リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

55 / 180
与えられた奇跡

 

 

「……つまり……という訳だから。ちゃんと気をつけないといけないのよ。分かった?」

 

「分かった分かった。ちゃんと身体には気ぃ配るさ。でもな……力の使い時なんてのは俺が決めることだろう?」

 

「だから……」

 

絶賛お説教され中の俺でした。身体の具合が悪くなったので説教されてるんだが……別にここまで悪くなったのは俺の所為じゃないと思うんだ。でもシャマルたちには憑依という概念がない。だからあれが俺じゃないと言ってもよく分からないんだろう。

 

まあ、体調に関しては豊潤な天使の力(テレズマ)を調節して治している。まあ、負傷と言うか疲れに関してはどうにも出来ないが傷を完治させ損傷を快復させるぐらいなら可能だ。損傷というのは創造を使ったことでの魂の摩耗だ。形成ぐらいまでならそんな事にはならないんだが、さすがに放出型の創造は負担も大きい。

 

しかも他人の傷も疲労も全て術者が背負うという術なだけあって、正直な話疲れてるし癒しているとはいえ眼に見えない傷が痛いことに変わりはない。今も放っておかれたら寝ているだろうな。欠伸を噛み殺すというのも中々どうして大変なものだな。

 

「シャマル〜、もうその辺にしたらどうや?幾ら言ったって一誠くんは考えを変えへんで?それならほっときや」

 

「でも、ここではっきり言っておかないとまた無茶しかねないじゃないですか。ただでさえこれからは、いつもこの街にいれるという訳ではないのに……」

 

「なんだお前ら。何処かに用事でも出来たのか?」

 

「うーんとな、聖王教会って処から誘われたんよ。なんでも、夜天の書は重要な遺物やからちゅうことらしいで?……まあ、誰かに求められるちゅうんは嬉しいことやからな」

 

「ヘェ〜。まあ、信頼出来る人がいるなら俺は頓着しないけどな。……それにしても、またずいぶんと変わったもんだな。たった一年で俺がここまで絆を作れるなんてな」

 

正座を辞めて立ち上がり、談笑していた異世界組のところに向かった。八舞に風で抑えつけられたのが大変だったのか、完全に疲れきっていた。しかしコアクリスタルタイプのデバイスか……面白そうだな。機会があれば作ってみたい一品だな。

 

「よう、お前ら。ずいぶんとへばってるな。トーマ、お前は男なんだからもうちょっと頑張れよ」

 

「そんな事言われても……っていうか、一誠さんはもう大丈夫なんですか?腹に風穴を開けられたり、血を吐いてたりしてましたけど」

 

「腹に風穴を開けられたのは初めてだけど、血を吐いたりするなんてのはたまにあったぜ?それが人外種と戦うってことだからな。とはいえ、俺に傷をつけられたのはランキング上位の連中だけだが」

 

「パパ、そのランキングってなんなの?昔もそんなことを言ってたけど、結局話してくれなかったし……」

 

「ああ〜……別に面白い話じゃない。ようするにこの世界で人外種を含めた全ての生物の強さをランキングで表しただけさ」

 

「……それは一体どんな人たちがいるんでしょうか?それに一誠さんの強さも知りたいです。私もあの速度は眼が追いつきませんでした」

 

「大したことないけどな……そうだな、人間での有名どころだとフェンリルにインドラ、トールやシヴァなんかがいるな。全員と戦ったことがあるわけじゃないけど、それでも俺には及ばない」

 

「ねぇ、トーマ。今一誠さんが言った人たちってどんな人たちなのかな?」

 

「いや、俺も神話とかには詳しくないんだよ。……それで、その辺はどうなの?ヴィヴィオ」

 

「え、私!?……確かフェンリルっていうのは主神のオーディンっていう神様を食べちゃった狼で、インドラっていうのはヴリトラっていう龍を殺した神様。トールは……」

 

