リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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子供たちのそれから

 

 

あれから子供たちの手当を済ませて食事を与えた。研究所ではまともな食事が与えられなかったのか皆がすごい勢いで食べていた。最終的には俺の分も分け与えた。正直、俺は必ず食事をとる必要はない。身体の調子に多少影響はあるが……所詮はその程度の問題だ。

 

「あ、あの……」

 

「うん?どうかしたのかい?……もしかしてまだ足りなかったのかな?それなら今から材料買ってこないとないんだけど」

 

「いえ、ご飯はとても美味しかったです。ありがとうございました!……それで僕たちはこれからどうなるんでしょうか?」

 

「……今は俺が預かるし、この後教会に行くがそこでも俺が預かれるように掛け合ってみるが、正直どうなるかわからない」

 

「そう、ですか……よろしくお願いします。えっと……」

 

「ああ、まだ名乗っていなかったか。兵藤一誠だ。さっき俺と一緒にいたのが八舞。それとあそこで子供たちと遊んでいるのがシエナ・K・ティエト。俺の弟子だ」

 

「セイル・ナーヴァンゲルンです。……と言っても、ここにいる子供たちは僕も含めて全員孤児なんですけどね」

 

「別に気にすることじゃないと思うけどな。……さて、俺もそろそろ作業を始めるとしようかな。なんだったら君もついて来るかい?俺は全然構わないけど、君には辛い仕事だから無理強いはしないがね」

 

「えっと……何をするんですか?見る限り手ぶらにしか見えないんですが」

 

「君たちの家族ーーーー助けられなかった子供たちの墓作りさ。穴はもう掘り終わってるから、一応魔法でコーティングされた所に皆一緒に埋める予定だよ。……寂しくないように、ね」

 

「そう、ですか。分かりました。お手伝いをさせていただきます。僕たちの家族をちゃんと見送りたいと思っていますし、最後に顔ぐらいはちゃんと見ておきたいですから」

 

それから1人1人丁寧に埋葬していった。所詮、俺たちにはこのぐらいしか出来ることがないから。最後に土を被せて全員を埋葬した後それぞれの名前を板に刻み、埋葬した場所の上に置いていく。そして最後に黙祷を捧げた後にその場を離れた。

 

年長組はそんなにないのだろうが荷物をまとめていた。八舞はそれを手伝っていった。八舞も旅を続けていく内に人間味が増してきたような気がする。まあ、大抵のことは俺と八舞がするからシエナは遊んでんだろうな。

 

「あ、師匠。終わったんですか?遺体の埋葬は。……私はいなかったから口を挟むことなんて出来ないんですから、私に出来ることなんてこうやって遊んであげるくらいですよ」

 

さっそく子供たちのお姉さんポジションに立ったらしい。なまじ存在が存在だけあって俺と八舞は人の中に溶け込むのが得意ではない。そういう点ではこいつのこういうところは美徳なんだろうな。誰とでも仲良くなれる才能って言うのかな?

 

「マスター、こちらの準備は整いましたので何時でも行けますが。そちらはどうでしょうか?」

 

「ああ、問題ない。他の皆はもう移動しても平気か?最後に墓にお祈りでもしてきたらどうだ?しばらくは戻ってこれないからな」

 

「今行ったら、きっと未練が残っちゃうし悲しくなります。これ以上みなさんにご迷惑をお掛けする訳にはいきません。ですから、大丈夫ですよ。それにもう絶対に来れない訳じゃないんでしょう?それなら、また来れば良いだけですから」

 

「そっか……。まあ、君たちがそれで良いと言うなら俺がこれ以上何かを言うのは不粋の極みだな。分かった。それじゃあ、行くぞ」

 

右腕を振り払い、空間を切り裂く。その光景を八舞とシエナを除く全員が驚いていた。驚いている間に俺たちが先に進んだのを見て慌てて追いかけてきた。その先にあったのはーーーーバチカンにある法王庁だった。

 

俺たちがそのまま進んで行くと、とある巨大な扉を見つけた。ここから先に進めるのは俺だけであるため、八舞とシエナは他の皆を守る役目をしてもらい俺は資料を持って前に進んだ。扉を開けた先にある物、それは天界。

 

門番の天使に話しかけた後、案内役の天使の先導で俺は神殿に案内された。そこの神殿のある部屋に一つの円卓と五つの座席があった。もう四つは埋まっており、俺は残る一つの座席に座った。同席しているのは四大セラフと称されるミカエル、ガブリエル、ウリエル、ラファエルの四天使。

 

