リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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怒りの日シリーズ最終幕となりました。ついに二天龍の決着です!活動報告でアンケートを取っているので、読み終わったら是非覗いてみてください。

最強の赤龍帝と最強の白龍皇の決着……その刹那を、その目に焼き付けろ!


来たれ、怒りの日〜最終幕〜

 

 

時はシエナたちが城から脱出した時まで遡る。城から脱出した3人は空で戦っていた3人ーーーーイリナ、シュテル、レヴィーーーーと合流した。幾ら守護天使の力を使っているとしても、やはり大隊長との戦いは消耗が激しかったのだ。

 

魔法や天使の力(テレズマ)を併用して傷を治していた時、急に空間が裂けた。一体何があったのかと思って見つめていると、懐かしい顔を見つけた。しかしその人たちは本来こんなところに来るような人たちではなく、またこの場所を知っている筈がないのだ。シエナたちが声をかけるべきか否か考えていると、イリナが声をかけた。

 

「アザゼル先生!それにリアスさんたちも!お久しぶりです!」

 

「お!紫藤じゃねえか!それにティエトも一緒か!これは俺たちも運がいいな」

 

「それで、どうしてここに?見たら分かると思いますけど、今ここは戦場ですよ?人間にとっては、ですけど」

 

「ああ……兵藤に呼ばれたんだ。『赤龍帝と白龍皇の戦いに決着をつけるから、見に来たいなら来れば?』ってな。それであいつらは何処にいるんだ?まさか……あの城の中か?」

 

アザゼルが指で指した場所はーーーーグラズヘイム。シエナがアーシアに治療して貰いながら頷くとため息をついた。

 

「……うわ、なんだよこれ。昔から分かってたけど強すぎるだろ。俺があそこにいたら30どころか10秒ももたない自信ある」

 

眼鏡をかけてさっきから何か言っているのは高神創生。禍の団(カオス・ブリゲード)の襲撃を幾度となく退けてきた事で、今ではもはや上級悪魔に昇格し実力は最上級悪魔クラスだと言われるほどの実力者となっている。レーディング・ゲームでも好成績を残しており、最強の兵士(ポーン)と呼ばれる日も近いと言われている。

 

「ソーセー、お前は一体何を見てるんだ?」

 

「え?ああ、千里眼みたいな能力を持ってる眼鏡で中の戦いの様子を見てたんですけど……兵藤さんも相手も強すぎますよ」

 

歴代最強の赤龍帝と黄金の獣。その戦いは創生からすればヤバすぎの一言である。なんせその一撃だけで自分がやられそうな(半ば確信じみた)予想も出来たし、そもそも見ているだけで傍にはいないというのに圧倒されてしまう。否、戦意を圧し折られてしまいそうな圧倒的な力を放っている。

 

「あれが……兵藤さんの全力。俺たちの全力がお遊びに見えそうなぐらい強い。あんなのどうやったって勝ちようがないじゃないか」

 

「……そもそも勝ちたいなんて思えないよ。今の一誠は覇道神ーーーーつまり最大級の神格なんだから。高々、上級悪魔如きが挑もうなんて思えない域に立っている。……もはやあの人に対抗できるのは、同じ位置に上がった者だけなんだから」

 

「神、ですか……彼は我らが主の後継。私としては是非天界に来て頂きたいのですが、無理でしょうね」

 

「って言うか、あいつをトップに置いたら誰も勝てなくなるだろ。元総督の身としては止めてもらいたいもんなんだが……」

 

この場にいる面子は天使側からミカエルとガブリエル。それの護衛としてグリゼルダとデュリオ。堕天使側からアザゼルと幾背鳶尾、そして副総督のバラキエル。悪魔側からサーゼクス・ルシファーとセラフォルー・レヴィアタン。そしてグレモリー眷属一同。後は元ヴァーリチーム一同も共にいる。

 

「よくもまあ、これだけの面子を揃えられましたね。ヴァーリチームの面々は特に、ですが。元とはいえ、テロリストですよ?」

 

「俺っちたちは強い奴と戦うしかしてこなかったし、それで誰か犠牲者が出たって訳でもねえしな。それに……俺っちたちも見てえんだよ。赤龍帝と白龍皇の決着を」

 

「そうですか」

 

ふと空を見上げると、城がまるで一時の夢であったかのように粒子状になって消えた。そして城がすべて消えると、そこには一誠とヴァーリが飛んでいた。ふと一誠がこちらを見ると、ヴァーリに何かジェスチャーしていた。そして消えたと思った次の瞬間には目の前に現れた。

