それから数時間後、俺が訓練場から海を眺めているとヴァーリが一枚の手紙を持ってきた。それはーーーー聖槍十三騎士団からの招待状だった。
それから1時間後、アラートのサイレンが鳴り響き六課のフォワード陣が召集された。だがはやては出動を中断させてとある部屋にフォワード陣を集めた。それを不思議に思いながらも集まったフォワード陣を代表してなのはがはやてに問いかけた。
「ねえ、はやてちゃん。出動の中止ってどういう事なの?確かにガジェットはただ旋回しているだけみたいだけど……」
「……そっちの対処には一誠くんとヴァーリくんが向かっとる。自分たちで何とかするから、そっちはそっちの問題を片付けておけって言われたわ。なのはちゃんにティアナ。一誠くんは最初から2人がこんな風に衝突する事は織り込み済みやったんやって」
「……どうして?」
「それがどうして言わなかったのか?っちゅう質問なら、俺が言ったところでお前は納得したのか?らしいで。一誠くんはこの機動六課に協力するに当たって、フォワード全員分の履歴を読んだんよ。そこでなんとなくやけど性格を把握したらしいわ。この前の訪問はそれの確認も兼ねとったんやって。それぐらい話してくれとったってええやろうにな?」
「はやてちゃん、落ち着いてくださいよ〜。怒ってるのは分かってますから」
はやてが思いっきり悪態をついている姿を見て慰めているツヴァイと、それを見て苦笑しているアインスを不思議そうに見つめていたフォワード陣は今話が通じそうなアインスに視線を向けた。
「……主はやては何も思わなかった訳じゃないんだ。今の高町なのはの様に何故教えなかったのか、言っていれば今回の件は未然に防げたのではないかと問い詰めていたんだ。主はやてを責めないでくれ」
「い、いえ、そんなつもりは全然これっぽっちもありません!それで……あの人はなんと?」
「まず高町なのは。君はもう少し部下に質問をさせるべきだ。もしかしたら相手は分かっているかもしれない。だが、上官であるが故に訊いていないだけかもしれない。人は答えを欲する。一体自分はどこに向かっているのか、果てが分からなければ人は迷ってしまう。それを支えるのが教導官という物ではないのか?だそうだ」
「…………」
迷い悩む子供を支えるのが大人の役割。教導官という物は教師と同じだ。将来、如何するべきなのか分からなくて如何あるべきなのか分からない。だからこそ、子供を成長させる者が必要なのだ。それと同じように局員が生き残れるように、自分の夢に向かっていけるようにする為には対話という物は無くてはならない物なのだ。それを止めてしまった者は導くなんていう事は出来ないのだから。
「次にティアナ・ランスター。君は何を焦っている?此処にいる隊長・副隊長は君よりもずっと長く戦場で生きてきた者たちだ。それを高々、陸士学校で数年学んだ程度で追いつこうなどおこがましい事だ。君にはまだ力がない。経験が不足している。……だからこそ、鍛えられているのではないのか?高町なのはという人間が言う事はそんなに君にとって的外れな物なのか?」
「そんな事は……」
「……厳しい事を言っているのか理解していると思うんだ。それでも彼は誰よりも戦場の中で生きてきたんだ。それこそ私たちでは十分も生き残れないだろう戦場ですら彼は戦ってきた。キャリアが違うんだ。辛くても苦しくても泣き言を言わずに頑張ってきた。誰も支えてくれないのにたった1人で生きてきた人なんだ」
「……アインス、お前は何を知っているんだ?こういうのはなんだが、私たちはあいつの事を何も知らないんだ。お前は何か知っているのか?」
「……一誠は5歳の頃に両親を亡くしたそうだ。頼れる者は誰もいない、そんな環境で生きてきたんだそうだ。一誠からすれば君たちは非常に羨ましいんだろうな。なんせ彼は物心ついた時から温もりという物をなくしていたんだからな」
アインスがそう言った瞬間、部屋の扉が開き一誠とヴァーリが入ってきた。一誠がだるそうな表情を浮かべている傍でヴァーリは笑っていた。何か楽しみでも出来たかのように。そして一誠は話が若干聞こえていたのか、アインスを冷めた目で見つめていた。
「他人の過去話を勝手にするとは感心しないな、夜天。……同情なんてしてるようならぶっ飛ばすぞ?過去がなんであれ、俺は今を生きてるんだ。俺がどういう人生を歩んできたかなんて如何でも良いんだよ」
「それで用事は終わったのか?」
「……ああ。大隊長直々に改めての宣戦布告と軽いじゃれあいだったよ。まったく……その所為でやたらとヴァーリのテンションは高いし面倒な事だ。その様子だと話はきちんと通ったみたいだな。
ティアナ・ランスター。お前の夢の為に、なのはやヴィータを始めとしたフォワードの隊長や副隊長はきちんと考えてくれているんだ。それでも迷った時や分からなくなった時。ちゃんと相談しろ。そうすれば道は自ずと見えてくるんだからな」
「……はい!」
「高町なのは。お前は初心を忘れていた。言葉を交わしてこそ、人は相互理解を測れるんだ。迷わず自分の想いを伝えろ。そうすれば自ずと世界は変わってくる」
「うん。ありがとう、一誠くん。いろいろと迷惑かけちゃってごめんなさい。でも、もう大丈夫。私も精一杯頑張るから!」
「そうかい。……まあ、精々頑張りたまえよ。高町なのは