リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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ちょっと急すぎるリリなの勢登場。これ以降はstrikersまで出てきません。


懐かしき場所へ

 

 

京都を去り、有名な観光地を回ったりしている最中にシエナが家に戻りたいと言ってきたので、俺たちは久しぶりに海鳴の地に戻ってくる事になった。街に結界が張ってあった事に侵入して初めて気がついた。

 

急いで俺たちの存在を逆探知できないようにしたが、ばれている可能性は大いにある。しかし一時的にとはいえ、俺が認識しきれないほどの結界を張れる奴なんてそう多くはいない。あいつらにはもうばれているだろう。

 

まぁ、構わないか。学校にいるだろうし、見つかるには時間がかかるだろう。そう呑気な思考をしていた俺はわかっていなかったが、今の季節は冬が終わりを迎え春に移り変わる寸前ーーーーつまり世の中では卒業式のシーズンなのだという事を。

 

「さて、俺たちは久しぶりに戻ってきたわけだし街を散策しているとするわ。お前は両親に挨拶して来い」

 

「了解。終わったら連絡いれるから。……お父さんは未だしも、お母さんは驚くだろうな〜♪」

 

その後ろの姿を見送りつつ、俺は記憶の片隅に残っている両親の思い出を思い出していた。そろそろ両親の命日だし、墓参りをするのも悪くないかもしれない。そう思いながら、街を歩き回った。昔いた時はなかった物、前もあった物、もうなくなってしまった物。

 

時間のすぎる速度と、物の儚さを感じつついろんな場所を歩き回り海辺に来ていた。こんな風にゆったりとしているのも珍しい。俺たちが行くところは基本的に陸続きの場所ばかりで、海のある場所には滅多に行かなかった。理由は特にないんだが。

 

「マスター、どうかされましたか?」

 

「ん〜……平和だな、と思っただけさ。俺たちには敵が多くて、戦いの多い日々だ。平和というたった二つの言葉がどれほど尊い物か知っている。この国の人が感受している大切な物の価値を知っている。

 

この一瞬を、この刹那をもっと味わっていたい。そういう欲求が生まれてくる。でも、それはきっと誰かが自分の近くにいてくれるからだ。その事がすごくありがたくて……嬉しいんだよ。それを再確認しただけさ」

 

「そうですか。それは良かったですね。マスター、この後はどうされるのですか?正直な話ですが、全世界を回った私たちがこれ以上何処に行くのですか?」

 

「そう、だな……とりあえず両親の墓参りを済ませた後は何処かで身を固めたいな。旅が長すぎたからな。休息も必要だろうし……ゆっくりやるさ。人生はまだ長いんだからな」

 

「そうですか。一応方針が決まっているようでなによりです。しかしマスター、オーフィス殿は来ては仲間に引き入れようとしているようですが……よろしいのですか?」

 

「俺はあいつの友達だけど、そんなのに協力するつもりはないんだよ。……それにお前が聞きたいのはそんな事じゃなくて、あいつが次元の狭間に戻りたがる理由だろう?」

 

「……はい。恐れながら申し上げさせて頂きますが、オーフィス殿は何故グレートレッドを排してまで戻りたがるのですか?別に排除などせずとも、勝手に戻れば良いと思うのですが」

 

「うーん……あいつらは例えるとするなら水と油。そもそも相入れる事を想定していないのさ。あいつらは『個』と『輪』だ。

 

『個』の力を象徴するオーフィス。はなっから誰かに頼る事を想定していない、一にして全。錬金術を代表するような存在。

 

『輪』の力を象徴するグレートレッド。たとえ一つ一つの力は小さくとも、大勢が集まればそれは大きな力となる。1人ではなし得ない、そんな大きな力を代表するような存在。

 

たった存在一つ取っただけでこんなにも大きく異なっている。なまじ世界最強を名乗れる力があっただけに、力で奪う事しか考えられない。分かり合おうなどとは思えない。だから争うんだよ。そして双方が双方の事を鬱陶しく思っているんだよ。そんな状況じゃ、講和なんて起こり得ないのさ」

 

対極であるがゆえに、同じところもあるがその本質は理解されない。最後には争うしかない。対極に立つ者は両者を理解できるがゆえに理解しない。鏡合わせに立つという表現しかない。竜神と真龍然り。赤龍帝と白龍皇然り。

 

歴代の所有者がそうであったように、俺と今代の白龍皇も争い合う事になるだろう。逃れられない呪いを背負って、決着がつくまで戦って戦って戦って。何の意味もない行為を繰り返し、その果ては一体どうなるのだろうか?興味はあるが、そこまで繰り返したいとは思わない。

 

そう思いながら歩き始めた時、前方に何人かの人影が見えた。大きくなり、綺麗になった。仙術と魔術の重ね掛けをしているが、ばれない保証はない。まぁ、その時はその時か。フードを被りすれ違うように歩き始める。そして何事もなかったかのように通り過ぎそうになったその時、右腕を掴まれた。掴んだ腕を見てみると、不敵な笑みを浮かべるはやてがいた。

 

「ばれてへんとでも思っとったんか?そないな訳あらへんやろ?ほら、ちゃっちゃっとそのフードを外したらどうや?」

 

「……あれの術者はお前か。いや、そうじゃないな。お前らの合作か。道理で構成が読みにくいわけだ」

 

1人ではなく2人で、2人ではなく3人で。術者が増えれば当然術式の強さも上がるし、構成も見抜きにくくなる。それをこいつらはただでさえ才能があるこいつらが、纏めて張ったのだ。そりゃあ俺でも直ぐには見抜けない訳だ。俺は仕方なくフードを取っ払った。紅い髪に赤と金のアイドット。六年前と身長と髪の長さ以外変わっていない姿を晒した。

 

「……久しぶりやな、一誠くん。六年ぶりや。一回ぐらい戻ってきてくれても良かったんとちがうんか?」

 

「いろんな所に行ってたからな。逐一戻るなんてできないさ。日本に戻ってからまだ数ヶ月と経ってないしな。……お前らは卒業式、か?卒業おめでとう(Congratulation)と言ったところかな?」

 

「ありがとう、とは言っておきます。久しぶりに戻ってきたんですし、しばらくはいてくれますよね?」

 

く、黒い……すずかの笑顔がどうしようもなく黒く感じる。連絡の一本も入れずに来たのがまずかったのだろうか?後ろの八舞の機嫌もだんだん悪くなってきてる感じがする。

 

「って言ってもな……俺たちには住むとこないし。まさかこの時節に野宿するわけにはいかないだろう?」

 

「それならうちに泊めてあげるけど?お父様も礼を言いたい、って昔から言ってたしね。……私としても都合がいいし」

 

「あ、アリサちゃん!?」

 

「ま、まあそれはとりあえず置いといて……翠屋に行こう?皆待ってるはずだし」

 

「そ、そうだよ!行こうよ、ほら!」

 

「あ、ちょっと待ちなさいフェイト!ああ、もう!」

 

なんか混沌と化してきた。なんか最近こういう事が多い気がする。……まぁ、いいか。今を楽しもう。未来に一体どんな恐ろしいことが待っていても、きっと大丈夫だと思うから。

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