 

「おや、よくこれだけ揃えられたな。割と驚いたよ。もう幾らかはいないと思ってたからな」

 

「お前な……そういうところは相変わらずだな。もうちょっと何か言う事はないのかよ、ってお前にそんな期待をしても仕方がなかったな」

 

「否定はしないな。ヴァーリチームまで揃えられた事に驚いていたんだが、三大勢力のトップ陣がこんなところにいても良いのかよ」

 

「歴代最強の2人だからな。それに、二天龍最後の戦いと言われれば来ないわけにはいかないだろ」

 

「そうか。……それじゃあ始めようか、ヴァーリ。二天龍の決着の時だ。存分に戦うとしよう」

 

「ああ。……だが、その前に一つ訊いても良いか?」

 

「?なんだ」

 

「確か君は流出は世界の座を塗り替える物だと言っていた。それなら俺と君の力がぶつかり合って何かしらの変化が起こっている筈じゃないのか?そんな兆候は一切見られないが」

 

「ああ、それか。簡単な話だ。この世界には『座』と呼ばれる物がない。だから世界を塗り替える事ができない。まあ、俺たちの流出が止められているというのもあるんだがな」

 

世界なら何処にでもある物だと思っていた『座』はこの世界にはなかった。つまり、あれは地球独自の物だったんだろう。流出が止められている事に関しては……ロキが何かしたんだろう。

 

「そうか。前提が違ったのならそういう事もあるのか。……悪かったな。始めるとしよう」

 

「それじゃあお前ら、頼んだぞ。ヴァーリ、ここじゃ余計な被害がでて面倒だから空に行くぞ。ついて来いよ?」

 

一誠とヴァーリがミッドチルダのほとんどのビルよりも高く飛んだ瞬間、空中に10色の結界が張られた。その効果は内部外部問わずに与えられる攻撃のすべてを吸収するという物。それはさながら空中に設置されたバトルフィールド。

 

そして一誠とヴァーリが構えた瞬間、その光景を見ていた者たちーーーー異世界組、管理局員、聖王教会の騎士たち、そしてサーチャーで放映されている映像を見ていた一般人ーーーーすべての脳裏に声が響いてきた。

 

 

ーーーーさあ、最後の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう、と。

 

 

そしてその言葉を皮切りに赤と白の二天龍は激突した。その莫大な攻撃力はただの激突した際の衝撃で結界の一部に罅を入れた。さらに一誠とヴァーリの速度が上がっていく。一般人ならその速度に驚くのだろうが1番驚愕なのは、両者ともに幾ら攻撃を放とうが最初の激突以外攻撃が当たっていないのだ。

 

明らかに躱しきれるような速度ではないにもかかわらず、攻撃が当たっていない。どちらも当たれば終わると考えているからだ。両者ともに覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を発動させた上に個々の力を引き出しているのだから、それも当然と言える。

 

一誠は竜具(ヴィラルト)の力を限界まで引き出し、尚且つそれを赤龍帝としての力を使って高めている。覇道神の域まで至った一誠の放つ攻撃は既に滅神龍(クァルティカ)と同等のレベルになっている。七種類の変幻自在の攻撃は当たれば終わる、と確信させるには十分すぎるほどの代物だった。

 

ヴァーリは隙あらば白龍皇の力で一誠の力を半減させながら、破壊龍の力を引き出して攻撃を仕掛けている。破壊龍の力のみが一誠の夢幻の肉体にダメージを与えるからだ。白龍皇の力でダメージを受けてもダメージがない訳ではないが、その場合は即座に傷が治癒される。

 

「楽しいな、兵藤一誠!今俺は歓喜に震えているよ!俺がここまで強くなる事が出来たのはひいては君という存在のおかげ。君を打倒できるという事実がこの上なく俺を昂らせる!」

 

「……なあ、ヴァーリ。俺はお前に訊きたい事があるんだ。お前、俺に勝って最強という座を手に入れた後はどうする気だ?自慢じゃねえが、俺は次元世界のすべてを敵にまわしても勝てる。じゃあお前はそんな俺に勝った後、どうする気だ?」

 

「……死ぬよ。そんな世界に興味はないんだ。待ってみるのも一興かとは思ったが、俺は我慢弱いんだ。そんな途方もない時間に耐えきれるとは到底思えないしね」

 

「そうか……なら、お前にこの座は渡さない!断崖に向けて飛翔しているような奴のために、俺の陽だまりを手放すなんて許されねえ事だからな!」

 

