リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

78 / 180
一巻終了!一誠の本格介入は二巻からとなります。早くグレモリー眷属との絡みを見たい方、もう少しお待ちください。それでは、どうぞ。


ただ怒り、拳を振るう

 

 

シエナが眠りこんでから側に居つつも、使い魔を使ってもはや廃棄された教会を調べあげた。そこには俺を激怒させるに足るもう一つの……いや、もう1人の俺が救ったはずの少女がいた。さらにその少女は神器を抜かれて殺される。俺の怒りの度合いはどんどん増していく。それを側で見守っていた八舞が止めた。

 

「マスター、今は堪えてください。シエナがちゃんと眠れるように、見守ってあげてください」

 

「……ああ。すまないな。明日にはあの廃教会に襲撃をかける。八舞、悪いがアザゼルに真実のほどを問い合わせた後に襲撃の話をしろ。問答無用に俺たちを阻む事はできない。家族を泣かせたあいつらを許しはしない」

 

「かしこまりました。それでは直ぐにでも連絡をし、準備を整えます」

 

八舞がシエナの部屋から出ていくのを後ろ目に確認しつつ、呻いているシエナの髪を撫でながら殺意に満ちた視線を虚空に向ける。

 

「…………ああ、久しぶりだぜ。こんだけの殺意を抱いたのは、はてさて何年ぶりなんだろうな?許さないし赦さない。天からの祝福などない。堕ちた天使らしく羽を毟り無残に地面に這い蹲らせてやるよ。

 

ああ、何時ぶりだろうか。雑魚に対して殺意を抱くのは。ああ、お前らは俺が殺すべき敵だ。圧倒的な力を持って殺してやるよ。至高の堕天使?無様に死に晒せ。堕ちた奴に至高も何もあるもんかよ」

 

『……相棒、怒る理由も分からないではないが一先ず落ち着け。今のお前は冷静な判断能力が失くなっている』

 

冷静な判断能力なんざ要らねえよ、ドライグ。これから俺がするのは力を持つ者からの理不尽。人に理不尽を押し付けるのが人外なら、人外に理不尽を押し付けるのは化け物の仕事だ。

 

今だけははっきりと言える。今の俺は血に飢えている。ただ敵を殺せと囁く醜い俺の心がはっきりと分かる。こんな感情を抱いたのは初めてだよ。制したいとは思えない殺意を抱くのも、俺の手で救えたかは分からないけど生き延びた者を殺そうとする愚図どもを赦せないと思うのも。

 

「よくよく考えてみると、こんだけの殺意を抱いたのは俺がこの世界でちゃんとした自我を持った時か。あの時からずっと敵意を持った事はあっても殺意を抱いた事はなかったな」

 

あったとしても、それは今の状態に比べれば児戯に等しいレベル。程度が知れているほどの容量しかなかったのだ。強烈な感情は神器の力をより引き出す事を可能にする。……とはいえ、こんなものじゃ昔の覇龍と何も変わらないがな。

 

時間の経過と共に頭もだんだんスッキリしてきた。シエナがちゃんと眠ってから部屋を出た。アザゼルからはその堕天使を切り捨て、こちらでも始末する要員を出す。もし到着した時にまだ生きていたら、その時はこちらですぐさま始末するという話だ。

 

「ふ〜ん……まあ好きにさせようか。俺は明日、というかもう今日かの夜に出るから、留守は任せたぞ。そんなに時間はかからないと思うが、念のために言っておく」

 

「分かりました。……くれぐれも無理の為さらぬようにしてください。無事の帰還をお待ちしております」

 

「ん。それじゃあちょっと寝るとするわ。悪いんだけど、喫茶店は今日は休みという事にしておいてくれ。それじゃあお休み」

 

「はい。お休みなさいませ」

 

それから数時間後の午後6時。久しぶりにここまで眠ったような気がする。身体の調子は万全。これなら今からでもいけるだろう。軽く食事をとった後、廃教会に入ると、なにやらやかましいはぐれ祓魔士がいた。

 

「あっれ〜?ここには関係者以外入れないように結界が張ってあるんですけどねぇ?なんであんた入ってこれるわけ?」

 

「結界?……ああ、あの紙屑か。あれが結界なんだって言うなら、お前らの程度も知れるな。あんな物、障害にすらなりはしない。ここにはちょっと用事だ。だからさ……死ね」

 

「上等じゃないですか!こちとらこの間悪魔を殺し損ねてましてね!あんたの首を飛ばして憂さ晴らしさせて貰いますよ!文句だったらあんたの事を教えなかった方々に言ってちょ!」

 

「はぁ……。目障りだな。雑魚のくせにさ。ーーーー禁手化(バランス・ブレイク)

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

鎧をまとい理不尽なまでの防御力と赤龍帝の特性である倍加を用いて攻撃を凄まじい速度で上昇させる。もはやただ歩くだけで地面にヒビが入るぐらいだ。手を出すべき相手ではないと判断したのか、すぐさま逃げようとするが魔力弾を十数発用意すると一気に撃ち込んだ。

