あれから数分、動揺しっぱなしだった俺はドライグの一声によりなんとか動揺を押し留めた。まあ、それでもまだ揺れてる事に変わりはないんだがな。
「……それじゃあ、君らは未来から来たってことかい?まったく想像がつかないんだが、何をしたらそんな事に?」
「そんな事を俺たちに言われても困るんですけど……。俺とリリィは特務六課のフォワードチームで訓練中だったんですが……」
「私はアインハルトさん……あ、この人ね。とインターミドルのための練習中だったよ。……パパ、何か分かる?」
「そのパパって言うのを止めろ。現時点で俺は君のーーーー名前なんだっけ?」
「え?ヴィヴィオだよ?兵藤ヴィヴィオ!ザンクトヒルデ学院小学四年生です!」
「ああ、そう。……とにかく、今の俺は君の父親じゃない。そこら辺はちゃんと理解してくれ。でないと俺が混乱する」
「う〜。……じゃあ、私はパパの事をなんて呼べば良いの?」
「別になんでも良いけど、パパだけはやめてくれ。俺が混乱するからな。……何か言いたい事でもあるのかい?アインハルトさんや」
「貴方は……本当に赤龍帝なんですね。まさかこんな場所で合間見える事になるとは思いませんでした」
「……ああ、君はクラウスの末裔か。クラウスと同じ髪と瞳……あとはおそらくだが、記憶も継承しているんじゃないか?」
「……そうです。その上で、私は貴方に問いたいんです。どうして、どうしてあの時クラウスと戦ったんですか?あの時に貴方とクラウスが戦う理由は無かったはずなのに!」
「……あの時の俺には資格がなかった。オリヴィエを止める力も覚悟もない。だからこそ、あの時のクラウスにはその資格があるのか試し、その結果クラウスはその資格を得た。姫様を救うのはいつだってヒーローの役目なんだぜ?」
「クラウスは後悔しました。親友と戦い、倒した挙句に止めたかった人を止められず、さらに倒した親友も一生涯再会する事が出来なかった。そんな彼の苦悩が分かりますか!?」
「ア、アインハルトさん……その辺にして行きましょう?これ以上ここにいても意味ないですし」
「分からないね。あいつはいつだってそんな事を苦悩し続けていた。苦しむ必要のないものに苦しみ、悩む必要のない事に悩んだ。あいつのそういう優しい所は美徳ではあったが、ことベルカの時代においてそれは自分が苦しむ要因にしかならなかった。
……それでもまあ、俺はあいつのそういうところが気に入ってたし、オリヴィエもそういうところに惹かれていたんだ。だから、戦ったことに関して心苦しくなかったか、と聞かれれば否と答えるだろうよ。これで満足か?」
事実、クラウスはあの時代の人間にしては優しかった。美点でもあり欠点でもあったあいつの優しさに確かに俺たちは救われた。だからこそ、あいつの優しさが無駄だったなんて言いはしない。俺はあいつの親友であれた事を誇っている位だからな。
「お前らは管理局と合流した方が良いだろうな。次元漂流者……とは少し違うがそれでもお前らは保護される対象だろう。だからお前らは管理局の関係者を探せ。いいな?」
「パパはどうするの?」
「だからパパじゃないと……いや、もういい。言っても無駄だな。俺は行かないよ。俺は独自に動いてこの一件を終わらせるさ。お前らは俺じゃないんだ。もっと選択の幅があるだろ」
「パパも一緒に行こうよ!絶対その方が早く終わるじゃん!」
「だが断る。俺は管理局という組織が大嫌いなんでね。協力なんてごめん被るな。大体、あんな自分たちの事もちゃんと律しきれない組織なんてあり得ない。だから嫌だ」
「ああ、この頃からすでに始まってたんだ……パパの管理局嫌い。個人なら良いけど、組織になったときに扱いがぞんざいになるんだよね」
「だから一誠さん、特務六課に全然近づかなかったんだ……。っていうか、拒絶反応が強すぎる気がするんだけど……」
「当然だ。現地人を攫って人体実験をするような連中の協力をするような組織の何を信用しろってんだよ。大体、勝手に他の世界に介入している暇があったら自分たちの世界をなんとかしろよ」
「すごい嫌いようですね……これがあの『大天使』だと誰が信じるんでしょうか?」
『大天使』?未来の俺は一体何をやっているんだ?いろいろと聞きたい事はあるが……どうやらそんな事をしている暇はなくなってしまったようだ。海の向こうに魔力反応が集結してる。多分、主犯の連中だろう。
「悪いが、これ以上お前らと遊んでいる時間はなくなってしまったらしい。いいか?お前ら、俺が言ったように行動しろよ?」
「あ、一誠パパ!」
「なんだよ?」
「……頑張ってね!私、信じてるから!一誠パパは絶対に勝つんだって、私信じてるから!」
「くっくっく……中々嬉しい事を言ってくれるじゃないか。ああ、信じて待ってろよ。俺の前には勝利という二文字しかないんだからな。ああ、だからこそーーーー言っておくとしよう」
「「
ああ、なんて面白いんだ。これが未知を知るという事か。面白い、実に楽しい。なら、俺は未来の我が娘に託された信頼に応えるとしよう。
いやに心が昂ぶる。
知らず知らずの内に光輝の鎧を纏っていた俺は唸りをあげていた
「これが……『大天使』の力?なんて強大な力なんでしょうか」
「キレイだね、トーマ」
「そうだね、リリィ。本当に小さかった頃に一回だけ見たことがあったけど、本当にキレイだ」
ヴィヴィオの頭を撫でた後、翼を動かして移動を始めた。魔力反応がさらにもう一つ増えた。其処にいるのは、はやて、夜天、赤髪、さらにあと4、いや5人かな?戦闘も始まってるらしい。俺が着くまで、無事である事を祈る他ないな。
そして移動すること二十分とちょっとで戦場に到着した。其処にいたのは、はやて、高町、テスタロッサ妹いやあれは姉の方か?にほぼそっくりの奴と、ピンク髪の奴にあれは、まさか!?