「ははははははっ!なんだ、そういう意図でそんな質問をしていたのか。それならこの戦いに俺が勝利すれば君の家族をーーーー殺すとしよう。死後の世界でも寂しくないようにしてやろう」

 

「ほざいたな、挑戦者(チャレンジャー)!もう勝ったつもりとはおそれいるな!そのふざけた思いこみを今ここで叩き潰してやるよ!」

 

「それがどうした、到達者(チャンピオン)!俺は君に勝ち、白龍皇を超え白龍神皇へと至る!君という存在を超える事で俺は漸くそう名乗る事ができるんだ!」

 

「剛毅な事だ。俺もそう簡単に負けてやる事なんて出来やしない。俺は家族に勝利すると約束してんだよ。終わりに向けて走っているお前なんぞにこの俺が!負けるわけねえだろうが!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

 

『DividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDivid!!!!』

 

「俺は二天龍の決着をつけて新たな存在となる。ーーーー故に滅びろ!勝つのは俺だ!俺が最強に至り、白龍神皇となる為の前座になれ!」

 

「ぬかせ。負けるのがどちらか教えてやる。ーーーー故に滅びろ!勝つのは俺だ!俺の愛しき刹那を守るための礎になれ!」

 

力が荒れ狂うように溢れ出す。それぞれの願いを果たす為に全力を出す。赤は倍加し、白は半減させる。与える者と奪う者。手を伸ばす者と守護する者。夢幻の如き渇望と無限の如き渇望。天使の力と悪魔の力。究極の対。

 

一誠は誰かと手をつなぐ事で強くなり、ヴァーリは他者から力を奪う事で強くなる。この2人は何処まで行っても対なのだ。誰よりも片方の事を理解し、誰よりも片方の事を理解できない。何故なら一誠にとって他者とは手を差し伸べる存在。ヴァーリにとっては自分が成長するための糧でしかないのだから。

 

2人の力の高まりは地上にも伝わってきた。元々、力の差はありすぎる程だったが今となっては誰にも止められない。一誠はもとよりヴァーリも地球にいるすべての神格に喧嘩を売って全滅できるほどの力を持った。だがだからと言って自分たちにはどうする事もできないだろう。

 

全盛期の二天龍など片手間で葬ってしまいそうな圧倒的な力。力の権化と呼ばれるほどの存在の力を引き出しきっている者とはいえ、ここまでの領域に至ると一体誰が考えるだろう?

 

力を解放せずに結界を保つ事が困難だ、と認識した赤龍帝眷属一同は守護天使の力を解放して結界を増強した。今となっては魔王クラスでも破れなくなってしまっているどころか、罅を入れる事すら困難になっている結界にいとも簡単に罅を入れる。それだけであの2人が強さが如何程の物か知れるという物だろう。

 

これによって一誠の天使の力(テレズマ)の量はさらに膨大な物になった。解放されたのは既に解放されていた王を守護せし最後の剣(サンダルフォン)座を守護する者(ザフキエル)神を癒す者(ラファエル)に加えて神の神秘を守る者(ラジエル)神に最も近き者(ミカエル)神の力となる者(ガブリエル)神の正義を貫く者(ザドキエル)神と共に道を見る者(カマエル)神の栄光を貫く者(ハニエル)神の真意を見抜く者(ルシフェル)の力だ。

 

急上昇した力で天使の力(テレズマ)を威力を上昇させて放つ。ヴァーリはそれを半減させつつ、空間を圧縮して光すらも呑み込む超重力ーーーー暗黒天体ーーーーを作り出す。

 

普通の者であればこれだけで終わってしまうところだが……残念ながら、一誠は普通ではない。光り輝く剣を創りだして暗黒天体の核となる部分を切り裂いた。

 

その隙にヴァーリは一誠に猛烈な勢いで迫った。ここで誰もが一誠は攻撃を回避して先ほどの続きが始まるのだと考えた。眷属たちやヴァーリですらも、だ。

 

だが、一誠はその予想を裏切り、剣を放り投げると右手でヴァーリが放った右ストレートを受け止めた。受け止めると、右手の先から肩まで骨が破壊される音が聞こえた。

 

一誠が攻撃を受け止めた事に驚いているヴァーリ。ヴァーリの攻撃は夢幻の肉体による再生機能を破壊していた。攻撃を受け止めた事で少なくともこの戦場において一誠の右腕が治る事はない。そうであるにも関わらず、一誠はそれがどうした?という口調で言い放った。

 

