季節が春に近づき始めたとある日、魔力でも
「本当にここは毎回節目の季節毎に何かがないと気が済まないのか?……まあ、これもちょうど良いのかもしれないけど」
そうだ、ちょうど良いだろう。ここを出ていく踏ん切りとするにはちょうど良い。もう決めていた春は近づき始めた。俺は此処から出ていく。そう踏ん切りをつけるのに。なんだかんだで楽しかったからな。此処に居続けたいという願いは強い。それでも、決めた事は成し遂げねばならない。
「さてと、行こうか。相棒。この土地最後の大仕事だぜ?」
『ああ、いいとも。元々、相棒のいるところが俺のいるところだ。存分に力を振るってくれ』
久しぶりに結界を張ってみると……結構な数の魔力反応があった。それも似たような反応がちらほらと……その中で感じた事もない魔力反応があった。まずはそっちから当たってみるとしようか。
迷彩の魔術を自分にかけた後、いろんな建物の屋根を蹴って進んだ。その道中に歩道で膝をついている赤い髪の女がいた。……こいつ、見た事のない魔力だ。当たりか。そう思って近づいてみるとーーーー
「あ、あの!回復系の魔法か何かは使えないでしょうか!?」
なんて言ってきやがった。正直、頭が痛くなってきて頭をかかえた。そんな事を軽々しく口にするなよ、と言いたいが……他世界の奴にそれを言うのは酷だろう。
「……使えるが、この世界で軽々しく魔法なんて口にするな。変な人だと思われるぞ」
「そんな事はどうでもいいですから!使えるならお願いします!早く早く!」
「ああもう、うるさいな。ちょっと静かにしろよ。言われなくったって、ちゃんとしてやるから……ほれ!」
「痛っ!……これは?」
「回復系のルーン文字が刻まれた術符だ。身体の何処でもいいから張っておくんだな。それで、こちらの質問に……」
「本当にありがとうございました!それじゃあ、急いでいるのでこれで失礼します!本当にありがとうございました!」
そう言うと、さっさと飛んで行きやがった。まったくこっちの話を聞きやがらねぇ……また頭が痛くなってきた。しょうがない……次の奴を探そうと思ったら、似ているようでまったく違う奴が現れた。
「ヴィータ……じゃねえな。気配が全然違うし。一体何もんだ?人の知り合いの形を真似やがって……って言っても、聞く気はなさそうだな!」
「はやてを救うために……お前の魔力を寄越せ!」
光輝の鎧の手甲とヴィータのグラーフアイゼンがぶつかり合う。しっかし、流石は鉄鎚の騎士だな。威力が桁違いに高い。これはあんまりぶつけ合い続けるのは得策とは言い切れないな。
「テメェ!」
「もうお前とこれ以上戦闘を続ける意味はないな。これで終わりにしよう」
振り上げられたグラーフアイゼンを蹴り飛ばし、そのままの勢いでヴィータに回し蹴りをぶつける。すると、ヴィータの身体がばらばらと粒子状に変わり消え始めた。一体どうなってんだ?
「はやて……ゴメン……」
……チッ。後味悪いな。とはいえここで終わりなわけが無いんだ。とっとと次に向かわないと……そう思って動きはじめようとした所にまた誰かが向かってきた。今度は誰だよ!?
「……君は?」
「そりゃこっちのセリフだ。あんたは……いや、あんたらは何者だ。今回の一件の関係者か?どちらにせよ、いきなりこっちに武器向けてきたんだ。やられる覚悟は出来てんだろうな?」
しかし、なんか現代のワルって感じのなりしてんな。全身にタトゥー刻みこんで……ユニゾン中なのかなんなのか知らないが、一体何の目的があって……?
