一誠の仕事は多岐に渡る。例えば聖王のゆりかごの調査をしたりする事だ。そして今日は新界と呼ばれる一誠によって生み出された者たちが暮らす世界で政治ーーーーには関わらないようにしているので民の生活で不満なところはないか聞いてまわったりしている。
不満が出る事はやはりあるし、それを言っておく事を忘れない。まだ六年程しか続いていないのだから、口うるさく言うのも憚れるのでそこまで強く言っている訳ではないのだが。ここで暮らすのは悪魔・天使・堕天使を始めとして、様々な種類の人外種が訪れている。人間と交わった所謂ハーフと呼ばれる種でも喜んで受け入れている。
ここで暮らしている中には極端な例だがドラゴンもいる。タンニーンのところで貰ってきたドラゴンアップルの種を量産して育てる事でこの世界のドラゴンに売り、余ればタンニーンの領地で暮らしているドラゴンたちにも輸出している。タンニーンのところでやっている研究者たちと提携してより量産出来ないか、日夜研究は続いている。
悪ささえしなければ、此処では魔獣も暮らす事が出来る。たまに領民と一緒にいるケルベロスを見たりする。裏に関連したりする者の中でここで法律を守れるのなら、誰でも入れる。人間でも、だ。まあ、いるとしても魔法使いぐらいだが。
魔法使いの中にはここで研究している者もいる。代表的な例が
「面白いか?ヴィヴィオ」
「うん!あ、あれ欲しい!」
「はいはい。商品は逃げたりしないから慌てなくても大丈夫だぞ。えーっと、これ一つください」
「はい!毎度ありがとうございます!」
今日は暇を持て余していたヴィヴィオと一緒に視察の真っ最中だ。ここの通貨はこの世界独自の物を使用している。入る時は門番のところで両替出来るし、要所要所では両替機が置いてあるので今の所は問題ないようで何よりだ。
やはり都市部は賑やかだな。都市部ではない農業区画や工場区画が賑やかじゃないというわけじゃないが、やはりこちらの方が賑やかだ。この世界は地球をベースに創られている為、海もあるし草原もあるし北極や南極もある。ぶっちゃけ殆どコピーした物を創り上げたに等しい。
創生龍の記憶の中には地球が誕生した時の記憶があった。ある意味で原点の地球。それがこの新界。
そんな事を考えながら街を歩いていると、なんか後ろから誰かが走ってくるような音が聞こえたので振り返ってみた。そしたらなんかガチャガチャと鎧の音を響かせて俺に向かって走ってくる1人の天使がいた。
「……何か用か?」
「ハァハァ……
「い・や・だ。俺は内政には干渉しない。そういう風に決めたんだから、俺は神殿まで行く気なんてないよ」
「それは存じております。御令嬢と共に兵士たちに激励の一つでも戴ければと思いまして……無理でしょうか?」
「うーん……ヴィヴィオ、お前はどうしたい?」
「んーっと、行ってみたい!」
「そっか……それじゃあ行くわ。神殿の中にある闘技場に行けば良いのか?」
「あ、はい!ありがとうございます!」
「……今、誰がいるんだ?」
「えっと、ルシフェル様とサタン様です」
少し時は経過し……
「どうしてこんな事になってるんだろうな……」
「考え事とは余裕だな!」
「ふっふーん!負けないからね!」
闘技場に到着した瞬間にいきなり引っ張りこまれて戦いを強要された俺でした。観客席には多数の民衆。VIP席にはミーシャとオーフィス。ミーシャの膝の上にヴィヴィオが座っていた。オーフィスとは仲が良いようで何よりだ。
片手に
「それでは両者準備は良いですか?」
「構わない」
「こっちもOKだよ」
「それでは……試合、開始!」
先制決めてきたのはやはりと言うか、ルシフェルだった。アリファールと光刃が激突し、光が辺り一帯を包み込む。サタンがその光を漆黒の光で相殺しつつ、炎・風・雷を混ぜ合わせた『トライスピア』を放つ。シャランッという軽快な音ともに光が放たれ、トライスピアを破壊した。
「ん……ちゃんと成長しているようで何よりだ。とはいえ、まだまだ甘いかな?」
「
「これは……ちょっとヤバイんじゃない?」
「ちょっと処の騒ぎではないぞ。なんだこの圧迫感は……?」
「これが
「それは……」
「上等!」
「彼方より来たれ、黄金の旋風。すべてを穿つ緑色の光槍よ。その輝きを持って我が眼前に立ち塞がる者を打倒せよ!」
「ッ!サタン!」
「分かっている!……すべてを阻みし暗黒の煌めきよ。我を害する物を喰らい尽くせ!」
緑色の光の槍と漆黒の光の盾が激突する。凄まじい衝撃がフィールドを包み込み、一時的に視界を封じる。その間にルシフェルが突っ込んでくる思いっきり風を生じさせる事で相手を思いっきり吹き飛ばす。そして
「兵藤流ーーーー1の絶技。『
超高速で放たれる八回連続の斬撃。刃の部分で斬るわけにはいかないから、腹の部分で腹部や肩を殴打して痺れさせた。それを瞬く間に放ち持っていた剣や杖を落とさせたところで試合終了となった。
そこから俺とヴィヴィオは家に帰ったのだが、道中でヴィヴィオにあの技の特徴を言い当てられた。あの技には勿論高速で腕を動かす必要があるのだが、1番の特徴は足運びにある。八つの首を持つ蛇のように八通りの歩法があり、それを交互に組み合わせる事によって約40320通りの技の組み合わせ方がある。
まあ、そもそも兵藤流という物ができてそんなに時間が経っていない流派だからそんなに放った事がない。所詮は俺の今までの経験から生み出された技であるが故に、改良すべき点は山ほどあるに違いないが。
「ヴィヴィオ、今日は楽しかったか?」
「うん!楽しかった!」
「そっか。そりゃ良かった」
まあ、今日はヴィヴィオも楽しめたようだし良しとするか。そう思いながら帰路につく俺とヴィヴィオだった。