 

最初に両脚を吹き飛ばし、動けないところをまだ空中にいるにも関わらず撃ち込み、両腕に加え身体中を穴だらけにして最後に身体を丸々消し飛ばす。慈悲などくれてはやらない。ぼろぼろにしてから殺してやるよ。地面に向かって右腕を振りおろし、破片が下に群がっていたはぐれ祓魔士を呑み込み殺していく。

 

降り立つと、十字架のような物に括り付けられているアーシア嬢に加えてこちらを恐れに満ちた表情で見つめている堕天使がいた。破片ごとはぐれ祓魔士を踏み潰し、近づいていく。

 

「お前が今回の件の首謀者かよ。中級……それも平均よりちょっと下ってレベルか。まったく迷惑な事をしてくれた物だ」

 

「な、何者よ!こんな事をしてただで済むとでも思っているの!?」

 

「あ''?何言ってんの?お前はすでにアザゼルに切り捨てられてるんだぜ?俺から逃げきったとしても、お前はどうせ殺されるんだからな」

 

「嘘よ!アザゼル様が私を切り捨てる筈がない!そんな事……あり得る筈がないわ!」

 

「その自信は何処から湧いてくるのかね?普通仲間を切り捨てるような奴が迎えられる訳がないだろうに。お前の行為は自分の評価を自分で下げただけでなく、敵に回しちゃいけない奴も敵に回した。だからこそ、お前はここで死ぬんだよ。……てめぇらの所為で、俺の家族は泣いたんだ。その罪、死んで償え」

 

錯乱状態なのか効く筈もない光の槍を投げたが、人指し指を当てただけで砕け散った。脆すぎるだろう、これは流石に。女堕天使の頭を掴み地面に思いっきり叩きつけて上空に吹き飛ばした。大体数百メートルほど上空に跳び上がった堕天使は身動き一つ取る事ができなかった。

 

それをチラリと確認し、アーシア嬢の枷を外して地面に降ろそうとした……が、裸足では危ないので抱き上げて教会の外にいた悪魔に預けた。おそらくグレモリー眷属だろう。シトリーはこの一件に介入する理由がないのだから。文字通り墜ちてくる堕天使を踵落としの要領で地面に叩きつけた。

 

身体中の骨は粉砕され、されど人外ゆえの回復能力で数分もすれば喋れる領域になっていた。しぶとい烏だ。今ので死ねれば楽だったろうにな。右手を振り上げ今度こそ完全に殺そうとすると、上から何かがはばたく音が聞こえた。見上げてみると、アザゼル他数名の上級堕天使がいた。

 

「なんだ、アザゼル。間に合ったのかよ。つってももうほぼ瀕死だよ。……分かっていると思うが、これはお前らの自業自得だ。俺はアーシア・アルジェントの保護を頼んであって、神器を抜きとるように言ったわけじゃない。

 

今この瞬間に、お前らは俺に殺されたとしても何もおかしくはないんだよ。そこらへん、ちゃんと理解してるか?」

 

「ああ。本当に申し訳ないと思っている。今回の件は完全に俺の失態だ。申し開きようもない。せめてそいつをーーーー堕天使レイナーレを殺す事で穴埋めするしかない」

 

「そ、そんな……」

 

「レイナーレ、お前はやり過ぎたんだ。この世で一、二を争える存在に喧嘩を売っちまった。今回のお前の行動で俺たち堕天使は存亡の危機に晒されてしまった。これはもう首謀者の首でなんとかするしかないんだ」

 

「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!こんなのまやかしに決まってる。あのアザゼル様がこんな所にくる筈がない。そうだアザゼル様が私を切り捨てる筈がない。だからこれは」

 

 

「もううるさいよ、お前。死に晒せ!このクソ堕天使が!俺の家族を泣かせた事と、俺の助けたかった人を殺そうとしたその罪を抱えて死んでいけ!」

 

 

「こんなの嘘よ!」

 

圧倒的な力を持って身体を粉微塵にプレスされ、血を噴き出す暇すらなく身体を潰され死に至った。哀れな堕天使だ。至高だのなんだの言ったって、しょせんはこの程度か。現実を受け止められず、狂い、そして死に至った。どうしようもないな。

 

「じゃあな、アザゼル。処理は任せたぞ。ここを壊しても良いなら直ぐにでも壊すけどな」

 

「……重ね重ね言うのはなんなんだが、悪かったな。ティエトの嬢ちゃんにも謝っておいてくれ」

 

「やらねーよ、そんな事。今日の一件にあいつは関係ない。ただ俺が許せないと思ったから。だから殺したんだ。あんたがこの一件であいつに負い目を感じる必要なんてないんだ。それじゃ」

 

入り口の所にいた新入りだろう悪魔がぐちゃぐちゃとなんか言ってきたが、睨んでみると直ぐに大人しくなった。勇気と無謀を履き違えている類なんだろうか?リアスさんも大変だな。そう思いながら大分暗くなった街並みを歩きだした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。