リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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休日のお客様

 

 

先日からどうもアキトが俺に鍛えてほしいと頼みこんでくる今日この頃。珍しく仕事もなく、かと言って家には誰もいないーーーーヴィヴィオを連れて買い物に行ったからーーーーので適当に買い物をして帰って来ると、店の前に誰かが立っていた。

 

「どうかされましたか?」

 

「ああ、すまねえ。ちょっと訊きたいんだが……今日はこの店休みなのか?」

 

「はい、一応はそうですね。……軽い賄い程度で宜しければ何か作りましょうか?」

 

「いや、この辺でコーヒーが美味い喫茶店があるって聞いたから来たんだが……そっか、休みか。邪魔したな、兄ちゃん」

 

「お茶をしに来ただけなら直ぐにでも用意出来ますよ?それにせっかく此処までいらしたんですからゆっくりして行ってください」

 

「……そうか?悪いな。それじゃあ頼むわ」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

店の中を軽くだが片付けてカウンターに案内した。おやつにでもしようかと考えていたショートケーキと店長オリジナルブレンドと銘打ったコーヒーを出した。来たのは2人のお客様はゲンヤ・ナカジマさんとクイント・ナカジマさん。2人とも陸士部隊にいるらしく、ゲンヤさんはリンカーコア保有者ではないが部隊長を務めているほどの人らしい。

 

「魔導士の数が少ない地上部隊で働くのは相当大変でしょう?お疲れ様です」

 

「ありがとよ。にしても、お前さん一体何歳だ?正直20歳超えてます、って言われても俺は驚かないぞ」

 

「19ですよ。それにしてもお2人とも仲睦まじいようでなによりです。おかわりは如何ですか?」

 

「ありがどう♪綺麗なお店よね、ここ。コーヒーも美味しいし私は気に入ったわ」

 

「ありがとうございます。とは言っても、俺は普段はここにはいませんので……」

 

「そうなのか……まあ、いいや。ご馳走さん。そろそろ時間だし、会計頼むわ」

 

「かしこまりました。……またのご来店、お待ちしております」

 

ナカジマ夫妻が店を出ていくと、俺は片付けを始めた。ナカジマ、ね……先祖に地球出身の人がいたとかいう話だったけど、世界は狭いものだな。片付けも終わり、まったりしているところにアキトが帰ってきた。

 

アキトは年齢的には10歳。なのでグラシア……カリムさんに頼んでザンクトヒルデ学院に編入させたのだ。友達がいないわけではないのだが、周りにいるのがいけすかない連中ばかりで面倒くさいらしい。着替えて戻ってくると菓子を要求してきたので、クッキーとオレンジジュースを出しておいた。

 

そんな風にまったりしていると、何やら竹刀袋を肩にかけたお嬢さんが入ってきた。俺は知らなかったんだが、和菓子の特訓をしているアイリスが試食の相手をしてもらっていたらしい。たまにアキトやヴィヴィオの相手もしてもらっているらしい。

 

「あ、ミカヤ姉だ。久しぶり」

 

「お久しぶり、アキトくん。ところでアイリスさんたちは?」

 

「んーっと、買い物に出かけてるんだよな?親父」

 

「ああ。初めまして。アキトとヴィヴィオの父親の兵藤一誠です。よろしく」

 

「ミカヤ・シェベルです。よろしくお願いします。しかし、アイリスさんいないんですか。それじゃあ私は失礼します。お邪魔しました」

 

「え?別に食べていけば良いんじゃないか?和菓子ぐらいなら用意できるし。アキトも食べるか?」

 

「食べる!」

 

「ハハハッ。了解。それじゃあ席について待っててくれ」

 

厨房に引っ込んで和菓子作りに入った。それから十数分後、あとは餡子を詰めるだけになりそこまでいってお茶を出し忘れていたのに気がついたので紅茶をだした。そして数分してから出した和菓子は某青い自称猫型ロボットの大好物ーーーーどら焼きだ。

 

「え〜……どら焼きかよ」

 

「やかましい。もらう側の分際で何を言ってるんだ。……お待たせしました。はい、召し上がれ」

 

「えっと、それじゃあ……戴きます」

 

俺も茶の準備をしていると、ミカヤちゃんが何やら驚いたような顔で口を押さえつつこっちを見ていた。何か変な物でも入ってたのかな?と思ったが、どうやらそういう事でもないようだ。

 

「……美味しい。美味しいですね、この……えっと」

 

「どら焼き、だよ。ミカヤ姉。それにしてもなんでアイリス母さんの作るどら焼きと親父のどら焼きはこんなに味が違うんだ?」

 

「まあ、まだまだ負けねえよ。ここの店で出てるメニューは全部俺が作れる物ばっかりだし、作り方だって全部俺が教えたんだからな。当然さ」

 

「ふ〜ん……それでミカヤ姉は今まで何してんたんだ?あのインターミドルって奴の練習か?」

 

「うん、まあね。これでも天瞳流の門下生としてできる限り恥を見せないようにしたいし、ベストは尽くすさ」

 

ミカヤちゃんが誇らしげにそう言うと、アキトがこっちの事を半ば睨み気味で見つめてきた。どうせ自分にも兵藤流の技を教えてほしいって言うつもりなんだろう。ミカヤちゃんはどら焼きを食べ終えるとお礼を言って帰っていった。

 

「……そんな目で見ても俺は教えてやらん。俺のはあまり人に使う類の技ではないからな。少なくとも、インターミドル・チャンピオンシップだったっけ?そういう格闘戦技を競うような場所で使うなら尚更だ」

 

「別にインターミドルに出たいなんて思ってないけどさ。俺は強くなりたいんだよ。魔法だけじゃ足りないんだ。もっともっと強くなりたい。自分の手の届く範囲の人たちを、ヴィヴィを守りきれるような男になりたいんだ」

 

「それならなんで俺なんだ?魔導士としての戦い方ならディアーチェたちがいるし、徒手格闘ならアイリスがいる。別に俺でなくても構わないだろ?」

 

「俺だってそう思ってたさ。でも、俺はどんな場所だろうがどんな相手だろうが負けない力が欲しい。そう言ったら皆、なら親父を頼れって……」

 

あいつらは……まあ、確かにそういう事なら兵藤流の技を使った方が速いな。でも兵藤流は人殺しをしてきた物が自らの技を集約させて作った技の数々だ。危険度なんて洒落にならないほどに高い。だからこそ、教えたくないんだけどな……。

 

「あ〜、もう分かった!初歩の初歩ーーーー技だけなら教えてやるよ。でもそこからは自分でなんとかしろよ?猿真似するだけなら誰でも出来る。でもそこから自分流の物を作るのは本当に難しいんだ。それでも……やるのか?」

 

「愚問だぜ、親父。俺はいざって時に力がなかったなんて嘆きたくはないんだ。未来の心配を今したってしょうがないんだ。それなら俺は、今俺に出来る事をやりたいんだ!」

 

「……そうかい。今度の休みから教えてやるからそれまでは体力つける為にランニングとか筋力トレーニングとかしとけよ」

 

「ああ!親父に目にものを見せてやるからな!覚悟しとけよ!」

 

「はいはい……」

 

自分の手の届く範囲の人たちを守りたい、か……素晴らしい願いだとは思うけど、そういう願いを抱く者に限って嫌な現実を叩きつけられる。それならせめて、どうにかしてやるのが俺の役割か。これからいろいろと大変そうだな。

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