「ユーリ……ちゃん……!?」
おいおい、予期せぬ再会ってやつだな。俺の胸の内から何かの鼓動を感じる。ああ、やっとお目覚めかよ、ねぼすけさん。まったくお前も面倒な時に目を覚ましたもんだな。
サクラはベルカでの最後の戦いの時からずっと眠り続けていた。受けたダメージが大きすぎたからだと考えていたが、真相は分からない。魔力の使い過ぎか、ダメージを受けたからか、サクラが出てこなかったからだ。逆に言うと、俺がユニゾン無しでレーヴァテインを使えるのはサクラがレーヴァテインの中で眠っているからだ。
「はやて、夜天!」
「「一誠(くん)!」」
「うわ〜!見てよ、王様!シュテルン!天使、天使がいるよ!?」
「落ち着かんか、レヴィ!ふむ、あの者を配下にする事が出来れば我が闇は天すらも支配出来たということになるのではないか?」
「落ち着いてください、王。今の我々ではあの者に勝てるほどの魔力が残っておりません。それよりも今はUーDを回復させる必要があります」
「はやて、あのお前のそっくりさんと高町とテスタロッサのそっくりさんは何者だ?あとそこの赤髪とピンク髪の奴も」
「私は赤髪なんて名前じゃありません!アミティエ・フローリアンというちゃんとした名前があります!」
「教えてもらってないんだから知るかよ。それじゃあ、あのピンクは?あんたの妹かなんか?」
「……うちの妹がご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません!私がなんとかして止めてみます!」
「……はりきっているところ悪いが、どうもそれどころじゃないらしいな。すごい速度で魔力が溜まっていやがる。何が起ころうとしてるんだ……?」
ユーリちゃんの身体からすごい速度で魔力が精製されてる。あんなに溜めてどうするっていうんだ?たとえどんな攻撃が来ても防ぎきる自信はあるし、知りもしないところで転移するなんて愚の骨頂だ。下手な場所に転移してしまったら、そこでお終いだ。
「あれは……マズイ!」
四人を羽で包み後ろに投げ飛ばした。そのすぐ後にそっくり三人組のいたところに攻撃が飛んできた。危なかったな。一体、どういうつもりなんだ?俺たちならまだしも味方を狙うなんて……。
「あなたは……兵藤さん……?どうしてこんなところに……?」
「そいつは俺のセリフなんだけどな。まあ、俺が相手してやるからちょっと大人しくなってくれよ。……はやて、夜天!そいつらを連れて一先ず此処を離脱しろ!残念ながら、お前らを守りながら戦う事は出来ない!」
「なっ!?何を言っているのだ、貴様!システムUーDは我らのものぞ!貴様ごとき塵芥に譲るわけがなかろう!」
「そいつに今、お前らはやられかけたんだろうが!これ以上の問答は無駄だ!早く行け!……心配しなくたって、殺しはしない。お前が“王”という称号を名乗るなら、こいつを救ってみせろ。俺はそれまでの導き手だ」
「貴様……ふん!ここで踏ん張っているがいい!早急にUーDを止めてみせるからな!」
「期待して待っとくよ。……はやて、夜天。お前らも行け。事ここに至ってはお前らも邪魔になる。管理局と一緒に作戦でも立てて、こいつを止めてやれ」
「うん!分かった!暫く待っといてや!必ず戻ってくるからな!」
はやてたちも行った。残るは俺とユーリちゃんの2人だけ。さあ、俺と一緒に踊っていてもらおうか!