リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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VS黒円卓第六位

 

 

右手を吹き飛ばした相手はすぐさま退却していった。それを認識すると幽世の聖杯(セフィロト・グラール)と肉体の再生能力を使って手早く治療して、近づいてくるガジェット共を纏めて薙ぎ払った。そして落ちた血肉を焼き払ったところで一息つくと、改めてティアナ・ランスターを見下ろした。そうするとビクッと肩を震わせていた。

 

「……俺自身、こういう事はあんまり言いたかないんだけどさ。軍隊において命令を聞けない奴は要らないんだよ。要らん事をする余裕があるなら自分に出来る事を出来る範囲でこなせよ。俺だったから良かったが、仲間が怪我したらどうすんだ?」

 

「待ってください!今のはその……そう、コンビネーションの一環で……」

 

「へぇ。わざわざ重傷を負うようなコンビネーションがあるのか?相棒の事を庇いたくなる気持ちは分かるが、お前がやってる事は庇ってるんじゃない。甘えさせてるだけだ。……まあ、そこまで言う権利は俺にはないから後はそこにいる副隊長殿に任せるとするか。それじゃあな」

 

なんか言ってきたヴィータを放置して空に飛ぶと、また何かが飛んできた。見えていたらなんだか躱すぐらい簡単なんだけど、さっきのは完全な不意打ちだった。まさか俺に当てるんじゃなくて、魔力弾にぶつけて炸裂させるとは思わなかった。命中率高すぎるだろ。俺もあんな芸当できやしないぞ。複数の弾殻を破砕する事で連続で衝撃を与えて籠手の防御力を脆くした後に、本命の炸裂弾でダメージを与える……遠距離型でここまでやるとは中々に面倒だ。

 

カウンター気味に一撃返してやった。……チッ、逃げられたか。右手にまだ少し痛みが奔っている。斬られたり、弾丸で貫かれたりした傷はすぐ治って痛みも失くなるんだが爆発とかで吹き飛んだりした傷は治るのが少し遅いし、治っても少し痛みが奔る。原理はよく分からないんだが今はそんな事を考えていても仕方がない。

 

後ろから向かってきた魔法の嵐を凌ぎきり、そこに立っている女を見つけた。あれは確か冥界であった魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の騒ぎの時にいたっていう……

 

「はぁ〜い。初めまして、赤龍帝くん?知っているとは思うけど一応名乗っておくわね。聖槍十三騎士団黒円卓第六位、セアラ・アタナシスよ。よろしく」

 

「赤龍帝、兵藤一誠だ。しかし、驚いた。まさかあれだけ精密な攻撃をしてくるとは思わなかったよ。いくら君が高位の魔術師だったとしても、ね」

 

「ふふっ、ありがとう。と言わせてもらうわ。私としては賛辞をもらうよりも見逃してもらいたいところなんだけどね。まさかたったあれだけで位置がバレるとは思わなかったわ」

 

「飛来物、しかも既に掴まれている魔力弾の破壊。それに感知式の固定式の魔力スフィアによる奇襲に加えて、油断しているところを北欧の術式を主体としたフルバースト……どれもこれも素人ならそもそもやらない技だし、それを見事に全部成功してやがる。まったく持って末恐ろしいね。……敵である以上、殺すだけだが」

 

「私を捕まえられるかしら?こう見えて私、逃げ足は結構速いのよ?」

 

「捕まえる必要なんてないさ。ーーーーここで殺すんだからな。もう結界は組み終えてるし、お前さんに逃げ場なんて物はないんだよね」

 

「何を言って……」

 

「囲め、絶霧(ディメンジョン・ロスト)。霧の世界ですべてを包み込め」

 

ホテルアグスタ内にいる観客も含めて、俺で言うところの『魔法』を使える者を閉じこめる結界を組み上げた。機動六課勢を除けば、そんな物を使えるのは俺とヴァーリとセアラだけだ。そして絶霧(ディメンジョン・ロスト)は結界系神器(セイクリッド・ギア)の最高位、上位神滅具(ロンギヌス)の一角なのだ。それを突破するのは空間を引き裂くなどと言った特殊な技を除けば不可能に近い。

 

苦々しげな顔をしているセアラを見下ろし、嵐のように魔法を放った。最低限相殺しつつ、躱しているところから見て近接戦がダメダメだという訳ではないらしい。まあ、何をしてくるか分からない以上は現場放置なんだが。指を振るう度に魔法陣が出現して雨あられと言わんばかりに魔法を降らせていく。

 

「ちょっとちょっと!これはなんと言うか無理ゲーって奴じゃないの!?防ぎきれないわよ!」

 

「……これを完全に防がれたら俺の方がショックだよ。そろそろ終曲(フィナーレ)と行こうか」

 

セアラの足元から一誠が闇夜の大盾(ナイト・リフレクション)を操作して森林から伸びている影を操り、下からセアラの足を貫いた。唐突に起きた事態に対処しきれなかったセアラは後ろに体勢を崩した。そこに一誠は強化された拳を打ちこもうとした瞬間、セアラの胸部から化け物の口みたいな物が出てきて右腕に噛みつかれた。

 

「ふふふ、右腕は戴くわ!」

 

「……あらゆる魔を調伏し、魔の王を地獄に縛りつけ千年の安息を約束せし者よ!汝が主の為に勝利を捧げ、眼前に立つ魔の者を吹き飛ばせ!神の如き者(ミカエル)!」

 

「え?きゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

どんな邪法だろうが悪法だろうが問答無用で叩き潰し、悪魔の王を地獄の底へ縛り付け、千年の安息を保障した天使長の力。神の如き者の名は伊達ではなく、俺の身が聖書の神に近いだけあって昔よりも威力が格段に上がっている。極めて純度の高い天使の力(テレズマ)を浴びたのだ。魔の力を宿している以上、激痛からは逃れられない。……むしろ死んでもおかしくない。

 

だが、そこはこれまで魂を奪い続けてきたおかげかまだ死んではいなかった。この場合は良かったと言うべきなのか、甚だ疑問だが。今も悲鳴を上げながら転げまわってるし。それを哀れと思いながらも決して手は抜かない。まだ若干咥えられた際の気持ち悪さは残っているが、右手に強大な天使の力(テレズマ)を収束させて放った。身体が微塵も残らず消し飛んだのを確認した後、俺は結界を解除した。

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