会議室に着くと、セラフ四名と教皇・大司教の面々が座っていた。教皇・大司教の面々は後から入ってきた俺を不審げな表情で見ていたが、セラフの面々が何も言わないので何かを言ってくる事はなかった。
「……それで、今日の議題は何なんです?正直呼ばれただけなんで何がどうなってるかまったく分かってないんですか」
「今日の議題は、『聖女』の話ですよ。君も天界に名を連ねる者ですからね。こういう議題の際には呼ばなければならないのです。手を煩わせることになって申し訳ないとは思うんですがね」
「別に文句を言いたいわけじゃないんですが……。それで、その聖女がどうしたと言うんです?何かまずいことでも?」
「……実は」
「かの聖女はよりにもよって悪魔の傷を治していたのです。我らが主の祝福を受けた者がそのような事を赦される訳がない。彼女を異端とすべきです!」
「なんとまぁ……そんな事があったんですか。随分とまぁ、度量の狭い事だ。確か彼女ーーーーアーシア・アルジェントさんの持っていた神器は
「そうだ。それがどうした!?如何なる理由があろうとも、主の敵である悪魔を治すなど魔女の所業に違いない!」
「……これだから教会の頭でっかち共は。
まぁ、それもこれも聖書の神が既に死んでいるから起きた事象なんだろうが。生きていたのなら、そんな風になるわけがない。彼女ばかりを責めるのは筋違いと言う物であろう。彼女は彼らに利用されただけなのだから。
「それにたとえ彼女が悪魔を癒したとしても、あんたたちに魔女などと呼ばれる筋合いはないだろうが。さんざん彼女を聖女として利用していたくせに、何を言ってんだこの恥知らず共が。勝手に聖女にしておいて今度は魔女だと?寝ぼけた事をほざくのも大概にしろよ」
「こ、この……」
「……ミカエルさん、こんな会議は無意味だ。あなた達がアーシア・アルジェント嬢を異端扱いするのは勝手だから好きにしろよ。でもその後はこちらで引き取らせてもらう。後、俺は教導の仕事を辞めさせてもらいます。もう教える事はありませんので」
「ま、待ってください!それは」
「あなた達が何をしたって構わない。俺は俺で好きにやらせてもらう、たったそれだけの事ではありませんか。何か問題でも?」
多大なる屁理屈。干渉しない代わりに、その後は自由にやらせてもらう。組織に属していない者にしかできない事だ。俺は座っていた席から立ち上がり、ドアのノブに手をかけたときに後ろを振り向いた。
「それじゃあ、お疲れ様でした。俺はここで失礼させていただきます」
後ろから罵詈雑言が聞こえてきたが、密度の濃い殺気をぶつける事で黙らせた。どれくらい濃いのかと聞かれれば常人なら失神、人外の類でも寒気がよじるくらいだと言っておこう。部屋を出ていった俺はシスターにアーシア嬢の居場所を尋ねた後、彼女のいる場所に向かった。
そして彼女は礼拝堂で祈りを捧げていた。いくら祈ったって届きやしないのに、どいつもこいつも。祈れば叶う、願えば通じる?美しいし、事実としてそんな事があるならさぞかし素晴らしい事だ。でも、そんな物はまやかしだ。自分から行動した者だけが願いを叶えられるんだから。
「あ、あの、貴方はどなたでしょうか?」
「……ん?ああ、俺か。俺は兵藤一誠。シスター・アーシア、貴女に話があって来た」
「私に、ですか?」
「ああ。君は遠からず、異端扱いを受けて教会から追い出される事になる。そこでだ。俺は君を引き取りたい。そこには俺の家族もいるから、もし行くところがないならと思ってな」
「そう、ですか……ありがたいお話ですけど、迷惑をお掛けする訳にはいきません。でもこんな私を心配してくれてありがとうございます」
「気にする必要はないんだけどな……それじゃあ、もし教会を追放されたらここに連絡をとってみると良い。俺からの紹介だと言えば問題ないはずだから」
「あ、ありがとうございます……どうしてここまで気にかけて下さるんですか?私と貴方はこれが初対面の筈でよすね?」
「そうだね。確かに俺と君はこれが初対面だ。でも君の噂は何度か耳にしていてね。聖女として君が救ってきた人々は決して無駄じゃない。これだけ頑張った君には、救いの手の一つや二つあったって何もおかしくない。だからだよ」
俺は踵を返し、何度も頭を下げてくるアーシア嬢に手を振りながら出ていった。イリナとゼノヴィアに俺が教導の仕事を辞めると伝えると猛反対を受けたが、最後には分かってくれた。シスター・グリゼルダにはゼノヴィアの方から伝えてもらう事にした。連絡先にも事情説明と彼女の今後を任せた。
それから約三ヶ月、子供たちを鍛え上げる期間に用いて俺は家を維持できるだけの金を振り込むことを伝えると俺は出て行こうとした。その瞬間、右手の甲が急に光だした。腕を持ち上げてみると、光が出てきたと思ったら祐樹に向かった。
「セフィラーが動いたか。こればっかりはどういう原理で動いているのかまるで分からないな」
一誠の有しているセフィロトの樹は本人の意思ではなく、セフィロト個人の意思が彼に追従する者を決定する。そこにどういう理由があるのか、どういう原理で決定しているのか、一誠の手をもってしても未だ解明しきれていない。
「位階は……
「えっと……それはどういう?」
「これから俺が与える物を受け取れば、君にさらなる力をあげよう。その代わり、その生の全てを俺に捧げてもらう。命の尽き果てる時まで、俺との別離まで俺は君を離さない。俺の
セフィロトの樹から与えられる
「……なります。私は皆を守る力が欲しい。そのために貴方に終生仕え、私の全てを一誠さんに捧げます」
「良いだろう。それじゃあ、八舞、シエナ。一緒によろしく」
「畏まりました、マイマスター」
「了解。私の後輩か〜なんか楽しみだな」
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圧縮した
「汝に力を与えよう。比類なき力。誰も汝を穢すことはできず、天上の世界において汝を統べるのはただ一人」
「ここに始まりは刻まれる。力を是とし、我らは絶対の主にその忠を捧げよう。さすれば我らは死がその身を別つまで共にあり続けよう」
「ここに終わりは刻まれる。主と我が身を繋ぎし誓約は死という力によってのみ解かれる。なればこそ、我らはただ一心に強さを求めよう」
「ここに儀の刻印は刻まれる。汝、木場祐樹よ。契約を結ぶ気はあるか?死が我らと汝を別つその時まで、共にあり続ける覚悟はあるか?」
「「「汝に、最強という名を背負う覚悟はあるか?」」」
「……もちろんです、我が主。死が私と貴方を別つその時まで、私は貴方に忠誠を誓いましょう」
その言葉を皮切りに肩に置かれていた聖槍は空中に浮かび上がり、そうして勢いよく心臓を貫いた。槍が新たな身体へと新生させていく。そうして完全に新生されると右手に新たな座位としての刻印を刻みこんだ。新たな
「ここに契約は結ばれた!さあ、我が愛しき爪牙よ!我が愛しき
ここに