リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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教会最強

 

たった数日でゼノヴィアとイリナの実力は格段に上がったと言っても過言じゃないほどに力を伸ばしていた。今ならば下の中ぐらいの上級悪魔を殺せるくらいの実力を有していた。

 

「ふむ。一撃当てられるぐらいには実力も付いてきたな。やるじゃないか。俺の予想よりも遥かに速いと言っても良い」

 

そう言った俺の目の前では倒れ伏した2人がいた。まあ、連日で自分で言うのもなんだがきつい修行をしてるんだもんな。別に一日……いや、半日程度なら休ませても構わないか。

 

「そうだな。両方とも俺に一撃を当てられた褒美に明日の正午までなら休んでも良いが……どうする?」

 

「……正午までじゃなくても良いからとりあえず休ませてほしい。疲労がすごいし、手に力が入らない」

 

「そうよね〜。私なんて膝が笑ってるのよ?それに……悔しいけどあんなに練習したのに一撃入れるので精一杯だなんて、イッセーくんって本当に人間なの?」

 

「戦ってきた相手の質と量が違うんだ。もし俺がお前らに負けたらそいつ等に謝って回らなきゃなんねえだろうが。それにちゃんとノルマはクリアしてんだから、とりあえずはそれを誇れよ。

 

……さて、それじゃあ明日の昼まで休みとする。ちゃんと身体を休ませておけよ」

 

そう告げるとのろのろとした動きではあったが、2人は歩いて行った。一抹の不安が残るような動きではあるが、俺が何かをするわけにはいかない。此処にいる連中の中で俺の存在を知っている者は数少ない。問題があるわけではないが、俺のことを赤龍帝として認識させると面倒なことになる。

 

「……それでそこのお二方は一体何の用で待ってるんです?こうやって待ってるのも別に構いませんけど、面倒なんで早くしてくれません?」

 

周りには誰もいない。他の人から見れば一体何を言っているのだと思われるだろう光景だったが、言ってから数秒と経たない内に後ろに生えている木から剣戟が飛んできた。

 

ため息混じりでそれをアリファールを出して弾きつつ、上から飛んできた祓魔弾を風を乱して剣戟が飛んできた方向に飛ばす。数回ほど弾かれたような音がしたと思ったら、剣を持ってる男が突っ込んできた。

 

この気配……龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)か。恐れるほどでもないが剣を回避し、すれ違いざまに蹴りをわき腹に直撃させた。そのまま肋骨を折ろうとしたらまた背中目掛けて弾丸が飛んできた弾丸を回避した。

 

「魔帝剣グラムか。ああ……あんたがジークフリートか。教会最強の剣士。複数の魔剣を操るという噂の。二つ名はたしか……魔剣帝(カオスエッジ)ジークだったけ?」

 

「そんなに余裕そうな表情を見せられるとね。それにこっちも気付かれてるし……なんで貴女も此処にいるんです?シスターグリゼルダ」

 

「ゼノヴィアを鍛えているという教官殿を見にきたのよ。こんなに若いとは思わなかったわ。それにこっちの存在がばれてたのに慌ててちょっと攻撃しちゃった。ごめんなさいね」

 

「いえいえ、お気になさらず。しかし、シスターグリゼルダ……女性最強の祓魔士(エクソシスト)グリゼルダ・クァルタ。何この最強の連戦。別に文句じゃないけど、こんな風になるとは思わなかったね。それで満足いただけましたか?」

 

「僕としてはもう少しお相手願いたいくらいかな?君の実力を測ってみたい。ゼノヴィアも紫藤イリナも弱くはなかった。いくら今が成長期だとは言っても、あの成長具合は異常だからね。あそこまで育てあげた君の実力を知りたいと思うのは剣士として当然さ」

 

「それなら私は見学してるわ。あそこまであっさりと対応されると此方としても、ちょっとへこむしね……」

 

そんな事言われても……なんで身に覚えのない攻撃を受けなくちゃならないんだ。そりゃ傷は残らないけど、それでも痛いものは痛いのだからできる限り受けたくはない。あの弾丸といい、ジークフリートの剣戟といい、受けたらタダじゃ済まないのは間違いない。って言うか素で俺の障壁を突破しかねない威力だったし。

 

『しかも魔剣最強であり龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)だ。くらったらそれだけで終わりになる可能性は大いにあるぞ。相棒』

 

ってもな……あれに対抗できるのは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)竜具(ヴィラルト)しかない。かぁ〜!全部相性最悪じゃん!こういう時、マジで不便だな。……あ、そういえばミカエルさんから保険として光の剣を貰ってたな。あれで良いじゃん。

 

『相棒、相手はグラムだぞ?ただの光の剣にたじろぐような物じゃない。それぐらい分かっているだろう?』

 

大丈夫だって。きちんと魔術的改造は加えてあるし、それにーーーー当たらなければ良いんだろ?忘れてんのかよ、ドライグ。俺は剣だって超一流なんだぜ?

