リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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管理局の危険性

 

 

「……という訳です」

 

あれから俺たちは翠屋に向かい、そこでお茶会もどきをしつつつい先日起こったジュエルシード絡みの事件の説明をした。まあ、これが単なる組織の一人だったら俺は消し飛ばしてる可能性が高いんだがトップ陣はそういうわけにはいかない。

 

「ジュエルシード……それに魔導士、管理局か」

 

「うさんくさい組織だな。しかしそいつらの使う魔法には興味があるな」

 

「非殺傷設定、確かに画期的な仕組みではありますがそれに頼りきるのはどうかと思いますが?」

 

「そりゃそうだがな、ミカエル。これなら暴れだした神器使いを殺さずに鎮圧できるじゃないか」

 

「しかしリンカーコアとやらが使えない魔法などただの選民思想ではありませんか。実際、魔力を持つ者は優遇され、持たざる者は悲惨な目にあう。これでは平等ではない」

 

「それにこの組織体制は危険すぎる。誠実な者が使うならまだしも、この組織体制は利用するのが簡単すぎる。正義を語る組織が人体実験などしていては本末転倒も甚だしい」

 

絶対に一喫茶店で話すような内容ではないよな。俺は黙って置かれているケーキや紅茶を飲んでいた。やっぱり美味いよな。あいつにも教えておいてやろうかな。あいつっていうのは、教会最強の祓魔士(エクソシスト)のデュリオ・ジェズアルド。美味い物巡りが趣味で何回か会ったことがある。

 

「……それで一誠くん、君はどう思う?」

 

「はい?何がですか?」

 

「だから、管理局の扱いに関してだよ。お前はどう行動するんだ、って話だ」

 

 

「相互不干渉。勝手に侵入してくるなら叩き潰し、何もしてこないなら何もしない。それで十分でしょ」

 

 

「またあっけからんとしてるな。……管理局と接触する機会はまだあるのか?」

 

「知らないよ。それにあんな連中ともう一度顔を合わせるなんて御免被るね」

 

「……またずいぶんと嫌ってるな」

 

「世界を管理とかほざく輩のどこを好きになれと?それに管理外世界とか言って現地人を人体実験の材料にする奴等をマトモだとは俺は思わないね」

 

「それはそうだろうが……」

 

「俺は正義を語る組織が嫌いなんだよ」

 

「それはしょうがねえよ。正義っていう代名詞は人を束ねる上で最も利用しやすい物だからな」

 

「大体、正義なんてくそくらえだよ。立場で意味が変わる正義に意味なんてない。大体、管理局が正義なんて誰が言ったんだよ?

 

同じ価値観を持つ奴なんていない。それなのに、誰が悪とか決め付けるなんてありえない。もしかしたら、誰かの為に行動しているだけなのかもしれない。そもそも手を伸ばしても誰も助けてくれなかったりしたらどうすんだ?話し合いもなしに悪と断じるのは愚か者のする事さ。その点は、悪魔もそうなんだけど……」

 

「ハハハッ、耳が痛いね」

 

俺が迷って冥界に行った時、とある悪魔が襲われているところだった。それを助けて事情を聞いてみると、主がやっていた実験に家族が巻き込まれそうになったからその主を殺したらしい。そこでその主とやらの館で証拠を集めてサーゼクスさんに渡す事でなんとか事なきを得た。

 

「人殺しとかは別としても、それでも他人様の世界に求められてもいないのに介入した挙句、その世界を崩壊させるような組織のどこを信用できる?」

 

「それはそうだろうが……」

 

「それにその世界にはその世界の秩序がある。勝手に介入してもらっては困るだろう?例えば、次元の狭間で好き勝手やる、とか……」

 

「おい待てそれって……」

 

「グレートレッドは怒り狂うだろうね。それでそのとばっちりが来ても別におかしくはないよね」

 

