リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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シリアスッ!!……そして短め。


一誠の苦悩

 

 

八神が倒れた。とはいえ、俺もすぐ側にいたからベッドに寝かせた後、回復系の術式を使い闇の書の進行を押しとどめた。やっぱりえげつないシステムだな。主を殺すのが目的としか思えないし。

 

「一誠!はやては、はやては大丈夫なのか!?」

 

「今は大丈夫だな。放っておけば今年はまだしも、来年には死ぬな。まず間違いなく。これで割と軽い方みたいだしな」

 

「あれで?」

 

「重度になれば、まず常人なら悲鳴をあげるなんて不可能に近いレベルの激痛が奔る。……お前ら、八神との約束は忘れていないだろうな」

 

「……このような事態になった以上、その約束は守れない。主はやて、約束を守れないこの身をお許し下さい。しかし今だけは……」

 

「出るのは構わん。だがここで暴れてみろ、敵味方関係なく俺は貴様らを叩き潰すからな」

 

「ああ、分かった」

 

「それと蒐集するなら少なくとも一人は八神の側にいろ。主の身を守るという意味でも重要なことだからな」

 

「一理あるが、ページが全く足りていない現状でそれだけの余裕はないだろう」

 

「それなら問題ない。ホレ」

 

俺が指を鳴らすと、夜天の書に文字が現れ始める。そして俺の蒐集分である425ページに文字が浮かび上がった。

 

「いつの間にこんなに……」

 

『お前たちがお前たちの主と平穏な暮らしをしていた時だ』

 

俺の左腕が急に光って赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を纏い、尚且ついきなりドライグがしゃべり始めた。

 

「ドライグ、勝手に出てくるな。俺にとってはなんてことはないしな。気にする必要はない」

 

『相棒は欲を欠きすぎだろう。ここまで至るまで一人でやってきたのだ。礼を言われるくらい罰にはなるまい』

 

「そんな物を今貰ってもしょうがないだろう。そんなのはこの一件が終わった時にもらうさ」

 

『そう言って相棒が貰った試しは一回もないだろう。終わった後に相棒に向けられるのは、恐怖と畏怖の念だけじゃないか』

 

「……急にどうしたんだよ?何時もなら何も言ってきたりはしないのに、今回はそんなに言ってくるなんて」

 

『そいつらの顔を立ててやれ、相棒。そしてお前も少しは人と関われ。いつまでもそのままでは……』

 

 

「そのままでは……なんだよ?」

 

 

『ッ!』

 

「なぁドライグ。お前は俺の相棒だ。それなら知ってるだろ?俺が人と関わり、その果てに俺が、関わった人々がどうなったか。

 

ーーーー皆、悲惨な目にしか合わなかった。もしそうなるなら、関わりなんていらない。あの大切な者を失う苦しみを、悲しみをまた味わうくらいならつながりなんていらない」

 

『相棒……』

 

「俺はもうたくさんだ……。力があったって、救えない。俺の力は奪うだけだ。救う為の力が欲しかったのに、俺は結局奪うことしか出来ない!」

 

戦場でたくさんの人々から命を奪い続けてきた。力を持ってすべてを押さえつけた。奪って奪って奪って奪って奪って。ただひたすらに大切な者たちを守るために命を奪い続けた。その果てに俺は友を傷つけ、愛した者を傷つけた。本末転倒も甚だしいという物だ。

 

「俺は……」

 

瞳から涙を流した。あの時以来流していなかった涙。心が痛い。幾ら常勝不敗の王者と呼ばれようと心はまったく強くない。これでは俺に命を奪われた人たちも納得できないだろう。こんな弱者に命を、未来を奪われたのだから。でもそんな俺を優しく抱きしめてくれた人がいた。

 

「大丈夫」

 

「シャマル……それに八神も……」

 

「もう大丈夫やで。……ごめんな。今まで気付くことすらできんかった。一誠くんがそこまで苦しんでたなんて……」

 

「一人にならないで。今は私たちが一緒にいるでしょ?頼れば良いのよ」

 

「俺が頼れば、みんなを巻き込む。そんな事をする訳にはいかないだろ。俺を狙う人種っていうのは大抵化け物みたいな存在なんだから」

 

「なんだ兵藤。貴様は我らベルカの騎士の力を疑うのか?それは侮辱という物だぞ」

 

「……そうだぜ!ベルカの騎士は一体一の戦場において負けはないんだぜ?そんな事でお前から離れるわけないだろ!」

 

「そうだな。主や仲間を守るのも守護獣の役目だ。だからそこまで背負う必要はないんだ」

 

「そうやで一誠くん。だからな、そこまで苦しまんでもええんよ。苦しかったら苦しいって言ってくれればいいんや」

 

「……お前には言われたくないな〜。でも」

 

ずっと一人でいたからだろうか?誰かに頼るなんて選択肢はあり得なかった。すべて自分でなさねばならない。頼れる人なんて誰もいない。ドライグやエレンたちがいたけれど……それでもやっぱり俺は一人なんだと思い続けてきた。でも、それは間違いだったんだろうな。だからこそーーーー

 

「皆、ありがとう」

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