俺が第二の人生として意識を持った時に最初に見たのは――――真っ赤な血と炎と白い翼を持った男の姿だった。
「なんだ……これ?」
「あん?ああ、そんな所にいたのか。全く手を煩わすんじゃねえよ、モブのくせに」
「お前が……」
「ああ?」
「お前がこれをやったのか!?」
「はあ?何を当たり前のこと言っちゃってんの?見りゃ分かんだろうが。もしかしてあれか?あまりの光景に信じられないってか?でもざ~んねん。これは現実だ。お前の両親は死に、そして今からお前も俺から神器を抜き取られて死ぬ。まあ、運命と思って諦めろ」
運命?このまるで人を殺すの当たり前のように、まるで虫を殺すように、ゲームで敵キャラを殺す様な事をする奴に殺される事が?そんな事が運命なんてあり得ないな。そんな物が俺の運命だというのなら。
「此処でぶち壊してやるよ」
「はあ?なに意味分かんねえこと言ってんだよ。っつうか、抵抗とかしてくれんなよ?面倒なだけなんだからな」
左腕に途方もない力を感じる。生前感じた事のない様な、途方もないほどの力。ありとあらゆる逆境を覆し、どんな理不尽をも破壊するような力が。
「出ろ」
それだけ。それだけ告げるだけで、左腕には真っ赤なこてが出てきた。これ、なんだっけ?まあ、なんでもいいか。今はコイツヲブチコロセバイインダカラ。
「神器がもう出現してる?イレギュラーか。まあいいや。その程度なら恐るるに値しないし」
コレデモタリナイカ?ソレナラ、モットモットモットモットモットモットモット。この世の全てを破壊する力。どんな存在でも殺し尽くせるような力を……俺によこせ!
『Dragon Booster!!』
「ああ?もう進化した?そんな事ある訳無いだろうに。抗う気満々じゃねえか。ったくよ……煩わせんじゃねえよ!」
『Dragon Booster Second Reveleshon!!』
籠手が姿を変える。進化し続ける力、か。まったく面白い。目の前にいるこいつも全く唐突な事態に思考が追い付いていないようだな。でもまだ足りねえ。こいつに、人を殺す事を何とも思わないこいつに、人様の前でまるで自分が神であるかのように振舞う傲慢なこいつに、そして何よりも俺の親で会ったかも知れない人を殺したこいつを。
「ぶち殺し、蹂躙する力を寄こせ!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
「こんな馬鹿な事があってたまるか!目覚めたばかりの奴がその場で
目の前の男の背中から十二枚の翼と天使の輪の様な物が出てきた。なんだこいつ?天使かなんかだったのか?
『う、ううん。一体何が……って、もう俺の鎧を纏っているだと!?これは一体どういう事だ!』
うん?誰だ、お前。いつからそんな所にいた?
『いやいや、この事態の方がはるかに気になるのだが……。まあ、良いか。俺はドライグ。赤龍帝と呼ばれている』
そうか。今の俺の名前は分からんが、よろしく。それよりも今は目の前のこいつを殺す為に力を貸せや。赤龍帝なんて御大層な名前で呼ばれてるんだろ?それくらいやれるよな?
『ガハハハハハッ!今代の相棒は最初から戦いに飢えているようだな。だが相棒、残り三十秒ほどでこの状態も解ける。それまでが機会だぞ?』
三十秒もあれば十分だ。お前の能力を簡潔に教えてくれ。
『倍加の力だ。本来の状態――――籠手の状態を【
それだけ分かれば十分だろう。一気にけりをつけるぞ。
『それでこそ俺の相棒だな!力の塊と称された二天龍の力、扱いきってみせろ!』
「上等だ!」
まずは周りの炎を利用する。龍は物語の中でも火を吹く生物だ。耐性はある。まずは地面を拳で殴り、その衝撃波で周りにある物を吹き飛ばす。家具や家の形をまるっきり跡形も無くする。そして炎を操り、【陣】を書きあげる。
「何しようが今更ぁ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
「
魔力を増幅させ、魔法で肉体を加速させ顎先を殴り空中に吹き飛ばした。顎先を殴られた衝撃で軽い脳震盪を起こして体勢を整えられずにいたあいつに最後の一撃をくらわせる!
「求むるは天上の劫火!全ての者を等しく裁きし者よ!今汝の劫火を持って咎人に断罪の一撃を与えたまえ!『
本当はこれ大規模殲滅魔法なんだけど……空中に放つんだし、良いよな。そしてこいつはおまけだ!
『Transfer!!』
俺の力を根こそぎ術式に送り込んだ。そしてその蒼色の炎に浴びさせられた男は、というと堕天使のように羽を散らしながら落ちてきた。そして完全に墜落すると同時に、俺の鎧も解けて籠手の形に戻った。
「く……くそが……たかがモブの分際で……よくも……!」
「身から出た錆だろう。貴様が俺の両親を奪った。その罰が下っただけだろう?今更何を言っているんだか。まあ、安心しろよ。お前はちゃんと殺してやるからな」
「はっ!
俺は
男のいた所に白い球体状の物があり、それが俺に近づき吸収された。それはあの男が持っていた異能の正体だった。でも今は――――
「ここを離れよう。これ以上、此処にいる訳にはいかない」
俺は裏口から脱出したのと同時に、家に完全に火が回った。拳を思いっきり握りしめながら、俺はそのまま家を脱出した。