相手には無限の魔力機関。こちらには有限の魔力しかない。それでもあちらは1人でこちらはたくさんの肩を並べ合う者たちがいる。絶対的な力を持っていてもたった1人だけ……本気で昔の俺みたいだな。力を絶対と思っていた昔の俺……それなら俺が止めなきゃいけないだろ!
「行くぞ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
最初から全力でいかなきゃ勝てない。別に削り取れれば勝つ必要はないんだが、それじゃあ面白くない。やるならば勝つ。勝ち負けのない勝負は勝負じゃない。戦って散るなんて今の俺は赦さない。家族がいるやつは待ってる奴のところに帰らなくちゃいけない。
「だからさぁ……負けられねえよな!こんなとこで1人寂しく消えようなんざ認められる訳がねえ!」
想いは力に変わる。求め、欲し、願い続ければ、きっと手は届く。そう信じ続けられるなら構わないじゃないか。戦える。拳を握れ、身体に力を込めろ、意志は折れちゃいない。身体がボロボロだろうが、全身を舐め尽くすような痛みに襲われていても関係ない!
攻撃を紙一重で避け続ける。合間をぬって攻撃をしても防がれる。それなら尚速く、もっと速く、誰もが追いつけなくなる領域まで加速し続ける。防御魔法を展開する暇もなく攻撃しろ。出来ないなどという泣き言は要らないのだ。
「穿てーーーー『
八舞の魔力をこめて弓につがえられ矢として放たれた槍が俺ごと穿つかのように放たれた。速く、威力もあるが……今の俺を捉えられるほどの速さではない。超高速の加速で回避する俺に対して、ユーリちゃんは受け止め防ぐことを選択した。
「それは愚策だよ……ユーリちゃん」
八舞の放った槍は風によって防御を削り取っていく。しかも一度捕まればそれまでだろう。尖端はあらゆる魔法を穿ち、纏っている風は槍を守る鎧であり敵を穿つための矛なのだから。あれの対処法は回避するか、或いはーーーー
「くっ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
槍そのものを破壊する事。でもはっきり言って非効率的だし、戦いの最中にそればかりに集中する訳にはいかない。特に多対一の場合は他の方から攻撃をくらう可能性が高すぎるから、なっ!
圧縮に圧縮を重ねた魔力弾を練りこんで放つ。それも何発も。銃弾爆撃のように放ちまくる。誰も互いの事を気にしていないのだ。これぐらいはかわしてみせろと言わんばかりに攻撃し続ける。
念話が使えない俺と八舞が意思疎通するにはアイコンタクトぐらいしかないが、俺の速度が速すぎる所為で八舞はアイコンタクトなんて出来ないし。何よりも俺自身、余所見していられるほどの精神的余裕がないと言っても良いだろうな。
チラッと後ろを確認すると、各々ちゃんと魔法をチャージしていた。しかしその作業が仇となったのだろうか。ユーリちゃんもこちらの目的に気付いたのだろう。俺も八舞も標的ではない魔力弾が放たれた。目標はーーーー異世界組!?
「チッ、くそが!」
魔力弾をキープして数発落としたが、それでも間に合わない。それなら……身一つぐらいはくれてやるよ!魔力弾を放棄して加速で目の前に立ち一気に力を放つ!
