その夜、多数の魔力反応を感じた。一人を除いて、全員が転生者という奴だった。目覚めたばかりという事は彼女はここの現地人なんだろう。
「一体誰だ。一般人を裏の業界に巻き込むなんて真似をしたのは……!」
『相棒はそういうのが一番嫌いだからな。しかも周りの連中は意図して放置したようだしな。あいつらの言う所の原作、その主人公とやらなんじゃないのか?』
「……やはり転生者という部類にはまともな人間がいないのか!?確認した限り、俺と同年代だぞ?そんな事があってたまる物か!ドライグ、やはり目標を変える」
『……どうするんだ?』
「全部だ。あの宝石を全て集める。これ以上あの無力な一般人を放っておく訳にはいかない。勿論邪魔するような……転生者共を殲滅する」
『グハハハハッ!相変わらず大した豹変ぶりだな、相棒。俺は何も言わんよ。相棒のやる事に従うだけだ』
「ありがとう。それじゃあ次は……神社かな?」
朝早くから階段を上ってみると、落ちている宝石を拾った。一瞬で制御化に置き封印した。すると、下の方から三人くらいかな?気配を感じた。おそらく昨日の連中だろう。
「
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
「貴方は!?」
「……ようやく来たか」
「おい、テメエ。ここでジュエルシードを見つけただろう?とっとと寄こせ!」
「ジュエルシード?何だそれは。新手の植物か?それとも……こいつの事か?」
俺が右手を開くと、そこには先程制御化に置いた青い宝石があった。なるほど、こいつの名前はジュエルシードというのか。まあ、実質名前なんてどうでもいいんだが。
「それは危険な物なんです!こちらに渡して「そうだモブ野郎!テメエなんか持っていて良い代もんじゃねえんだ!とっと寄こしやがれ!」下さい……」
「うるさいな。まだそこのフェレットもどきの方が何か知っていそうだな。おい、変身魔法を使っているのか知らないが人間の姿にはなれないのか?」
「今はちょっと魔力が足りないので……って、貴方は魔導士なんでしょう!?それはロストロギアなんですよ!」
「魔導士?ロストロギア?なにを言っている。俺はそんな存在じゃない。俺は魔術師だ。魔導士なんかじゃない」
「それはどういう「もうウザってえな!とっと死ねや、モブ!【
昨日の奴と同じ、でもあれは本物か?まあ、どんな代物だろうが俺の鎧を貫通するほどの代物は存在しないな。俺の鎧は元々の硬度に加え、魔術障壁(ランキング10位内の存在でも一撃では敗れないレベル)が張ってある。あんなただ有る物を飛ばすだけの攻撃で俺に攻撃が届く訳が無い。
「チイッ!俺の手を煩わすんじゃねえよ!【
「駄目だ!」
「危ない!」
「ふぅ……。蚊だってそこまでは煩わしくないぞ。後、お前とは話をしてないんだ。いい加減死に晒せ」
「なっ」
術符を空間にばらまき、熾天使であったルシフェルの異名【光を導く者】を術式に変えた魔術を使用した。その効果はありとあらゆる者の存在を許さず、直線状にある目標物を必ず消し飛ばす事だ。これだけで体を微塵も残さずに消し飛ばす事が出来る。
危険度で言うなら悪魔のバアルだったかの【滅びの魔力】よりも数段上だ。なんせこちらは放たれたらそれで終わり。回避すれば済む話だが、光と同じ速度で飛んでくる物を回避するなど不可能だろう。まさに一撃決殺の名にふさわしい術式だ。
「そこのお前はやるのか?」
「……いえ、貴方には敵わないと見た瞬間に分かりましたから」
「ほう。良い感性をしている。きっとお前は強くなれるだろう。相対せる者と相対せない者の区別がはっきりしているようだからな。さて、話を再開しようか。そこのフェレットもどき」
「貴方は今、人を殺したんですよ?何とも思わないんですか!?」
「俺は、敵対してきた人間に優しくするような聖人君子ではない。それにあんなカスよりも俺は貴様の言葉に興味がある」
「そんなこと!」
「そんな事をしていい訳がないの!簡単に人を殺して良い訳がないの!」
「今度はお前か……。お前は一体誰だ?そしてお前らは何のためにこれを集めている?」
「僕はユーノ。ユーノ・スクライアです。それでこの茶髪の子が高町なのは。それでそこの蒼い髪の子が」
「シエナ・K・ティエトです。よろしく」
「俺は……ドライグと呼んでくれ。それで貴様は何故このジュエルシードとやらを集めている?」
「それは……」
そこからのユーノとやらの話を訊く限り、こいつは別の世界の人間でこれを運搬中に不可解な事故に遭い散らばってしまったジュエルシードを回収に来たらしい。そこの高町とティエトはそれの手伝いをしているらしい。高町はユーノの声を訊き。ティエトはランニング中に巻き込まれたらしい。
「なるほど。貴様はこの街にこんな危険な代物をばらまいてしまった、という訳だ。迷惑極まりない話だな」
「それで魔術師というのは何なんです?この世界には魔法技術なんて存在していない筈ですが?」
「何を言っている?確かに魔術師は俺一人だが、魔法使いと呼ばれる連中ならこの世界に腐るほどいる。そもそもこの世界に取って魔法とは秘匿されるべきものだ。貴様らの常識をこの世界に当てはめるな」
「そんな馬鹿なっ!もしそうならなんで管理局が把握していないんですか!?」
「そう、そこだ。管理局というのはなんだ?管理外世界、だと?貴様らは俺達に喧嘩を売っているのか?この世界の裏の業界の奴らが結託すれば、一つの世界ぐらい余裕で終わらせられるぞ?大体管理とか神様にでもなったつもりか?
