結界を解いて戻ってくると、何故かバインドで捕まった。そんでもってシャマルの所まで連行された。なんでも怪我人が戦うな、という事らしい。そんな事を言われても……怪我なんてもう治ってるし。そんな風に文句言ったら頭を叩かれた。
「そんで?何か変わったことでもあったのか?」
「いや、ガジェットをすべて叩き潰した後は何も変化はなかった。精々、お前を襲った襲撃者ぐらいの物だろう」
「ふーん……シグナム。ティアナ・ランスターに伝えておいてくれ。『あの怪我はお前の所為ではない。だけど、あの時俺が言ったことをよく考えておけ』とな」
「分かった。伝えておこう。それでお前が遭遇した敵はどうした?あまり考えられないが、此処にいない事を考えると逃げられたのか?」
「いや、殺した」
俺がはっきりそう言うと、ヴァーリを除いて周りにいた奴ら全員が睨んできた。はやての奴……説明していないのか?嘆息しつつ、渡された包帯をキツくない程度で付けていく。
「俺とヴァーリは聖槍十三騎士団の面々を殺す許可を得ている。お前らにそんな視線を向けられる謂れはない。嘘だと思うなら後ではやてに聞いてみろよ」
「一誠くんなら無力化する事だって出来たでしょう!?なんで殺したの!」
「……ふぅ。相手は既に何千何万という単位で人を殺している。そんな相手を無力化したって意味ないんだ。無力化して、捕まえて、そして脱獄されるだけだ。相手をお前らの認識で判断するのを止めろ。大体、お前もし犠牲者が出たりしたらどうする気だ?」
「それは……」
「別に責めたくて言ってる訳じゃないけどさ。お前らじゃあいつらを相手取る事だって出来やしないんだ。無用の被害者が出る前にあいつらを殺す。それが安全を守る1番の近道なんだよ。納得出来なくてもな」
「まあ、安全を考えるなら兵藤一誠の言う通りだろう。
ヴァーリまでもがそう言った事にショックを隠せないのか、魔導士勢は黙っていた。生命を奪う事をやった事のあるベルカの騎士たちーーーー夜天の守護者勢は黙ってはいなかったが。
「そのもの達が重犯罪者だという事は分かった。……だが、その聖槍十三騎士団とやらは一体なんなんだ?」
「まあ、分かりやすく言うならテロリストかな。最終目的はミッドチルダでとある事件を起こす事、だな」
「それだけ分かってるならどうして事前に防ごうとしないんだ?お前たちほどの実力者なら出来ない訳がないだろう」
「……後手に回らざるを得ない理由があるんだよ。俺たちの口からは到底言えないがな。今は自分たちに出来る事をやっておくしかないんだから、そこにだけ集中していろ」
俺は包帯を巻き終えるとその場を離れた。ヴァーリも今の状態ではまともに話が成立するとは思えないからか、一緒に離れる運びになった。聖槍十三騎士団というのは少なくともまともな集団ではない。団員同士で争わせる事もままあるらしいし、幹部選定の時はメンバーをとある場所に放りこんでそこで生き残った十二人を幹部にしたのだとか。壺中の蛇の論理だろう。まともな精神してる奴ならまずやろうとしない手段だ。
それだけにあいつらのおかしさは際立つ。この情報はおそらく意図的に流されたのだろう。より優秀な魔導士を生み出す術としてこの壺中の蛇の理論は利用されているのだ。プロジェクトFというシステムでクローンを生み出し、それを厳選する。クソむかつく最低の理論だよ。反吐が出る。
はやての所に戻る際に、ティアナ・ランスターの姿を見たが何も言わずに歩いっていった。今の状態ならむしろ会わない方が良いだろうと判断したからだ。半端に謝られて納得されても困るのだ。この一件をバネにしてもらわなければ、俺が怪我をした価値がない。何も従順になれ、とは言わないが何かしたいなら自分に出来る範囲でやるという事。それを広くする為に今は強くなるしかないのだ。
どうせ俺とヴァーリの何方かは一年後にはいなくなっている。機動六課がなくなった時、自分の選択の幅を広げる事こそが彼女に必要な事だと思うから。
「お前もちゃんと見てろよ。あの娘は危うい。多分、強さという物をはき違えていると思う。ああいうタイプの人間は脆い。理由を他人に預けるようなタイプはな」
「分かった。だが君もいざという時は手伝ってくれよ?俺だけでは面倒見きれないからな。元々、俺は誰かに物を教えるようなタイプではないしな」
「まあ、出来る範囲で協力するさ。機動六課の面々には強くあってもらわなきゃならん。来たる怒りの日にこちらの手を煩わせるような状態にあって欲しくはないからな」
「君も中々に酷いな……」
「ほっとけ」