「何を驚いている。お前に勝つためなら四肢の一つや二つ、くれてやるよ。……後、勘違いがないように言っておくが俺の隠し球はまだ出切ってないからな」

 

「なに……?ぐぁっ!?」

 

一誠が振り上げた右足がヴァーリの右腕を切り裂いた。これほどの域まで至ったヴァーリの鎧を断ち切るには地神龍の斧(ムマ)炎神龍の双剣(バルグレン)、後は辛うじて風神龍の風剣(アリファール)ぐらいの威力が必要だ。だと言うのに、ヴァーリの傷口は凍っていた。断ち切られた右腕は完全に凍りつき、結界に触れると粉々に砕け散った。

 

これが今の一誠の隠し技。一誠は2年の歳月で同時に2種類以上の力を発動させることが出来るようになっていた。しかしまだ使うのに慣れていない為、発動させる前に幾らか集中する必要があったので今まで使う事ができなかったのだ。

 

傷口を見て訝しげな顔をしていたヴァーリに蹴りを放つ。抜き打ちで放ったそれをヴァーリは後ろに回避する事で躱したーーーーかのように思われた。しかし、一誠が瞬時に発動させた幻影神龍の鎌(メザンティス)の力で後ろに穴を開けて氷神龍の氷槍(ラヴィアス)の力で脇腹を貫いた。

 

「くっ!……まさかそんな隠し技を持っているとは、驚いたよ兵藤一誠。だがその程度の小細工で倒されるほど、俺は甘くはない……と言いたいところだが、やはり負傷したのは痛いな。しかもこの氷、再生を封じているな(・・・・・・・・・)?」

 

「俺のは封じたくせに自分は再生しようなんて甘い事言うなよ。まあ、安心しろよ。俺が死ねばその氷はなくなる。……まあ、俺がやられるなんてあり得ないけどな!」

 

ヴァーリが即座にその場から離れようとした瞬間、何か紐のような物が空中に張り巡らされているのを見つけた。そして一誠は鎧の中で悪戯が見つかった子供のような顔をしながら、左手の指先に魔力を流しこんだ。

 

「さあ、お前の番だ。見事な雷を俺に見せてくれ。果たしてお前は雷神龍の光鞭(ヴァリツァイフ)の雷撃を受けて尚、立っていられるかな?ヴァーリ」

 

「くそっ!こんな物……!」

 

「もう遅い。迸れ、天すら呑み込む紫電の雷爪(グロン・レイ・ラズルガ)!」

 

一誠が魔力で糸を張ったのは、ヴァーリの攻撃を受け止めた時だ。ヴァーリが後ろに回避した事で鎧の表面に糸が絡みついたのだ。アルビオンが察知しきれないほどに微力だった……のではなく、動揺していたヴァーリにこの糸を感知できないように幻術をかけていただけ。

 

あくまで二天龍の感覚は宿主に準拠するのだ。ヴァーリが分かっていなかったのだからアルビオンが分からなくても無理はない。電撃を受けたヴァーリの動きは格段に鈍っていた(普通ならとっくに死んでいるが)。

 

少なくとも一誠の攻撃を躱しきれなくなるぐらいには、だ。蹴りを受けて吹き飛ばされたヴァーリはなんとか体勢を整えて魔力で回復をはかった。

 

無論、それを許すような性格をしていない一誠は光速で近づいて左足で蹴りを放った。寸前でなんとか回復しきれたヴァーリは左足にカウンターの要領で拳を当てた。

 

左足が膝あたりまで折れたのに苦痛の表情を浮かべた一誠は勢いを利用する為に左手を貫手の形にして、ヴァーリの左肩を貫通させて粉砕した。左手を引き抜くとヴァーリの首を掴んだ。

 

「捕まえた……これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

 

『Loginus Breaker!!!!!!』

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)の胸元が開き、凄まじい領域まで倍加させた事で溢れ出ている魔力を収束させていく。

 

「この俺を……ヴァーリ・ルシファーを舐めるな!」

 

『DividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDividDivid!!!!』

 

『Loginus Smasher!!!!!!』

 

一誠の力を削ぎながら白龍皇(ディバイン・ディバイディング)の鎧(・スケイルメイル)の胸元が開き、同じように莫大な量の魔力が収束されていった。

 

禁じられし忌々しい外法と呼ばれ、手に入れるべきではない力という物の究極。それは歴代最強と称される者たちが使う事で、真なる意味で神を殺す武具ーーーー神滅具(ロンギヌス)という称号を体現する事となった。

