海鳴市
あれから四年の月日が経ち、俺は日本に戻ってきた。しかしこの四年でいろんな事があったなぁ。
『しかし相棒。お前も難儀な仕事をしている物だな』
ドライグにはもうすでに転生者の概念を教えて、悪質な転生者と出会ってすらいる。まあ、大体ぶち殺しているが。
「それにしても大変だったな。実体化した精霊が暴れまわるとか悪魔が滞在している所に襲いかかってくるとか意味分かんない事を言ってる奴が襲ってくるとか」
『それで相棒ももはや世界最強を名乗れるレベルに至ったけどな。ありえんぞ?あのグレートレッドとまともに戦う事が出来るなど』
「強かったな。実力はどっこいどっこいってところかな?まさか『覇龍』を使っても一時的な物にしかならないとは思わなかった」
いろんな所を旅している最中に、間違って次元の狭間に行ってしまったんだがその時にグレートレッドと遭遇してなんか向こうがいきなり襲いかかってきたからそのまま戦闘になった。しばらくの間戦っていたんだが、流石に俺も限界になってきたので降参した。
それで理由を訊いてみたら、なんかオーフィスとかいうドラゴンにちょっかいを掛けられていて俺もその手先の一人だと思ったらしい。全く迷惑な話だな。お詫び代わりという事で、この身体をドラゴンの肉体に変えてもらった。正確には龍人で寿命は自由に決められる、という訳だ。
「ところでここはどこだ?そろそろゆっくりと落ち着きたいところなんだが……」
『看板ぐらいあるだろう。探してみたらどうだ?』
「それもそうだな。っと、あったあった。……海鳴市?」
この名前どこかで訊いた事があるような……気のせいか?
「どうでもいいか。次は住居か。……あそこで良いかな。どうせだれも住んでないだろうし」
『こんな所に誰か住んでいたらその方がおかしいだろう。……廃ビルだぞ?』
「ガラスも割れてないし、住居としては何も問題はないだろう。金だけは腐るほどあるしな。食材でも買いに行くか」
『金が沢山あるのは襲ってきた奴らから奪っただけだろうに……。どうやって調理する気だ?さすがに生で食ったりはしないだろう?』
「忘れたのか?倉庫に放りっぱなしだろうが。どこにでも運べるから便利だよな」
魔術の一つで倉庫を作りだしてそこに物を保管する、という物がある。サイズは作る時に込めた魔力量で変わり、最小で小指、最大でシェルターレベルの大きさになる。
まあそんな事は置いといて。スーパーに行ってみると、車いすの少女が何か悩んでいるみたいだった。その視線の先を見てみると、なんかタイムセールスをやっているらしい。……しゃあないか。
俺は身軽さを利用して、隙間を走って取ってきた。ちなみに取ったのは卵だった。それの半分を車いすの少女に渡した。
「え?」
「欲しいんだろ?やるよ。……もらえないなら俺はあそこにこれを戻す必要があるがな」
「で、でも……ええの?」
「迷ってる姿を見せられるくらいなら、な。困ってるなら頼ればいいだろうに。不便な事も多いだろう?」
「そらそうやけど、でもなんか悪いやん?」
「知るか。こっちとしてはその状態で止まっている姿を見る方が迷惑だ。人は一人で生きてる訳じゃない、って誰かが言ってたしな。頼るのは悪い事じゃねえよ。俺はそろそろ行くわ。じゃあな、車いす少女」
「……って!誰が車いす少女やねん!うちの名前は八神はやてや!」
「あっそ。それじゃあな、八神。機会があればまた会おう」
「ちょっと待ちや!あんたの名前はなんやねん!」
「……ふう。兵藤、兵藤一誠だ。今度こそいくからな」
「兵藤、一誠……」
なんか後ろで八神が俺の名前を呟いてるけど……まあいいか。見て回ると鶏肉が安かったから今日は親子丼かな。米もちゃっかりと用意を済ませていた。会計を済ませて家に戻った。
『相棒も珍しい事をするじゃないか』
「たまたまだろ。こんな偶然がそう何回もある訳がない。ところでドライグ」
『なんだ?』
「食事中に出てくんな。食べにくいだろうが」
『それは悪かったな。……しかし相棒、何故この場所に留まろうと思ったんだ?言っては悪いが、何の変哲もない場所としか思えないが……』
俺は夕飯の親子丼をかき込むのを止めると、数秒間言おうかどうか悩んだがすぐに止めた。どうせすぐに分かる事だ。
「……ここはな、ちょうど龍穴に値する場所なんだよ。知ってるだろ?龍脈に関係する所では何があるか」
『ここで何か諍いがあるってことか?』
「それもある。それにさっき感じた事なんだが、この街の転生者の数が割といる。軽く探知できる範囲で三人。詳しく調べてみるとさらに二人、位いる」
『五人、か。今までにはない数字だな』
「そこからも分かるが、此処が何かの重要な場所である事に間違いはないだろう。転生者どもの器を測り、いきすぎた奴は排除する。いつも通りにな」
『妥協できる奴は放置、か?』
「殺す必要性を感じない。俺としては後者の二人がそうであってほしいと思っている。力を完全とはいかないまでも制御しているからな。
俺がそういうと、俺の身体の中から
「そんな事は分かっている。お前は威風堂々と我らを振るえば良いんだ」
「ここ最近赤いのばかり相手にしてるでしょう?たまには私達の相手もしなさい」
「ここ汚いわね……。後で掃除しよう、と♪」
「ああ、僕も手伝うよ。ソフィー」
「久しぶりに外に出てきた気がしますわ」
「ここが日本、ですか。見るのはざっと四年ぶりですわね。いえ、ほとんど始めてみたいな物でしょうね」
「……………」
「勝手に出てくんな!」
俺から魔力を吸いだして人間形態で実体化してくるんだよ。そりゃあ、痛くもかゆくもない位だけどさ、それでも面倒なんだよ。
『というかなぜ神器が実体化出来るんだ……』
「厳密には神器じゃなくて竜具だからな。そんな事は関係ないんだろう」
俺は窓の外を見ながら思っていたのは、この場所では一体何が起こるのか、という期待だけだった。
はい、という訳でりりなの編に突入です。初っ端に遭遇したのは薄幸系美少女(ByリインフォースⅡ)こと八神はやてでした。
実はこの小説の進行は無印→A's→空白期及びD×D原作→strikersの予定でございます。vividとforceに関しては……どうしましょう?状態です。
そんなこんなで第五話でした。それでは皆さん、また次回。