでもないだろう。こうもはっきりと好意を示されて嫌になる奴はそうそういないだろう。この4人が入れば隠れたセフィラーであるダアトも含めて11個すべての座が埋まる。準備も整う。戦力としては申し分もないしな。はあ……これからいろいろと大変だな。