リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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襲撃の猫さん

 

 

『なあ相棒』

 

「なんだよドライグ。お前から話しかけてくるなんて珍しいな」

 

『あんな娘のためにここまでやる必要はないんじゃないのか?』

 

「まあ無いわな。それでも俺に出来る事が有るなら、精々それをやりきるさ。言っただろ?俺はやらずに後悔するより、やって後悔したいんだ、ってな」

 

俺たちが今いる場所はとある無人世界。そこでリンカーコアの蒐集活動をしていた。たまに八神から夜天の書を(黙って)拝借し、蒐集活動をしている。八神はいつか倒れると思う。なんだがんだで我慢強い奴だからな。まあ俺のは保険だな。それ以上の意味はない。

 

「それに俺はもう失う事には耐えきれないしな。特に夜天の書に関しては、な」

 

『あいつか……。あれだって相棒のせいじゃないだろう。相棒はちゃんと約束を守ろうとしただろう。いつまで引きずっているつもりだ?』

 

「さあね。でも、俺としても踏ん切りを付けたいのさ。古代ベルカの後悔とな」

 

『そうか……。相棒がそう言うなら黙って従おう』

 

「悪いな」

 

話をしながら、蒐集し続けている。そりゃあ人間から蒐集した方が早いし、なにより手っ取り早い。それでも八神はそれを是とはしないだろうな。優しい奴だし。

 

「現在391ページか。成果としては上々といった所かな?」

 

『……相棒。あの猫どもは放っておくのか?』

 

「暴れない限りはな。俺としても今は、叩き潰すつもりはない。使い魔の類だろうから、あれだけ潰しても効果ないしな」

 

『面倒な物だな。俺としては、白いのと戦えればそれ以外はどうでもいいんだが……』

 

「お前の要望にはちゃんと答えるつもりさ。でも今戦っても、意味がないだろう?」

 

『それはそうなんだがな』

 

「……よし、この辺にして帰るとしよう。そろそろ日も暮れる」

 

そして海鳴市に転移魔法で戻り、夜天の書を八神家に転送した。蒐集の後は幻覚を使って見えないようにしている。

 

このまま順調にいけばいいんだが……おそらく無理だろうな。闇の書の闇。今も八神を蝕み続けているであろう死の呪い。一刻も早く、この呪いをなんとかしたいな。その為には……

 

「邪魔者はいない方が良いよな?猫さん達?」

 

「「っ!?」」

 

「あれ?もしかしてばれてないとか思ってた?でも、残念。最初から気付いてたよ。それで何の用?ストーカーならお断りだけど?」

 

「……八神はやてに関わるのを止めろ」

 

「お前が嫌な目にあうだけだ」

 

 

「……そんな事をわざわざ言いにきた訳?ご苦労様だね。……でも断わる。君たち程度の雑魚のほざく戯言に付きあっていられる程、俺は暇じゃないからね」

 

 

「……言ってくれる!」

 

猫さん達の片割れが襲いかかってきた。多分双子かな?似通ったオーラの感じがする。でもタイプは違うのかな?近接戦闘タイプと魔法を使った中・遠距離タイプ。……まあこの程度なら恐るるに値しないね。

 

「それだけ?」

 

「……ぐっ!」

 

やった事は単純に拳に魔力を纏わせて殴っただけ。でも、拳に集めた魔力の純度と量がまったく異なる。相手の身体強化の魔力のざっと7〜8倍。しかもそれを拳に収束させているんだ。桁違いな威力であることに変わりはないだろ。

 

「チェーンバインド」

 

「ん?」

 

四肢に鎖が巻きついてきた。そういえば、これはユーノ・スクライアが使っていたな。ってことは……こいつら管理局の関係者か。なら……潰すか。

 

「邪魔だよ」

 

「なっ!?」

 

乱暴に腕を振り回し、鎖を粉々に破壊する。足を振り切り、絡みつく鎖を破壊する。やった事はたったそれだけ。それでもそこそこの魔力を込めていたんだろう。直ぐに破壊された事に驚いていた。

 

「どうした?この程度の事に驚いてんのか?管理局さんよ」

 

「……なんの事か」

 

「分からない?別に構わないけどね。直接、体に聞くだけだから」

 

「……くっ」

 

俺が猫さん達に近付こうとすると、どこからか足音が聞こえてきた。それで注意を逸らしたのが失敗だった。視線を戻すとすでに転移魔法で逃げられた後だった。

 

「チッ……」

 

「兵藤!」

 

「一誠くん!」

 

「シグナムにシャマルか……。どうした?」

 

「どうしたじゃない!ここで魔力反応がしたから駆けつけてみれば……一体何があった?」

 

「別に。ただちょっと猫さん達と戯れていただけさ。お前らが気にすることじゃない」

 

 

「……そんなに私たちは頼りないの?」

 

 

「そういう意味じゃない。お前らには無用の心配を掛ける必要はないと思ったから、言っただけだ。ただ一時の平和を謳歌してほしいと思っているだけだ。お前らが頼りないなどとは思っていない」

 

「そう……。ごめんなさい」

 

「謝罪などいらん。ただ結界は強化しておけ。お前らが恨まれていない訳ではないんだからな」

 

「「分かった(わ)」」

 

「それじゃあ俺はもう行く。八神によろしく伝えておいてくれ」

 

しかしあいつら……一体何が目的なんだ?ヴォルケンリッター曰く、完成状態ではない時はマスター以外使用不可と聞いていたが……。別に蒐集はマスターでなくてもできる。だからこそ、俺が今色々とやっているわけだが。

 

たとえ完成させても、暴走するのがオチだ。それなら何故あいつらは俺が八神に関わらないように言ってきたんだ?まるで八神を孤立させるのが目的のような……。しかし、ヴォルケンリッターがいる以上あいつが孤立する事はない。ならば何故……?

 

そんな逃れようのない蜘蛛の巣に捕まった虫のように、思考がどんどん袋小路にはまっていく。だからこそ、シグナムとシャマルの心配そうな視線に気が付けなかった。

 

「「兵藤(一誠くん)……」」

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