それから数日、四人の服を買いにいったり、騎士甲冑を作って欲しいと頼まれた八神と一緒に行ったおもちゃ屋でヴィータにぬいぐるみを買ってやったら喜ばれたとかいろいろあった。
「それで俺に何の用なんだ?烈火の将」
「私と試合をして欲しい。常勝不敗の王者の実力を見てみたい。いざという時の為にも、な」
「ふむ。……分かった。だがやり過ぎないようにしろよ。騎士が修練に夢中でいざって時に主を守れないようでは話にならんからな」
「分かっている。レヴァンティン!」
『ja.』
「それが炎の魔剣レヴァンティンね。カートリッジも完備か。それなら俺も剣を使うか。アリファール!」
シグナムがデバイスのレヴァンティンを展開し、俺は竜具アリファールを取りだした。俺たちはシャマルが作った結界の中にいるから問題はない。
まだ騎士甲冑は出来ていないから、ただ試合をするだけなんだが……おそらくろくな事にならない。シグナムの眼が戦闘狂独特の眼をしているからだ。こりゃ試合じゃなくて死合いになりそうだな……。
「行くぞ!」
「いつでも」
切り、薙ぎ、払い、突き。剣を振るう度に剣圧と衝撃波で皮膚が裂けていく。っていうかシグナムの肌が潤っていってるんだが。そんな余計な事を考えていた所為だろう。剣戟を回避しきれなかった。左肩に一撃、貰ってしまった。
「ぐっ……。
「ハァッ!」
剣にごく小規模の竜巻を発生させ、打ち合った瞬間に爆発させる事で相手を吹き飛ばす。なんで非殺傷設定の癖にマジで血が出てくるんだよ。おかしすぎだろ。それぐらいの線引きはちゃんとやっとけよ。
「ったく……。一気に不利になっちまったな」
「何だったら、私に勝利を譲っても構わんぞ?」
「俺が?お前に?……クククッ。馬鹿言うなよ。俺は世界最強だぜ?お前如きにその座を譲るわけにはいかないだろうが!」
「ならばどうする?すでに左腕は動かないだろう。だが私の剣は片手で受け止め切れる物ではない、と自負している」
「やっぱ真剣じゃ駄目だな。ーーーー本気でやらないと。
「ほぅ……」
籠手と脚甲とマントを纏ったアリファールの
「
「なっ……!?」
通常のこの技はアリファールによって発生した風を纏い、その風で空中に浮かび上がるという代物だ。だが
「それがお前の隠し球か。凄まじい力ではないか!」
「舐めんなよ。俺が負けるわけにはいかねぇんだよ。俺は名に負けない存在でなきゃいけないんだ。ただの騎士風情に負けてたまるかよ!」
「面白い……!やはりそうでなくてはな!レヴァンティン!」
『jawhol!!』
「ロード……カートリッジ!」
「ちょっと、シグナム!?」
「ふっ。上等だ!アリファール!」
「ええ!?一誠くんまで!」
シグナムはベルカ式の特徴的なシステムであるカートリッジを使い、レヴァンティンに炎を纏わせる。炎熱変換か、確かに炎の魔剣にぴったりだな。こちらは
「紫電……一閃!」
「
ドガァァァァンッ!炎と風がぶつかり合い鎬を削り小規模な爆発が連続で起こり、最終的にエネルギー同士が混ざり合い巨大な爆発が起こりその果てに立っていたのは……俺だった。正確に言うならより傷が少なく立っていたのは俺だった。シグナムは限界が近いのか、足が震えていた。
「ここまで、だな。さすがにこれ以上は無理だな」
「私はまだ……」
「戦える、て?止めとけよ。これ以上やれば試合じゃなくて殺し合いだ。今も大概だがな」
さっきさすがに大ダメージを避ける事が難しいと判断した俺は魔力を少し解放し、魔術障壁を強化してダメージを減らした。じゃなきゃ左肩にダメージを負ってる俺の方が不利だからな。
「まったく……二人ともやりすぎです!結界の中だから良かったけど、そうじゃなきゃまず過ぎです!それに一誠くんもそんな傷を負ってまで戦う必要はないでしょう?」
「悪いが俺は世界最強と呼ばれてるんだぜ?そう簡単に負けてやる訳にはいかないんだよ。たとえ全力でなくともな」
「全力ではない?本気でやると言っていただろう。何が違う」
「真剣は真面目にやる事で、本気はその時の状態の全力。全力は文字通り枷を全部外す事さ」
「それじゃあさっきのでも本当の全力じゃ無かったって事?」
「まあな。なんせ俺が枷を全部外して戦うと……」
「戦うと?」
「その空間を粉々にしちまいそうな位膨大な魔力を発生させるからな」
「「は?」」
俺の全力は特定の限定条件をクリア出来る次元の狭間でしか発揮する事ができない。そも俺が最後に全力を出したのは、グレートレッドと戦った時以来だ。なんせ今の俺が全力を出せば、ランキング20番以下の存在は一撃で死ぬ。
「まあそれは置いといて、治してくんない?そろそろ左腕の具合がヤバイんだけど……」
「ええ!?」
それからまた一悶着あったわけなんだが。それは割愛しておくとしよう。