リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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泣かせる罪

 

 

シエナは悪魔と個人(・・)で同盟を結んだらしい。援助を求められた時は共に行動し、こちらの事情がある場合で行動出来ない時は連絡を入れておくこと。と言った軽い物らしい。悪魔の庇護下に入る事は了承しなかったため、ちょっとしつこく言われたそうだ。

 

まあ、俺のことを知らないんだから無理ないけどな。普通は何処かの庇護を受けるのが当たり前だ。それをしないのは相手を舐め切っているか、相当の実力の持ち主かだ。そんな奴は警戒されて当然とも言える。まあ、結界の部分には触れられないようだが。なにかしらの敵意に対応するように出来ているため、監視という行為にすら反応する。

 

まあ、今のグレモリー眷属の総力を合わせたとしても足元にすら及ばないだろうがな。自慢じゃないが、俺が教えた上に各地の魔法技術を学んだんだ。いくら滅びの魔力があっても対抗しようがない。最上級悪魔に類するぐらいの実力を持っているシエナにまだデビューすらしていないグレモリー眷属。勝負にすらなるか分からない状態だな。

 

「俺とお前だけって……思い返してみると初めてじゃないのか?珍しいこともあったもんだな」

 

「そうですね。……悪魔の仕事は基本的に契約取りなどでしょう?あの子が役にたつ場面が思い浮かばないのですが」

 

「戦闘要員だろうな。ランクは知らないが、はぐれを意図も容易く殺した上に襲ってきた堕天使を苦もなく撃破。こんな人材を引き入れないようにする方がおかしい。……というか、はっきり言ってこんな人材はそもそもいる方がおかしいんだがな」

 

「まあ、化け物クラスの人間もいる所にはいますから。マスターだってそうでしょう?……というより、マスターがその筆頭でしょうに。いまさら過ぎますよ」

 

「分かっちゃいるんだがね。俺としてもあまり敵に回したくない存在だっているんだぜ?実力的な意味でも、関係的な意味でもな」

 

「……マスターにそこまで言わせしめるほどの人材というのが思い浮かびませんが。最上級悪魔はそれほどの存在ではありませんし、魔王は少々厄介ですが相手を出来ないわけではありません。そういう点でグレイフィア・ルキフグスは恐るべきところもありますが、それでも」

 

「恐れるべきはサーゼクス・ルシファーだ。あんな力をセーブしている状態のあの人は恐れるには値しない。それはお前の読み通りだ。問題はあの人が全力を出した時だ。

 

滅びの力の申し子ーーーーあの圧倒的なまでの滅びの魔力は俺でも簡単に相対しようとは思えないな。あの状態ならランキング上位にだって食い込める」

 

滅びの魔力を全開にした状態。空気中の塵すらも消滅させる絶対破壊の力を発揮したあの状態では俺の魔力は一切効かない。あれの対処法は、滅びの魔力が(・・・・・・)効果を発揮する(・・・・・・・)よりも早く(・・・・・)攻撃を当てる(・・・・・・)か、滅びの魔力でも消し切れない量の力をぶつけるかだな。ちなみに俺は最高速度の状態で前者を行った。

 

いくら滅びの魔力とはいえ、効果を発揮するのにコンマ数秒のタイムラグが存在する。光速の領域に足を踏み入れた状態なら、ぎりぎり対応できないではないのだ。それでも何回も鎧を紙の如く破壊されたが。まあ、何分対決したのは子供の頃だ。今は身体の耐久度も鎧の強度も段違いだから問題ないだろう。

 

「旧魔王派だったか?あいつらも惨めだよ。温情で生かしてもらっているにも関わらず、調子にのってテロなんぞに参加しようって言うんだからな。サーゼクスさんたちもあんな頭のおかしい連中なんてとっとと排除すれば良いのに」

 

「あの性格ですから。悪魔らしくないと言ってはなんですが、あの魔王は優しすぎる。別に気にするほどの事ではないのですが、あの優しさはいずれあの男の首を締めるでしょう。……後悔先に立たず。何事も失ってからでは遅いと言うのに」