「よく来てくれましたね。兵藤くん。それで話とは何なのでしょうか?まさか連絡した数時間後にまた連絡を貰うとは思いませんでしたし……何か重要な事なのでしょうね。その表情からして」

 

「そうですね。こんな事がばれれば教会にとっては痛い事になるであろうスキャンダルですよ。……聖剣計画、というのはご存知でしょうか?」

 

「……いや、聞いた事がないぞ。少なくとも私は聞いていない。お前はどうなんだ?ラファエル」

 

「私だってそんな話、一回たりとて聞いた事も見たことだってありませんよ。それはミカエルもガブリエルも同じ筈です。少なくとも書類では一度も報告を受けていません」

 

なるほど、少なくともこの研究は天界の許可を得て行われていた物ではないと言う事か。四大セラフの誰も知らないなんて正直、問題だと言わざるを得ないけどそれは今言うべき事じゃない。俺は持ってきた資料をミカエルさんに渡した。それを見ていく内にミカエルさんの顔がどんどん厳しい物に変わっていった。

 

「……この被験者であった子供たちはどうなっているのですか?兵藤くんのことです。放っておくなんて事はしていないと思いますが……」

 

「子供の半数近くは間に合いませんでしたが、残り半分は何とか助けることが出来ました。今もバチカンにいますしね。間に合わなかった子供に関してもちゃんと埋葬して来たので、その点は安心して下さって結構です」

 

「ミカエル、一体どういった内容だったんだ?少なくともマトモではなかったことは分かるが……」

 

「聖剣を使える者を人工的に創り出そうという計画で、俺が行った時には聖剣を使える者から因子を摘出する実験をしていたんです。毒ガスで殺してから因子を全部抜き取るという手法だったみたいですね」

 

驚愕、悲嘆、憤怒という感情がその場を支配した。今すぐにでもこんな馬鹿な事をした愚か者を断罪したいという感情が伝わってくる。でも、同時に理解している。俺がそんな現場に居合わせて何もしない訳がないという事が。

 

「……治療に専念していたので八舞に任せたんですがただ1人、研究者で逃げた者がいます。その者の名前はーーーーバルパー・ガリレイ。この研究の主任研究員だったそうです」

 

「バルパー・ガリレイ、ね。まあ、どんな人間にせよこのような研究が赦される訳がありません。異端確定は間違いないでしょうね。……とはいえ、この研究ももう少し限度を見極めれば評価されただろうに」

 

「……それは死んでいった子供たちに対する侮辱と認識しますが、よろしいですね?1人でも被害を出した時点で評価も何もない。たとえこれが教会の戦力強化に繋がったとしても、俺は認めない。神の愛なんて何処にもありはしないじゃないですか。

 

これだから、神の名を語る奴は嫌いなんだ。全部自分の都合の良いように利用する。たとえ死んでもそれは神の身元に行くだけだから気にする必要はない?ハッ!……反吐が出る」

 

「そうですね。主が生きていたとしても、このような研究をお認めになる筈がありません。ラファエル、貴方も不謹慎な事は言わないでください。セラフの一員である貴方がそのような事を言ったと知られればマズイ事になるのは目に見えているでしょう」

 

「……確かに。言葉が過ぎましたね。申し訳ない。それでこの議題どうします?バルパーの異端指定は兎も角として、この研究の被験者たちは」

 

「その件ですが、俺に彼らの身柄を預からせていただきたい。彼らは今回の一件で教会に不信感を持っているでしょうし、今の彼らは聖剣を使うどころか生きていくので精一杯と言った程度の量しか因子が残っていない。今回のような悲惨な目にあった彼らには、これからの人生を自由に歩む権利がある。違いますか?」

 

「……ふむ、良いんじゃないか?下手な所に預けるよりも兵藤の所に預けた方が安心できるし、なにより敵対する事もないだろう。それに……兵藤の言う事にも賛成だからな」

 

「そうですね〜。私も賛成です。その子たちにはちゃんと家族として、人間として当たり前の日常を歩んで欲しいです。それは、ミカエル様もラファエル様もそうでしょう?」

 

「そうですね。それで兵藤くん。まだ住宅の準備が終わっていないのですが、どうしましょうか?まさか天界に来させるわけにはいきませんし……」

 

「寂れた教会とかあるなら、それで良いですよ?或いは一定以上の広さならたとえボロくても構いません。とりあえず今日一日はホテルを利用しますので。それではこの議題終了。他に話しておく事はありますか?」

 

「そうですね……それじゃあ」

 

この後、数時間ほど会議を続けた後解散となったが一時間弱ほどガブリエルさんに捕まって皆を待たす羽目になり、夕食は豪勢な物になった。……1番食べていたのは従者2人組だったが。

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