拳と槍が激突する。文字にすればたったそれだけ。しかし、激突時の衝撃によって火花が散り雷光が奔る。ラインハルトは大掛かりな舞台で俺とヴァーリを打倒する事を望んでいる。ここでのこいつの役割はおそらくーーーー足止め。
「退け、ラインハルト!ヴィヴィオたちが待ってんだから邪魔すんじゃねえよ!」
「残念ながら、それは出来ない相談だな。我々のサポートをしてくれている者がお望みなのだよ。ーーーー聖王の器をな。その上で卿は白龍皇と並び最大の障害だったのだが……此度の地上本部での会議。利用させてもらったよ」
「お前にとって団員は捨て駒か。ふざけた性根してんじゃねえかよテメェ!」
「……卿も変わった人間だな、赤龍帝。言っておくが、彼らは別に捨て駒などではない。私が誇る、私の爪牙だ。卿に罵られる謂れはないと言う物だ。彼らは自ら志願して行ったのだから」
「あんだと……?まあ、それはいい。答えろよ、ラインハルト。お前は確か最高評議会の面子と協力しているんだったな?そいつ等をどうした?」
「
永遠の命が欲しくはないか?という陳腐な話に乗ってきた程だったからな。まあ、そんな愚かさすらも私は愛しているがね」
「……そうかい。分かったからさっさと消えろ!テメェなんぞと長い間戯れていられる程、俺には時間がねえんだよ!」
「知ったことではない。もう暫くの間、私と踊りに興じてもらうぞ。嫌などという言葉は聞かぬ。ここを通りたくば、私を打倒するがいい。……今の卿に出来るのなら、だがね」
一誠の右眼は眼帯に覆われている。視覚の確保などは仙術を代用すれば問題ないが、それでも足りない物がある。ーーーー放出する事のできる
ならば眼帯を外せば良いーーーーと考えるかもしれないが、一誠がこれまでずっとこの眼帯を付け続けてきた理由は来るべき日の為に身体に
一誠side out
アキトside
親父に言われて機動六課っていう所に預けられた俺とヴィヴィはユーリ母さんと一緒に遊んでいた。
親父も他の母さんたちも仕事でとある場所に向かっているらしい。なんでも重要な事を話す会議があって、それの警備に行っているのだとか。
まあ、理屈とかはよく分からなかったが俺たちは迷惑にならない範囲でゲームをしたりして遊んでいた。ザフィーラっていう大きな犬?いや、狼がやってきてヴィヴィが抱きついていた。
そんな風に平和な時間を過ごしていた時、急に爆発音と共に変な格好をした2人組が入ってきた。でも……なんて言うんだろ。そいつ等の気配はおおよそ人と呼べるような代物ではなかった。
「……あ、いたいた。その子が聖王女のクローンか。エグザミアに盾の守護獣も警備とはそこそこ豪華だね」
「……誰ですか?」
「おっと、これは失敬。聖槍十三騎士団黒円卓第十二位、セフィア・ノーベンゲルン、
「……聖槍十三騎士団黒円卓第七位、ラグリス・ヨルム・ミューヘン」
「やはりあなた達の目的はヴィヴィオですか。……しかし、渡しません。この娘は私たちの家族であり愛しい子供たちの1人なんですから」
「ヘェ〜……その思想はご立派だけど、所詮クローンだ。幾らでも作れるし、使い捨てるなんて余裕でしょ」
「……それ以上、私たちの家族を侮辱しないでください。取り返せない物だからこそ、価値がある。ヴィヴィオを失えば、二度と取り返せはしない。私たちの子供を馬鹿にするな!」
「うわ〜怖い怖い。でもねぇ、これも命令だから。……大人しく従ってくれれば悪いようにはしないよ?」
「……答えぐらい、分かりきっているでしょう?」
すごい形相のユーリ母さん(ヴィヴィが俺の背中に隠れていた)がいつの間にか持っていた赤い剣みたいな物を2人組に投げつけた。さっきからいろいろと言っていた白い紐みたいなのを首からかけていたセフィア・ノーベンゲルンって名乗った奴が横にズレると、同じく黒い紐みたいなのを首にかけているラグリス・ヨルム・ミューヘンって奴が前に出た。
「
黒い瘴気みたいな物がラグリスって奴の両腕から放たれてその拳から放たれた一撃は、ユーリ母さんが放った一撃を破壊した。
そのあまりの光景に動転してしまったユーリ母さんは動きを止めてしまった。そこにさっきのセフィアって奴が突っ込んできてユーリ母さんを蹴り飛ばした。
そこをザフィーラが襲いかかろうとすると、いつの間に動いたのかザフィーラの背後に回り回し蹴りで吹き飛ばした。2人ともあまりの激痛に身体を動かせないらしい。
「へぇ……お姫様を守る騎士様か。良いね。でもこれも仕事だからね。あんまり邪魔しないでね、坊や」
「死世界・凶獣変生」
そう相手が唱えた次の瞬間には背後にいたはずのヴィヴィが脇に抱えられていた。そしてそのまま行こうとしていた2人に飛びかかろうとした瞬間ーーーーおぞましい殺気に襲われた。獰猛な獣に殺されそうになる幻覚まで見たほどだった。
そして正面の壁が爆発してレヴィ母さんがデバイスを持って向かってくるのが見えたところで、俺の意識は闇の中に落ちた。
そして数時間後、俺はヴィヴィがあいつ等に攫われてしまった事を知らされたのだった。