「トールは雷を統べる雷神さ。その雷は天空すらも切り裂くと言われ、その鎚は全てを破壊すると言われている。シヴァはヒンドゥー教の三大神の内の破壊神。インドラが倒したがっているんだよね」

 

俺に『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』を使わせたのは、ランキング上位の存在のみ。特にフェンリルは鬱陶しかった。どんだけ攻撃してもピンピンしてるし、動きは速いし、爪と牙は簡単に鎧を破壊してくるしな。最大出力でぶん殴ったら倒せたけど。

 

「まあ、それはどうでも良いか。……なんでトーマとリリィがはやてを怖がってるのか知らないけど、元気だせよ。お前らも荒事に巻き込まれてるみたいだけど、自分に出来ることをやっていれば自ずと道は開けてくるさ」

 

俺はそう言いながら2人の頭を撫でていた。どうもこの2人は俺の中の何かを刺激してくる。印象が子供っぽいって言うか。構いたくなる類の人種だな。2人も甘んじて受けていると後ろから衝撃があったーーーーヴィヴィオだ。

 

「どうしたんだよ。何も慌てる必要なんかねえよ。インターミドルだっけ?ヴィヴィオもアインハルトもヴィヴィオの友達も頑張ってんだろ?

 

……努力は力だ。努力が己を裏切ってもそれにかけた時間は絶対に裏切らない。それは自分の力と自信に繋がる。だから諦めずに頑張れよ。途中で投げださずにやり切ればそれだけで良いんだからな」

 

「……うん。ねぇ、パパは見に来てくれるかな?」

 

「さあねえ……俺はヴィヴィオの知っている俺じゃないからな。なんとも言えないが、お前の時代の俺が変わってないんならーーーー行くだろうさ。まあ、見えない処にいるかもしれんがな」

 

「私、頑張るからね!兵藤に恥じない戦いをするから、ちゃんと見ててね!」

 

「そりゃ俺に言うことじゃないだろ……。聖王に覇王、あとはエレミアがいれば古代ベルカが完全に揃うな。まあ、それは今は高望みと言うものか」

 

でもこの2人が揃った事はけして偶然なんかじゃない。何か……それこそ因果と言った方が良いかもしれない。オリヴィエとクラウスの魂と血を受け継ぐ者がいる以上、リッドの魂と血を受け継ぐ者もまた何処かにいるだろう。……いつか会いたいもんだ。そう思いながら、ヴィヴィオをあやしているとマテリアルズとギアーズの2人がこっちに歩いてきた。

 

「やあ、ユーリちゃん。身体の方はもう大丈夫なのかい?さすがの俺もそっちのその辺の知識は持ってないから、なんとも言えないんだけど」

 

「あ、はい。大丈夫です。……それとごめんなさい。私のせいで大変迷惑をかけてしまって……」

 

「気にする事はないよ。万事まるく納まれば、何も問題なんてないんだからね。重要なのは今までがどうとかじゃなくて、これからどうするかだからね。ユーリちゃんのしたいようにすれば良いよ。……これからは家族仲良くね?君はまだ落ちちゃいないんだから」

 

「はい!」

 

「それでマテリアルズの皆はギアーズと一緒にエルトリア、だっけ?のところに行くのかい?」

 

「はい。エルトリアの復興に尽力していきたいと思っています。こんな我々でも力になれるのであれば、力になりたいと思っています」

 

「それにエルトリアには遺跡とかモンスターとかがいっぱいいるんだって!今から楽しみなんだ!ねぇ、王様!」

 

「ええい、落ち着かんかレヴィ!……まあ、その、なんだ。今回はお前の、お前たちのおかげでこうしてユーリを助ける事が出来た。礼を言う」

 

「そうか、怪我しないようにしろよ?生きてりゃ万事どうとでもなるが、死ねば全部それまでだからな。死んで咲く華などない。……そんなお前らに俺も贈り物をするとしよう」

 

四人を円状で立たせて魔法陣を展開し、真ん中にとある球体を作り出してその上に手を乗せさせた。皆が怪訝とした表情を浮かべていたが、それも一切無視して文言を唱えた。

 