みんなの顔が引きつっていた。実際、夢幻を象徴し世界最強と呼ばれていたグレートレッドの力は他の人たちにとって手の届かない境地だ。そんなのに望んで手を出す奴なんて普通はいない。普通はいないが管理局にとっては知った事ではないだろう。

 

「その時になって俺に頼られても困りますけどね。俺はこうして拒否してるわけですし」

 

「藪をつついて蛇どころか龍ってか?洒落にならねえな」

 

「しかし兵藤くんの意見もありそうですし……こちらから忠告しておけば幾分かはマシになると思いますが」

 

「それもどれだけ効果があるか、だね。私たちとしては余計な事はしないでほしいが、聞いてくれるかどうかは微妙だろうね」

 

「過激派なんかがいたらもう終わりだな。オーフィスは……神出鬼没だから行方も分からないしな。頼り様がない」

 

「かと言ってオーフィスや一誠くん抜きでは勝てる見込みなどないぞ?ただでさえそれぐらい圧倒的な迄の差があるのだから」

 

「そりゃそうだろう。まあその前提も極論と言えば極論だけどな。普通、人間があんなのに挑むか?するわけないだろ」

 

「確かに極論だし、確率的に圧倒的に低いだろうさ。それでもあり得ないわけじゃない。調子にのった人間の傲慢さを甘く見ない方が良いよ?」

 

その調子にのった姿が第二次世界大戦時の日本なんだから。極論、良い事が続けば人間は確実に調子に乗ってとんでもない事をやり始める。そして後戻り出来ないような事をする。そういう思念を見た事もあるし、まず間違いないね。

 

「やはり不干渉ですかね。探せばいるのでしょうが、確率的に低い事は否めませんしね」

 

「大体、堕天使とか悪魔って交渉出来んの?自分は偉いとか思ってる連中ばっかりじゃん。我らは誇り高き〜みたいなこと言ってるけど、馬鹿じゃないの?」

 

俺が紅茶を飲み干しながらそう言うと、サーゼクスさんもアザゼルも苦笑していた。俺の会う堕天使や悪魔って大概そうなんだよな。分を弁えろって話だよ。雑魚ほどよく吠えるって奴かな?ちなみにグレイフィアさんはさっきから桃子さんと喋ってる。

 

「長く生きてる奴の中には、そういう奴もいるんだよ。俺みたいにちゃんと分を弁えている奴もいるけどな」

 

「なら研究ばっかりじゃなくて仕事しろよ。シェムハザさんもいつも言ってるでしょ?仕事しろって」

 

「……お前って本当に俺に対して辛辣だよな」

 

「信用がないからね。何回あんたの研究に巻き込まれてると思ってんの?せめてもう少し、総督らしい所を見せてくれたら変わるかもね。知らないけど」

 

「まあ、一誠くんらしいけどね。そうそう、聞いてくれよ一誠くん!うちのリーアたんが……」

 

「はいはい、ワロスワロス。貴方の妹自慢も大概ですよ?正直に言いますと……面倒です」

 

「ガーン……」

 

「そういえば兵藤くん。相変わらずいろんな所を歩き回っているんでしょう?どんな所に行っているんですか?」

 

「世界一周する勢いですかね。今は休憩中です。……春頃にはこの街を出る予定ですし」

 

「そうですか……。連絡用の何かがあれば良いのですが……こちらとしても依頼がしやすいですし」

 

「え?この間渡した術符があるでしょう?あれで少なくとも十年は持つはずですけど……」

 

「あれは……ガブリエルに持っていかれました。彼女の頼みを断りきれず……つい」

 

「つい、じゃないんですが……まあ良いです。それじゃあ、はい」

 

「ありがとうございます。……おや、お帰りですか?」

 

「これ以上ここにいる意味は無いでしょう?それなら俺は失礼します。それでは、さようなら」

 

一回礼をすると、俺は翠屋を出てまっすぐ家に向かった。別にあの混沌とした場所から一刻も早く抜け出したかった訳じゃないぞ?

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