リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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我らに勝利を

聖書の神が身体を使っていたからだろうか?今までよりも身体に天使の力(テレズマ)が満たされているような感覚がする。ああ、こんな感覚は初めてだ。すごく気分がいい。

 

「来い、八舞」

 

「……ここに。身体を取り戻せたようでなによりです。マスター、私はどうすれば?」

 

「まずはよく来てくれた。精霊界と人間界の狭間を突破するのは簡単じゃなかっただろうに。……俺はあの娘を救う。そのためには彼女たちの協力が必要となる。あの風を解け。その後に俺のサポートにまわってもらう。何か不平不満はあるか?」

 

「いえ、私の願いは御身の力になることです。不平も不満も出よう筈がありません」

 

本当ならこんなことに関わりたくないだろうに、俺のためにというただ一つ目的のために黙ってついて来てくれるとはな。相変わらず忠臣というか盲目というか……。でもまあ、今だけは喜ぶべきところだな。八舞の髪を一撫ですると、シャマルに声をかけた。

 

「シャマル。悪いけど、出し惜しみをするわけにはいかなくなったんで俺は使うわ」

 

「な……何を言っているか分かってるの?本来なら1、2週間はベッドで寝ているべきなのにそれが嫌だって言ってたからそう言ったのに……死ぬ気なの?」

 

「ハハハッ!……俺がこの程度で死ぬわけないだろ。俺はいつだって勝利するためにあるんだ。夢幻の象徴である俺がこんな程度で諦めるわけにはいかないだろ!」

 

『中々調子が戻ってきたじゃないか、相棒。しかし、そこの女の言うとおりそこまで長い時間はもたないぞ?聖書の神が相棒の肉体を酷使した所為で、相棒の身体はボロボロだ』

 

「今は俺のことはどうでもいいんだよ。……ディアーチェ、お前はあいつを救うんだよな?シュテルもレヴィも、そのために戦うんだろう?それなら俺はその架け橋になるだけさ」

 

「無論だ!貴様こそしくじるなよ!塵芥」

 

「ユーリのことを、お願いします。私たちも力を蓄えておきますので……」

 

「大丈夫だよ!僕たちが力を合わせるんだから、出来ないことなんてないよ!僕も全力だすし!そうだよね?」

 

「はい!私もキリエも全力でサポートしますのできっと大丈夫ですよ!そうですよね、キリエ?」

 

「……まあ、私もいろいろと迷惑かけちゃったしね。全力で頑張っちゃう!だから……あの娘のこと、よろしくね」

 

「くっくっく……。ああ、楽しいな。共同作業なんて久しくやってないってのに、いきなりすごい事を頼んできやがる。だけどーーーー面白い!ここで応えられなきゃ夢幻の名が、赤龍帝の名が廃るってもんだ!ドライグ、準備はいいか!?」

 

『いつでも出来るぞ、相棒!』

 

「ーーーー融合禁手化(ユニゾン・バランス・ブレイク)ーーーー」

 

『Welsh Dragon Unison Balance Breaker!!』

 

その禁手(バランス・ブレイカー)は今までの物とは全然違っていた。鎧に刻まれた色は黄金。いつもよりずっと多くの量の天使の力(テレズマ)を引き出すことが出来る。身体に満ちる力ーーーー全能感とでも言うのだろうか?に酔いしれてしまいそうだ。

 

聖書の神が身体を乗っ取っていた時の荘厳さ、その圧倒的なまでの輝きはまったく変わらない。だがその輝きは聖書の神のような威圧的な物ではなく、どこか優しげな物に変わっていた。そう皆は表現していた。

 

手を開いたり閉じたりしながら、感触を確かめていた。その時に妙な感触がしたと思ったら、皆が俺の翼に触ったりして遊んでいた。どこか呑気な姿を見ながら、身体中の魔法を起動させた。今なら仮初めだけど、全力を出せるかもしれない。

 

「……サクラ、枷を、総てを呑み込む聖剣の鞘(レーギャルン)を全部外せ。久しぶりに全力を出せるかもしれない。この燻った感情を少し解消しておきたいんだ」

 

俺がそう言うと、簡単に鎖が砕け散った。より多くの量の天使の力(テレズマ)が溢れてきた。いつもなら制御しきれない量だけど簡単に制御できた。そう思っていると、八舞が苦しげな表情を浮かべていた。……ああ、なるほどね。

 

「八舞、お前ももう次の段階に上がっても良い頃だろ。ーーーーお前の枷を外す。また大変だと思うが、耐えてくれ」

 

「私に構わず、やってくださいマスター。必ず耐え切ってみせます。マスターのさらなる支えになる事こそが私の望みなのです。此処で倒れるようなことはありえません」

 

 

「“王冠(ケテル)”の名の下に、“栄光(ホド)”の枷を解き放つ。風を司りし汝よ、その座を超え新たな座へと至れ」

 

 

八舞の身体から暴風とでも言うべき風が解き放たれた。その風の正体は純粋な天使の力(テレズマ)であり、俺から流れ込んできた余剰分の力だ。俺たちが持つ翼は余剰分の力を放出させるためにある。それでも制御が完全に出来る事が条件であるため、まずは身体に天使の力(テレズマ)を慣れさせる手法を取った。

 

一対ずつの封印となっているため、二枚ずつ増えていく筈なのだがやはり増えすぎた所為か一つ枷を外しただけではやはり耐えきれない。少しづつ増やした方が差異があまり大きくない分制御しやすいんだが……仕方ないな。二つ枷を外した。それだけで本来なら供給されない量の天使の力(テレズマ)が放出された。

 

「……ふぅ。どうだ、八舞?身体に大きな変化とかはあるか?気分が悪くなったりはしてないか?」

 

「……マスター……こうでした」

 

「うん?どうした?何か問題でもあったか?」

 

「マスター、最高でした。天使の力(テレズマ)が身体に満ち溢れる感覚と言うのはここまで気持ちのいいものなんですね!」

 

「あ、ああ。そりゃ良かったな。……心配して損した気分だぜ。まあ、いいか。それじゃあ今からでも戦えるか?」

 

「もちろんです。今ならあの娘を1人で相手しても良いぐらいな気分です!」

 

「お前が1人で相手したら殺しちまうだろうが……。ディアーチェ、お前は力を蓄えておけ。俺と八舞でユーリちゃんの力を削りとるから隙を見て放て。俺たちの事は一切気にするな。他の奴も俺たちの事を気にせずに攻撃しろ。万一……いや、絶対に当たらないからな。気にするな」

 

「……大丈夫なんやな?」

 

 

「世界最強とその従者だぞ?心配の必要なんてかけらもないんだ。お前らは全力全開で戦えば良いんだ。……分かったな?」

 

 

『はい!』

 

「よし、いい返事だ。……行くぞ、八舞。望む物はハッピーエンドだ。不可能なんて言葉は捨てていく。夢幻の名の下に、俺たちは希望を照らすんだ。合言葉は……分かっているな?」

 

「もちろんですとも、我が風を持って主の災厄を穿ち新たな世界の幕開けとしましょう」

 

 

「「我らに勝利を(ジークハイル・ヴィクトーリア)」」




5/29 八舞の座位を変更
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