人が世界を管理など出来る筈がないだろう。より多くの世界は違法な研究の材料に使われるだけだろうが。そもそも何をスローガンにして行動しているんだ?まさか【正義】などとぬかしてくれるなよ?人が【正義】を語るほどおこがましい事はないぞ。
その管理局とやらに匹敵するほどの者達はいないのだろう?はははっ。上層部は汚職し放題だな。ふざけているのか?とまあ、そんな事を貴様に言った所で無駄な行為か」
「……それで貴方の目的は何なんですか?」
「俺の要求は一つだけだ。この一件から手を引け。ここは俺の支配地だ。少なくとも裏の業界の事はこちらで対処させてもらう。異論は認めない。そもそも子供が行動する事がどれだけ危険な行為だと思っている?お前らがこの件に関わる絶対的な必要性は存在しない。ならば慣れている者がこの件を対処するべきだ」
「そんなの!」
「認められる訳がない、と?貴様の許可などいらんのだ。俺はここの支配者。少なくとも危険な事があるというのなら。ここで潰しておく必要がある。ここの住民を守るためにもな。わざわざ危険をばらまき、一般人を巻き込んだ奴が手伝えるなどと思っているまいな?
……なんだ、高町なのは。何か不満でもあるのか?」
「私は手伝っちゃダメなんですか!?」
「駄目だ。どうしても手伝いたければ、少なくとも俺を同席させた上で親を説得させてみろ。まあ、俺も忙しいのでな。そんな事をする暇があったら、回収を優先させる。座標は少なくとも把握しているからな」
「それでも私はユーノ君を見捨てられないの!」
「友情か。それ自体は素晴らしいな。拍手を送りたいくらいだ。だが、その程度でどうにかなるほど現実は甘くはない。理不尽が満ちているのがこの世界だからな。どちらにしても俺は認められない。お前も構わないな?ティエト」
「本当なら、私もなのはと同意見です。ユーノの頼みも訊きたいし、なのはの助けにもなりたい。それに」
「それに?」
「私が私である為に。今回の事から逃げたくないんです」
「……クックック。なるほどなるほど。これまでで最も心に響く言葉だな。自分が自分であるため、か。まあ、どちらにしろ俺の回収には関与させない。別に
俺は鎧に認識阻害の結界を張ると、一気に飛翔して家に戻った。自分が自分である為に自分の考えは曲げないか。中々面白い者もいるものだな。しかしこれからはあいつらの相手もしなくてはならないか。しかしあの高町なのはという少女、ただの頑固者だな。
彼女を一言で表すなら“不屈”だろうな。どんな理不尽だろうとどんなに辛く悲しい現実であろうとも、己の意志を貫き通すまで絶対にあきらめない。そういう意志が感じるな。中々面白い事になってきた。
これが不屈の魔導士高町なのはと史上最強の赤龍帝兵藤一誠の始まりの出会いであった。
あい、第七話です。
この小説では転生者は名前が出ません。基本的にゲスな奴はその話でほぼ死ぬからです。名前が出てきた転生者は少なくともすぐには死にません。
っていうか、なのはと一誠の出会いは最悪ですね。目の前で容易に人を殺すのに、それを欠片も気にしないんだから当然と言えば当然ですが。
一誠は主に魔術とか魔法よりの赤龍帝です。つまり遠距離が得意。しかしながら神様の所で竜具の戦い方を学んでいる為、近接も一流以上の実力者というこれもうなんてチート?みたいなスペックを誇っています。
であるがために、誰が挑んでも勝てないと言うのが大きいのです。一誠が戦って勝てないのはオーフィスとグレートレッドですが、苦手なのはフェンリルです。理由は無性にしぶとい癖に素早いから。ちなみにオーフィスとグレートレッドに勝てない理由は、一時的な総量では上回れても身体が追い付かなくなるからです。
しかし今となっては夢幻の血肉を肉体に使用している為、大体実力は互角、或いは上まる時もあるくらいになっています。全く関係ない話になりましたが、それではまた次回。