リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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嫌な予感

 

 

レジアス中将の演説会というか記者会見的な物を見てから数日後、俺たちは地上本部の防衛に駆り出される事になった。まあ、仕方ないかと思ってヴィヴィオとアキトを機動六課に預けた。一応、襲撃に備えて護衛にユーリちゃんを付けているから、おそらく大丈夫だろうとは思うが。

 

俺は建物の中から外を見下ろしていた。大勢の魔導士たちが集まっている光景を見てこの会議の重要性を再確認していた。ちなみに眷属たちは所定の位置について待機済みだ。傍には知り合いを配置してもらっているから、危険はないだろう。あった方がむしろ困るんだけどな。

 

「……兵藤一誠。この会議、如何なると思う?」

 

「下手な質問すんなよ、ヴァーリ。分かりきっている事だろう?平穏無事に済むなんて此処にいる誰も思ってやしねえよ。それでも俺たちは俺たちの役割を果たすしかない。そうだろ?」

 

「……まあ、それはそうなんだがな。この空気は何度も感じた事がある。ーーーー戦いの前の緊迫した空気だ。何かまずい事が起こりそうでならない。俺らしくもないが、思うんだよ。何か嫌な予感がするとな」

 

「………………」

 

それは俺もしていた。まるで何か選択を間違えてしまったかのような感覚。理性ではなく本能が。いわゆる第六感と呼ばれる場所が無償に騒いでいるのを感じている。戻れ、今すぐに。さもなければお前は後悔する事になるぞ。と囁いているようなーーーー待て。戻れ?後悔する事になる?まさか、いや、しかし……

 

「兵藤一誠?一体如何した?」

 

「俺は、盛大な勘違いをしていたのかもしれない。聖王の器、聖王のゆりかご……ゆりかごに必要なのは聖王家の血を継いでいるヴィヴィオだ。そして今こそが、あの娘を攫う絶好の機会。それならこの会議自体がーーーー」

 

 

「そう。この会議は囮。あなた達二天龍とその眷属達をここに縛りつけておくための、ね」

 

 

「なっーーーー」

 

ちょうど傍にいた管理局の制服を着た女性が炎を纏った剣をぶつけてきた。それを防いだ瞬間、何かノイズのような物ーーーーAMFを展開されたのだと理解した。やはり俺の考えは正しかったのか!そしてこいつ、否こいつ等は俺たちをここに縛りつけておくための捨て駒?邪魔だ、退けよ。俺の子供たちがこの瞬間にも危険な目に合ってるかもしれないんだ。だからお前は邪魔だ!

 

剣を持っている右腕を掴み、窓に向かって思いっきり投げつけた。その衝撃で罅が入った強化ガラスの上から思いっきり蹴りを叩き込み、完全に窓を割って外に出た。チラッとヴァーリの方を見ると、ヴァーリも何やら長身の男と戦っていた。空中で倍加された拳を叩き込む事で地面に叩きつけた。降りた所にはちょうどレヴィ、イリナ、ゼノヴィアの三人がいた。

 

ここを三人に任せて俺が機動六課に向かおうとすると、巨大な炎が迫ってきた。チィッ!面倒だな。こんな所で足止めされる訳にはいかないんだよ!今この瞬間だって惜しいというのに!

 

「……行って、一誠くん。ここは私とゼノヴィアに任せてレヴィちゃんと一緒に。もう後悔なんてしないように、ね?今の一誠くんは強い。昔みたいな目に会う事はない筈だから。頑張ってね」

 

「……ありがとう。それじゃあ、頼んだぞ2人とも。行くぞ、レヴィ!」

 

「了解!」

 

俺が鎧を纏って更に術式を使う事で最高速度で機動六課に向かった。レヴィもスプライトフォームの最高加速の状態で向かった。そんな中、途中で会いたくもない相手ーーーーラインハルトに遭遇した。こいつを抑えるには俺が戦うしかない。レヴィを先に機動六課に向かわせた。ヴィヴィオ……アキト……ユーリちゃん……どうか無事でいてくれ!

 

兵藤一誠side out

 

イリナside

 

一誠くんとレヴィちゃんを先に行かせる事にした私たちは、目の前にいる炎を操る剣を持った女性と戦っていた。でも、なんて言うのかな?剣筋から見て、この人はなんて言うか不器用な印象を受けたのだ。何でかは分からないんだけど……

 

「……ふう。さすがは赤龍帝眷属ね。このままだと私がじり貧で負ける。でもね?私はこんな所で負けてあげる訳にはいかないのよ」

 

「ほう?それなら如何すると言うんだ?君の仲間は今、白龍皇に抑えられている。そんな状況で一体何をしようと言うんだ?」

 

「……ねえ、知ってるかしら?私たち、聖槍十三騎士団の面子はハーデン卿から聖遺物を賜っているの。もちろん自分で発現してそちらだけを使っている人もいたのだけれど……私は違う。何故ならその有り様に焦がれたからよ。この願いを果たすまで、私はこの渇望を燃やし続ける。あなた達がその障害になると言うのならーーーーここで倒すまでよ」

 

そして彼女は紡いだ。自分の創造(ルール)を。誰にも変える事の出来ない渇望を形にした。

 

「Die dahingeschiedene Izanami wurde auf dem Berg Hiba

かれその神避りたまひし伊耶那美は

 

an der Grenze zu den Landern Izumo und Hahaki zu Grabe getragen.

出雲の国と伯伎の国、その堺なる比婆の山に葬めまつりき

 

Bei dieser Begebenheit zog Izanagi sein Schwert,

ここに伊耶那岐

 

das er mit sich fuhrte und die Lange von zehn nebeneinander gelegten

御佩(みはか)せる十拳剣を抜きて

 

Fausten besas, und enthauptete ihr Kind, Kagutsuchi.

その子迦具土(カグツチ)(クビ)を斬りたまひき

 

Briah(創造)

 

Man sollte nach den Gesetzen der Gotter leben.

爾天神之命以布斗麻邇爾ト相而詔之」

 

その渇望は炎になる事。自分の目的を忘れぬために炎となる事を臨んだ1人の少女ーーーー獅子心剣(レオンハルト・アウグスト)。この聖遺物、緋々色金を宿した瞬間に少女の望みとその目的のために走り続けた事を理解したのだ。ならば自分もそのようにありたい。他者にその痛みを背負ってほしいとは思わない。そんな人間はーーーー鏡と話し合っていれば良いと本気でそう思うからだ。

 

「さあ、構えなさい。今の私はさっきまでの私とは違う。……本気を出さなければ勝てないと知りなさい」

 

全身を炎と化した女性の威圧感に反応して私たちは武器を構え直し、それを見た女性は心底嬉しそうに剣を構えた。

 

「聖槍十三騎士団黒円卓第五位、四条玲。我が全力を持って私は自分の願いを叶える!」

 

「赤龍帝眷属峻厳(ゲブラー)ゼノヴィア。私たちも全力を持って相手をしよう!」

 

「同じく赤龍帝眷属(ティファレト)紫藤イリナ。私も眷属の一員として負けるわけにはいかないわ!」

 

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