 

『ああ……そういえば相棒の手際の広さを忘れていた。実際おかしいだろう?相棒の得意な物とはなんだ?大剣、槍、杖、鞭、鎌、斧、双剣、拳闘、それに加えて魔術に魔法。おかしすぎるだろう』

 

全部やろうと思えば、誰でも出来るよ。ただ両立させる事が極めて難しく、集中力がそこまで続かないだけだよ。それなら無我の境地にでも至れば可能だろう。そこまで必死こいてやる奴がいるかどうか、俺は知らないが。

 

一誠が前世において《シャドウ・ハウンド》と呼ばれていた時、肉体の疲労度や損傷具合などをまったく考慮せずに修行していたため、その熟練度は並大抵のものではなかった。その経験に加え、人外連中との戦いは一誠の実力をさらに跳ね上げさせた。

 

「悪いんだが、此方もちゃんとした武器が無くってね。有り合わせで悪いが、これで挑ませてもらうよ」

 

「光の剣、か……まあ急な事だしね。しょうがないと思って我慢するよ。それに剣技自体はそれで見る事も出来るしね」

 

「まあ、退屈だけはさせないから安心してくれて構わないよ。俺自身、教会最強の剣士の力量は気になるところではあるし。それじゃあ……行くぞ」

 

光の剣に大量の天使の力(テレズマ)を流し込む事で、別の位階の物に昇華させる。『光の剣』から『光り輝く剣』と呼ばれる存在にその剣は進化し、さらには莫大なまでに身体能力を上昇させた。

 

「……え?それ、本当にさっきの光の剣なの?もはや別の物に変わっているとしか言いようがないぐらいなのだけど」

 

「ええ。と言っても、ちょっと細工をしていますのでただの、とは言えませんがね。それでも、これはさっきのと同じ光の剣ですよ。

 

……とはいえ、もはや別の位階に駆け上がっていますから、まったく同じとは言えませんが。言ったでしょう?退屈だけはさせない、とね」

 

「面白い!こんなに面白い物を見せてくれたんだ。僕もしっかりとそれに答えなければならないね!全力でお相手しようじゃないか!」

 

ジークフリートは背中から龍の手(トゥワイス・クリティカル)を出現させた。本来は腕なんだろうが……これも亜種って奴なのか。本人の力を二倍にする神器。武芸者が持つには最適の神器だしな。腕が三本もある相手をするなんてそうない事だからな。せいぜい楽しませてもらうとしよう。

 

その光景ははっきり言って、異常の一言だった。教会最強の剣士であり三本の魔剣を使っている上に、さらには龍の手(トゥワイス・クリティカル)までも使っているジークフリート。対する一誠はいくら身体能力を上昇させたとはいえ、光り輝く剣一本だけだ。この時点で形勢は不利なのだ、普通なら負けてもおかしくはない。

 

それなのに負けているのはジークフリートの方だった。縦横無尽と駆け抜ける光り輝く剣が次々と飛来して来る魔剣を完全に防ぎ、流し、弾きあまつさえ反撃もしていた。

 

事実、グリゼルダもジークフリート自身もこの状態に驚いていた。自分では遠く及ばないほどの力を持っていた事に。そして疑問を抱いた。ーーーーこの少年は一体何者だ?と。

 

「これで……終わり!」

 

「なっ、しまっ……」

 

手に持っていた全ての魔剣を吹き飛ばされ、首元に剣を向けてきた。ジークフリートが降参すると一誠は力を抜き、光り輝く剣は元の光の剣に戻ったがその瞬間に粉々に砕け散った。剣自体が負荷に耐えきれなかったからだろう。ため息をもらしつつ、欠片を回収した。

 

「君は……一体何者なんだい?自慢じゃないけど、僕は教会の中でも有数の実力者だ。その僕を簡単に圧するなんてできる訳がない。でも、君はそれをしてしまった」

 

「ああ〜……結局ばらさなきゃダメなのか。……まあ、しゃあないか。俺は傭兵なんですよ。此処には天界のとある方からの依頼でいるにすぎないんですよ」

 

「とある、方……?それに傭兵なんて物をどうして雇ったりなんか……ん?待てよ、傭兵でここまでの実力を持つものって」

 

 

「赤龍帝兼七つの竜具(ヴィラルト)の主、兵藤一誠です。以後、お見知り置きくださいな」

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