「まあ、なんでもいいかな。結局は戦うことになるんだし。ーーーー
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
『喧嘩っ早くなってなくないか?相棒。そんなにあの女の所業に苛々したのか……』
「え?ひょっとして……一誠さん?そんな、どうして一誠さんがここに、って言うかそんな小さくなってるんですか!?」
「……俺は君みたいなワルの格好をしているような知り合いはいないつもりなんだけど。大体、小さくって何言ってんの?俺は元々このサイズだけど?」
「……降参です。一誠さんと戦っても勝てる気がしませんし、何より戦ってもしょうがないし」
「ふぅん……俺の実力は概ね把握している、と。ますます分からないな。君たちの名前は何なんだい?君たちがこっちの名前を知っているのに、俺が知らないと言うのは不公平だろう?」
「えっと、言いますからとりあえず鎧を解除してもらっても構いませんか?こっちも武器を仕舞いますから」
「……分かった。でも、そちらが先だよ。ただでさえ俺は襲われているんだから」
「……はい。本当にすいませんでした。リリィ」
ユニゾンアウト……だと思う。しかし従来のユニゾンデバイスよりもはるかに大きいな。と言うか、これは本当にデバイスなのか?違う気がする。夜天と似たタイプなのかもしれないが……
「えっと、一誠さん?俺はトーマ。トーマ・アヴェニールです。それでこっちが……」
「リリィ・シュトロゼックです。この世界では初めましてかな?よろしくお願いします」
「……ん。知っているんだろうが、兵藤一誠だ。それでお前たちの知る限りの俺の情報を吐いてもらうことになるが……構わないな?」
「あ、はい。それはもちろん。その代わり、俺も質問しても良いですか?」
「まあ、答えられる範囲なら構わないが。一回毎に質問する事にしよう。……それじゃあまず、俺の事はどういう存在だと認識している?」
「えっと、確か……赤龍帝って奴ですよね?二天龍の片割れって聞きました」
「ふむ……間違ってはいないな。それで、聞きたい事って?」
「えっと、ここは何処なんですか?なんで一誠さんはそんなに小さくなってるんですか?」
「一回と言っただろうが……まず、此処は海鳴市だ。そしてさっきも言ったが、このサイズは最初からだ。それじゃあ次に、君らは何の目的で此処にきた?」
「それが……分からないんです。俺もリリィも気が付いたら此処に居たもので。すいません」
「いや、謝る必要はない。だがそうすると……やっぱりあの赤髪の奴に聞いた方が早いのか……?しかしあいつはまったく話を聞かないし……」
手詰まりか……まあ、この2人は管理局に保護させれば良いだろう。あいつらも組織だし、無実の一般人をいきなり攻撃するような真似はしないだろ。
俺がそう言おうとした時、さらに2人分の魔力反応がこっちに近づいて来ているのを感じた。この反応からして関係者なんだろうが……この2人と同じ被害者の可能性が高いな。一緒に行ってもらうか、と思っていた。だが、その姿を見て動揺してしまった。
「なんで……なんでオリヴィエが此処にいるんだ!?」
いや、落ち着け。落ち着くんだ、俺。よく調べてみろ。気配がオリヴィエのそれじゃない。可能性としては、オリヴィエの遺物から造られたクローンか何か、という事になるだろう。じゃなきゃ、あんなにそっくりなわけがない。だがその子が俺に対して発した第一声がさらに俺を動揺させた。
「どうしてパパが此処にいるの!?」
なんで俺がオリヴィエそっくりな子の親なんだよ!?
どもども、シュトレンベルクです。
前書きでも書きましたが、GOD編の始まりです。いやあ、さっそく混乱気味なイッセーでしたね。ここでまた作者が唐突に考えた意味の分からないものを投入しますので、楽しみにしていてください。
さて、話は変わってここ最近INNOCENTにハマりました。ですが……VIVID九巻付属のシュテルのリライズの仕方が分からない!これはもう一冊漫画を買えという事なんでしょうか?教えてくれると作者は嬉しいです。
話も逸れましたが、本日はここまで!ではまた次回!