 

「それがあの人らしさなんだけどな。理想は立派だし、それはあの人にとっても今を生きる悪魔たちにとっても大切な物なんだろう。新しい風を投入する事もしないのに、そんな簡単に世界が変わるわけがない。あんな老害を何時迄も置いておくなんて……理解に苦しむな」

 

古き良き時代か何か知らないが、何時迄も旧時代の遺産みたいな者たちを置いてどうすると言うのだろうか。あんな頭の凝り固まった連中がまともな判断など下せるものか。そんな連中に任せておいたら碌な結果を生まない。どうせヤバくなったら自分たちの保身に走るに決まっている。血筋や血統なんかに誇りを抱いている奴は大体そんなもんだ。

 

「マスターは何故そんなに上層部を嫌っていらっしゃるんですか?何か嫌な事でもあったようですが……まあ、あんな雑魚連中にそんな事ができるとは思えませんが」

 

「別に。ただ鬱陶しいだけさ。血筋や血統を誇りにしてる奴でまともな奴を俺は見た事がない。全員口だけだ。本当に強い奴はそんな物、気にしてすらいない。いちいち血筋がどうだの、血統がどうだの言う奴はただの愚か者、と言う話さ」

 

そういう点では、この間サーゼクスさんに紹介されたサイラオーグは強そうだったな。バアルの生まれでありながら滅びの魔力に恵まれなかったがゆえに、育てあげられた力。ああいう奴は認めるに足る奴だよ。転生した者を除けば、俺が認めた数少ない純粋な悪魔だな。

 

「それにしても……堕天使は一体何を考えているのでしょうか?普通は神器所有者を殺した段階でこの街を去ると思いますが、そのような気配も一切ない」

 

「グリゴリの内部事情は流石に知らないからな……よく分からん。まあ、言われてみれば確かにおかしいな。独断行動か何かか……?近いうちにアザゼルに聞いてみよう」

 

シエナの帰りを待ちながら話していると、気が滅入っている感じの顔をしたシエナが帰ってきた。おいおい、尋常な事態じゃないぞ。何があったって言うんだよ?

 

「シエナ!一体どうした?何があったんだよ」

 

「……さっき、グレモリーさんたちと一緒にはぐれ祓魔士と相対したんだけど。その家の人が、皆殺されてて……」

 

「なるほど。大分、いや相当スプラッタな死に様だったのか。はぐれ祓魔士は大体過激な思考の持ち主が多いが、そこまではしないんだが……飛び抜けて頭のイカれた野郎だったのか」

 

確かにシエナは人間の死に様を見たことだってあるが、程度は分からないがそこまでスプラッタな死に様は見たことがないはずだ。相当ショックだったんだろうな。どうしてくれようか……

 

「まだそれだけなら良かったよ。でも、悪い子にはおしおきよ、って血で書いてあったんだ。一家全員皆殺し……その人たちが犯罪者だったのなら、私だって何も言わないよ。でも、ただ悪魔と契約してただけで殺されるってそんなのが許されるの!?」

 

 

「許される訳ないだろ!人を、いや何を殺すのであれそこには理由が必要だ。……でもいるんだよ。そういう意味の分からん事をする奴はな。お前はもう寝ろ。なんだったら、明日は学校を休んでも良いぞ」

 

 

「……ねえ、師匠。お願いだから今日だけは、一緒にいてくれない?今、1人になってしまったら夢に出てきそうで……怖い」

 

「……分かった。一緒にいてやるから、今はただ安らかに眠れ」

 

そう言うとシエナは涙を流しながら倒れこんできた。……これはもう許可がどうとか言う問題じゃないな。そんな風にしたはぐれ祓魔士も、ここで飛び回っている目障りな烏も、まとめてぶち殺してやる。覚悟しろ、俺の家族を泣かせた罪は重いぞ。

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