 

何故なら両者ともに覇道神、つまりは『神』と呼ばれる存在になっているのだから。何方かが負けるという事は即ち神を殺すという事と同義なのだ。

 

「ロンギヌス……ブレイカァァァァァァァァァッ!!!!」

 

「ロンギヌス……スマッシャァァァァァァァァッ!!!!」

 

赤と白の極光が激突し、世界がその2つの光に包まれ音すらも消え去ってしまったかのように思われた。だが、そのすぐ後に世界を揺るがすような膨大な音ともに2人は包まれ10枚の結界も粉々に砕け散った。

 

辛うじて建物に被害は及ばなかったが、空中で激突した魔力は完全には相殺しきれずその威力によって2人がダメージを負っている事は確実だろう。下手をすれば両者ともに死んでしまった可能性すらある。ちなみに戦闘の光景を写していた監視カメラとサーチャーはすべて粉々になって消えた。

 

そう思っていると煙の中から2人の男性がーーーー一誠とヴァーリが落ちてきた。2人共気を失っているらしく、鎧は解除され自由落下をしていた。シエナや美猴たちは一誠とヴァーリを受け止めようと動こうとしたが、アザゼルたちの手で止められた。決着が着くまで自分たちは手を出してはいけないのだから。

 

一誠もヴァーリも約10メートルぐらい上空で目を覚まし、翼を展開した……のだが、やはり負傷している所為か身体が上手く動かせないらしく、一誠は天使の力(テレズマ)によって空中に浮遊しヴァーリはなんとか受け身をとって着地した。それでも地面に倒れ伏したが。

 

「はぁ……はぁ……俺の、勝ちだな。ヴァーリ」

 

「……ああ、どうやら、そのようだな。もう指一本動かせない。しかも両腕はほぼ破壊されている上に、電撃を受けた所為か足元もおぼつかない」

 

「俺は右腕と両脚が動かない。肋骨も何本か折れてるし、身体には激痛が奔ってて思考が纏まらない。だが、左腕は辛うじて動くようだからお前を殺すにはこれで十分だ」

 

「……負け、か。悔しい、悔しいなぁ!俺は真なる白龍神皇には至れなかったという事なのか。……だが、満足しているよ。俺はすべてを出しきって、その上で負けた。最後の白龍皇として恥ずかしくない戦いが出来たと思っているよ」

 

「……そうだ。お前は俺の長い生涯においてたった1人のライバルだ。俺が死ぬその時まで、お前の事を忘れるなんて事はあり得ないだろう。どこまでも強さを、頂きを求めて歩んできた今のお前はーーーーきっと真なる白龍神皇と名乗れるだけの器だよ」

 

「……ありがとう。この上ない賛辞を君から貰った事を俺は誇りに思う。そしてーーーーすまない、アルビオン。俺は負けてしまったよ」

 

『気にするな、ヴァーリ。お前と兵藤一誠の戦いは歴代の中で最も素晴らしい物だった。俺はお前の相棒であれた事を誇りに思う。だからお前が謝る必要はない』

 

『確かにその通りだ。相棒とお前の戦いは俺たち二天龍の戦いの決着にこれ以上ないほどに素晴らしい物だった。お前は最高の白龍皇だったと、赤龍帝を名乗る俺が保証しよう。……さらばだ、アルビオン。腐れ縁の終焉だ』

 

『ああ、さらばだドライグ。負けた事は悔やまれるが……これだけの戦いが出来たのだ。これ以上望む物など何もない。貴様もそうだろう?リューベンス』

 

『そうだな。新たな神と新たな魔王の戦いとしてこれ以上の物はあるまい。文句などあろうはずもないし、私はこの結果に満足している。先に主のところに逝くとしよう……じゃあな、フィーエルガ。我が同胞よ。先に魔王様(我が主)と対面しているよ』

 

『……ええ。さようなら、我が同胞よ。先に聖書の神(グランドマスター)たちのいるところへ行って待っていてください』

 

Auf Wiedersehen(さようなら)。我が至高のライバル、ヴァーリ・ルシファー」

 

Auf Wiedersehen(さようなら)。俺の至高のライバル、兵藤一誠よ」

 

一誠の左手に収束された魔法弾がヴァーリの心臓を貫き、瞬く間もなく身体中に広がった天使の力(テレズマ)は光による毒の苦痛を与える暇もなくヴァーリを絶命させその身体は灰となって消えていったのでした。




ヴァリツァイフの技がガッシュベルの技っぽいと思っても気にしないように。
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