「ガハッ!チッ、やっぱり間に合わなかったか。おい、お前らは無事か?」
一発だけ防ぎきれずに腹を貫通された。まあ、出てきた瞬間に破壊したんだけど。それでもやっぱ腹痛てえな。気にするほどでもないんだが、腹が熱い。よくよく考えてみると、腹に風穴を開けられた経験は無かったな。っていうか、鎧が全然防御の役割してないな。
「パパ!大丈夫なの!?今身体を……」
「気にするほどの損傷じゃない。お前らは魔力を溜めていろ!あの娘は俺と八舞で足止めする。今はしくじっちまったが……必ず成功させるから。気にするな」
「……だよ」
「なんだ?」
「嫌だよ!パパが傷つくところなんて見たくないよ!」
「……ふふっ。大丈夫だって。ヴィヴィオ、お前は自分の父親も信じられないのか?俺はお前と約束しただろう?必ず勝つと。俺は約束を破る事を是とはしない。必ず勝つさ。だからお前はそれを見ていろ。分かったな?」
「……分かった。絶対に帰ってきてね」
「もちろんさ。今の俺に不可能なんてない。なんだって出来そうな気がするからな。……お前らも自分に出来る事をやれ。それじゃ」
八舞も大分苦戦しているようだが、ユーリちゃんの崩壊もなお進み続けている。これ以上は俺たちよりもユーリちゃんの身体がもたないぞ。歯がゆい状況だな。
「退け、八舞。お前はあの娘たちの防備に回れ。準備が整ったらセフィラーで連絡をいれろ」
「了解」
「……さて、そろそろ止まる気はないのかい?このまま行けば君の身体は崩壊して死ぬよ?」
「誰かを壊してしまうくらいならその方がマシです!どうして……どうして皆、こんな私に関わろうとするんですか!?私は誰も壊したくない。だから私は1人でいるべきなんです!」
「泣いている人に言われてもあんまり説得力ないかな?大体、1人でいることは出来ても、独りでい続けることは出来ないよ。人である限り、それは絶対なんだ。……だって、人はそういう風に創られているんだから。大切な人たちと一緒にいたいと思うのが人間の本質なんだから」
孤独であれるのは人外の化け物だけ。正確に言うには完成された存在だけ。完成された存在は何にも興味を示さない。大切な者も、守りたい物も、一緒にあり続けたいと思える者もいない。
だっていらないから。誰が生まれようが、誰が死のうが、誰が怪我しようが、誰が泣いていようが、誰が怒っていようが、誰が喜んでいようがどうでもいい。関係ないから。
あいつらから見れば人間は不完全だ。いや、人間だけじゃない。神だろうが、悪魔だろうが、天使だろうが、堕天使だろうが、神獣だろうが、魔獣だろうが、等しく全てがどうでもいい。自分に関係のない全てがどうでもいい。
だからこそ、あいつらはーーーー
「君が人間である限り、それに変わりはない。プログラム生命体だろうが、クローンだろうが、機械だろうがそこは変わらない!その人が感情を持ち意志を持つ限り、そいつは人なんだ!他の誰が肯定しなくったって、俺が!夢幻の力を持つ俺が肯定してやる!お前らは人間だ!」
「だからこそーーーー君は戻れ。もう取り返しのつかない領域に至る前に、君は戻れ。君には帰れる場所があるんだから」
俺にはもうない。あの時、両親を奪われた時から俺の帰れる場所はなくなったんだから。でも、まだ戻れる場所があるなら戻るべきだ。此処まで落ちてしまえば、残っているのは闇だけなんだから。
「我らが主に請う。何故我々に此処まで苦しき試練を与える?
我らはもう十分に苦しんだ。なれば天主よ、彼らを救いたまえ。
哀れな子羊たちを救え。我は業を背負おう。さすれば他の者に癒しを与えよ。
右手に握られた
その黄金の輝きは全てを救う。傷付いた者の全てを差別することなく、救おうとする人間の愚行。もちろんそのような事を行なった者には業が降り注ぐ。
「カハッ……やっぱ効くなぁ、おい」
急に血を吐いた俺に皆が驚いていた中で八舞は苦しそうな表情を浮かべながら、眼を逸らしていた。やっぱお前には分かるよな。本当の意味で俺と繋がっているお前には。
「さっさとやれぇぇぇぇっ!てめえ等にそんな顔をさせるためにやってんじゃねえんだぞ!」
俺がそう言った時に最も行動が早かったのはーーーーシュテルだっ。さすがは理のマテリアル。己のなすべき領分というのをちゃんと理解しているようだな。……まあ、その眼の涙はできれば見たくなかったが。
「集え、明星!全てを焼き尽くす焔となれ!」
「今のボクはサイキョームテキ!」
「紫天に吼えよ、我が鼓動!我こそが王よ!出でよ、巨獣!」
「真・ルシフェリオン……ブレイカー!!」
「雷光封殺爆滅剣!!」
「ジャガーノート!!」
……うん、正直やり過ぎじゃないかと思ったけど、ユーリちゃんの暴走は止まったらしく落ちていくユーリちゃんを抱きとめた。これで一件落着、かな?
どもども、シュトレンベルクです。あと数話にて一旦なのはシリーズから離れることになるでしょう。とはいえ、忘れた頃にまたやってくるでしょうが。
オリジナルの創造、如何でしたか?これは完全に作者のオリジナルですのでどこを探してもない……と思う。それとこれは神様の『全ての者を救う』という渇望から来ているため、これ自体は一誠の創造ではありませんのでご注意ください。
さて、此処からD✖Dまでの流れを考えないと……あんまり考えてないんです。ですが毎日投稿出来るように頑張ります!それではまた次回!