「巡れ巡れ巡れ。繋げ繋げ繋げ。無限に広がり、夢幻を創り出せ。

途切れることなく、終わることなく、初まりを描き出せ。

新たな命と新たな希望はその線を結び合わせ、ここに奇跡は舞い降りる。

総ての初まりである汝よ、今世界は創生の鐘を鳴らした故に新たな命を祝福せよ」

 

光の球体が粉々に砕け散った瞬間に、小さな刃物で傷つけられたような感触に四人は襲われた。そして同時にあることに気がついたのだった。

 

「身体が……人間と同じ物に変わっている!?」

 

「魂はあったからね。あとはそれを入れる身体を新生させることだけだったんだ……君たちを人間にするにはね。さてと、あとは」

 

次元の狭間に溜めておいた天使の力(テレズマ)を凝縮させ圧縮した物をこの術式に使った。それでもまだ全然天使の力(テレズマ)は残されていた。……うん、ここまで集まっていれば何も問題はないだろう。聖天・奇跡の聖槍(ロンギヌスザント・クファールゲイン)ほどではないが、これも聖遺物とかしている。

 

「アミティエ・フローリアン、キリエ・フローリアン。君たちの頑張りに応えてこれをあげるとしよう」

 

「え?い、いえ、そんなの貰えませんよ!私たちのせいで今回の件が起きてしまったのにそんなの貰えません!」

 

「そうよ〜。関係ないヴィヴィオちゃんやトーマ君たちを巻き込んじゃったのに、そんなの貰えないわよ」

 

 

「俺は過去のことをほじくり返そうとしている訳じゃない。たとえことを起こしたとしても、君たちは責任を持ってやり遂げた。ならそれは褒められるべきことであっても、責められることじゃない」

 

 

「それに君たちのために造ったんだから、受け取ってくれないとお蔵入りになるだけだよ?だからさ、ほら」

 

「あ、ありがとうございます……それで一体これは何なんですか?」

 

「奇跡の塊。使い方次第では世界を滅ぼすことも新生させることも、はたまた復活させることも出来る。でも使えるのは一回きりだから」

 

『ーーーーッ!?』

 

皆が驚愕と言った感じの表情を浮かべていた。何かおかしなことでもあっただろうか?槍を持っているアミティエの腕がすごい震えてる。緊張してるんだろうか?

 

「……これならエルトリアを復興させることも可能なの?」

 

「多分ね。話を聞いた限り、エルトリアが衰退し始めた要因は龍脈が枯れ始めたからだと思う。総ての植物を支えてるエネルギーを生み出す龍脈が終わりかけてるんなら、そりゃあ滅び始めるさ。この槍はその龍脈から世界中にエネルギーを流し込む。……まぁ、数千年は持つんじゃない?」

 

「つ、使い方は?」

 

「地面に突き刺して、願いを言うだけだよ。あとこれも一緒にどうぞ。ここ最近完成した重傷か重病にしか効果を示さない薬。研究中に出来たけど、俺には用途がまったくないからあげるよ」

 

「……あり、がとう」

 

「……お疲れ様。今までいろんな苦労があったと思う。でもここから先は皆がいる。シュテルもレヴィもディアーチェもユーリちゃんも、そしてアミタも。1人で背負わなくても良いんだよ。また皆で遊びに来るといい」

 

それでは此度の恐怖劇(Angstspiel)はこれにて終幕とさせていただきます。




どもども、シュトレンベルクです。ご都合主義感が半端じゃないですね。いや〜……一誠がマジでチートですね。

さて次回からは、一誠がいろんな場所を回り海鳴にいる人に別れを告げていくお話です。本当の意味でリリなのと別れを告げる感じですね。

話は変わりますが、作者がここ最近アイディアがいろんな方向に飛んでいっています。TS木場きゅんが出てきたり、はたまた魔法科高校の深雪が出てきたり(別にブラコンじゃないよ)して大変ですね。すいません、愚痴でした。それではまた次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。