リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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平和な歓談

 

 

六課の騒動から暫く経つと、テレビでレジアス中将が質量兵器云々という話をしているニュースが報道されていた。地球出身が多い俺の眷属たちはこのニュースに関して特にコメントはしない。むしろ魔導士勢が文句を言っている現状に頭おかしいんじゃない?とか思ってるぐらいだ。

 

だが子供たちはそうではないらしくーーーー

 

「ねえ、パパ。なんであのおじちゃんはあんなに強く主張してるの?」

 

「ん?管理局っていう組織は質量兵器ーーーーいわゆる拳銃とか爆弾とか。そういうのを禁止している。だけど、魔導士だけではミッドチルダは守りきれないんだ。対外的に発表している予算よりも地上本部が使える予算の額が少ないからだ。そこで質量兵器を運用出来るようにして、非魔導士組でも戦えるようにしようってわけだ」

 

「ふ〜ん……それじゃあなんで質量兵器?っていうのを禁止にしてるの?魔法だって一歩間違えれば危険な事に変わりはないんじゃないの?」

 

「魔法の方がクリーンなエネルギーだからだ。最大級の兵器に核兵器がある。それを使うと長い間その土地は使えなくなるんだ。……まあ、瞬間的な被害ならアルカンシェルをぶっ放した方がよっぽど大きいんだけどな」

 

別に危険と称される物が多いだけで鎮圧用の武器もある事にはあるのだから、そっちを使った方がよっぽど安上がりだ。まあ、管理局の局員たちはそう思っていないのかもしれないが、な……。

 

その頃、機動六課のフォワード陣も同じニュースを見ていた。やはりと言うかなんと言うか一誠の予想通り、批判的な意見が多く出されていたのた。1人で静かに食事をしていたヴァーリは意見を求められたので、食事の手を止めてテレビの方を向いた。

 

「なんだ?スバル」

 

「いえ、あのニュースを見て何か意見とかないのかな〜……と思いまして」

 

「……ふむ。俺はそんな物使ったことがないからなんとも言えないが……兵藤一誠ならアホらしいと言うかもしれないな」

 

「……それはレジアス中将が、ですか?」

 

「いや。それに反対している高官や魔導士たちが、だな。俺が見ても思うことだが、管理局というのは組織の規模に比べて魔導士の数が少なすぎる。むしろ非魔導士の数の方が多いぐらいだろう?それにこれも受け売りだが……人は自分に理解出来ない力を見せられても納得出来ないそうだ」

 

「……?どういう意味?」

 

「魔法も神器(セイクリッド・ギア)もそうだが、超常の力という物は大概の人間にとってファンタジー……つまり幻想の領域だ。自分たちには魔法がある。だから君たちを守ってあげよう。その代わりに武器を持たないように、と言われても納得出来ない。それはそうだろう。自分には使えないんだからな」

 

「でも先天的な物なんだから仕方ないんじゃ……」

 

「なら想像してみると良い。魔法が使えなくなった自分がそう言われたらどう思うかをな。俺ならば納得出来ない。力のない者には自衛の手段は必要なんだ。分かりやすい……自分でも使えそうな物。それが質量兵器と呼ばれる武器なんだ」

 

ヴァーリの言い分に誰も口を挟む事ができなかった。質量兵器という物は危険な物だと言われて育ってきたがゆえに、いざそんな事を言われても理解出来ないのだ。魔法を使える事が当たり前の生活をしてきた。その中で高町なのはは撃墜されて魔法が使えなかった辛い入院生活を思い出していた。

 

リハビリをしてももう魔法は使えないかもしれない、と言われたあの頃。空を飛ぶ事が好きだったなのはにとって、それは何物にも耐え難い苦痛であり恐怖だった。良くも悪くも、高町なのはという人間は自分に耐えられる事なら絶対に口にしない人間だった。弱音を吐かない事が皆が笑顔でい続けられる事だと信じていたが故に。

 

その間違いは中学を卒業してから数日後に明らかになった。管理局に正式に入る為の準備をしている時、両親を始めとした家族にその事について謝られたのだ。一体如何したのかと思って聞いてみると、その話を聞いた一誠に叱られたらしい。何も言わなくても察してやるのが家族というものではないのか、と言われたらしい。

 

その話をシエナ越しに話したら、『はて、なんの事やら?』と惚けられた。彼にとってすれば気にするほどの事ではないのかもしれないが、自分にとっては救いに近かったのだ。そして改めて、誰かに頼る大切さを実感した時でもあった。

 

「まあ、所詮は受け売りだ。こういう話は兵藤一誠にした方が良い。俺よりもはっきりと言うし、彼の方が経験豊富だ。あらゆる戦地を生き抜いてきたその技量は本物だ。……そもそも俺は身一つで戦ってきた身だ。そこまで質量兵器などという物に拘ってきた訳ではない。裏の人間からすれば拳銃などを使う方が珍しいからな」

 

「そうなのか?兵藤は多彩な武器を使っていたが……それにあいつの眷属だったか?も同様だと聞くが」

 

「彼は万能型だ。俺では経験も技量も器用さも到底届きやしないんだ。彼は数少ない希少種だ。おそらく彼1人で神格を殲滅出来るとさえ称されたほどの男だ。……無論、負ける気はないがね」

 

「あの〜ヴァーリさん。その……神格?っていうのはなんなんですか?」

 

「何と言われてもな……生まれながらにして人間とは一線を介するほどの力を持っている者たち、と言えば良いのかな?その戦力はマイナーな神話勢力でもミッドチルダ(ここ)を征服するぐらいは容易いだろうな。主神クラスともなれば、そもそも傷を付けられるか如何かすら怪しいレベルの強さだ」

 

「…………………………は?」

 

「?何をそんなに驚いているんだ?何か変な事でも言ったか?」

 

「流石に驚かないわけないと思うよ?それは……」

 

首を傾げているヴァーリを傍目に今日も機動六課の局員たちは平和な時間を過ごしていました。そんな平和な陽だまりを犯すかのように黄金は世界にゆっくりとその爪牙を立てているのでした。

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