数日が過ぎるとさすがにばてていた。修行と言ったって、あれだけじゃ簡単だから能力阻害の腕輪を使って邪魔している。こんだけしないと追いつかないっていうのも、理由の一つなんだけどな。それでも終わる頃には今とは比べ物にならないレベルまでになっているだろう。
「うん、さすがと言わざるを得ないね。よくたった数日でこれだけの魔剣を創れるようになったね。グレモリーの
木場くんの足元には十数本の魔剣が落ちていた。日中は魔剣を創造する事に励み、夜にはその剣を自分に馴染ませているようだ。ちなみに、高神くんは英雄の武具などを創れるらしいがまだその領域まで至っていない。それでも不死殺しの剣などを創ることに成功している。
「……あ、ありがとうございます。それでこの修行が終わったらどうするんですか?」
「そうだね〜……ちょっと俺と打ち合ってみようか。その時はその腕輪、外してもいいからね。今の段階ですでに大分身体も動かしにくくなってるだろうしね。君は魔剣を量産品として扱うタイプだ。何度砕かれても創り直せるようにしないといけない」
「分かりました!……それで後何本創れば良いんでしょうか?」
「落ちてるのがざっと見ると二十本あるから……もう一巡りかな?頑張りたまえ」
ちょっとグロッキーな表情を浮かべていたが、順調に修行は進んでいる。彼の基礎的な物はサーゼクスさんの
「さてと、高神くんは……また大量の武具を創った物だね」
足元には槍や剣、弓矢に拳銃とかとにかく多種の武具を結構な数を創り出していた。失敬な話だが、この修行において彼の分量はわりと無茶だ。普通なら耐えきれない。だからこそ、音の一つはあげるのかなと思っていた。だけど、その修行を彼は着実にクリアしている。彼の付けている腕輪は他の人の物より強力だ。それでここまで創れるんだから中々才能はあるようだ。無論、根性もだが。
「……ハァ……ハァ……あんたが、そういう、指示を、出したんだろうが。あんたはいけすかないけど、俺は部長を守りたい。その為なら、なんだってしてやるさ!俺は強くなりたいんだから」
「うんうん、いい覚悟だね。俺としては高評価だよ。守る者がいる奴は強い。魔力、体力の方も順調に上がっているようだし問題はなさそうだね。
君の神器は創る度に微量ながら魔力か体力を消耗する仕組みだ。創る物のグレードが上がれば、それだけ減る量も多くなる。多くても困る事はないと言っても良いだろう」
そう、彼の神器『
文字通りなんでも創れるが故に彼は便利程度の認識なのかもしれないが、それは間違いだ。危険度で言えば
塔城さんの所に向かうと、四方八方から飛んでくる丸太をなんとかかわそうとしている塔城さんの姿が見えた。俺の指令で回避限定な為、攻撃して弾くなんて事は出来ない上に何時何処から飛んでくるのか分からなくなっている。……まあ、当たっても幻覚だから衝撃だけ。死ぬような事にはならないが、本人は分かっていない為相当キツいだろう。あ、倒れた。
「お疲れ様。ちょっと休みな。今でも相当疲労は溜まっているはずだしね。休んでからの方がはかどるよ」
「……はい。ありがとうございます」
作っておいた飲み物を渡して、塔城さんの座りこんだ場所の隣に腰を降ろした。荒い息をなんとか収めながら、俺に話しかけて来た。眼はなんかやたらとマジだったけどな。
「兵藤さんは赤龍帝だと聞きました。本当なんですか?」
「本当だよ。って言うか嘘ついたら、俺が今代の赤龍帝と白龍皇に狙われるって。それで、そんな事が一体どうかしたのかい?」
「黒歌お姉さまに聞きました。自分は今代の赤龍帝に助けてもらったんだ、って。あの子がいなかったら、此処にいることは出来なかったって。だから」
「礼でも言いたいのか?止めておけ。あの時、俺があいつを助けたのは偶然にすぎない。たまたま俺があそこを通りかかって、たまたま助けようとしただけだ。だからその事について何かをいう必要はない」
俺自身、なんであの時黒歌を助けたのか理解していない。それだけ俺にとっても分からない事だ。あの当時、世界最強の挑戦も終わりベルカから戻ったばかりで何もやる気が起きなかったがとりあえず移動したら着いたのが冥界だったのだ。そのままあてもなく歩いていると悪魔に追われている悪魔がいたから、何かと思いつつ止めようとしたら追っかけてる側の悪魔が俺を人質か何かにしようとしてたからぶん殴って気絶させた。
その後、事情を聞いた段階で何故か助けようと思った。そこまで大規模で実験をしていたなら記録は残っていると思いながら探してサーゼクスさんに黒歌とその家族の保護を頼んでまた冥界を歩きまわった。まあ、そこでも色々と騒動があったんだけど。それは置いておこう。
「まあ、強いて理由を言うならまだ間に合うと思ったからかな。俺の時は手遅れだったけど、あの時はまだ間に合うと思ったから、だから助けたんだ。自己満足なんだから礼なんていらない」
「そう、ですか……それじゃあ修行に戻ります。……貴方がどう思っていても、私は嬉しかったから。だから、ありがとうございました」
そう言うと、ダッシュで修行場に向かっていった。お礼なんて要らないのに。……まあ、受け取っておくとしよう。その場を去り、姫島さんとアーシアさんが修行している場所に向かった。アーシアさんは中々順調なようだが、姫島さんは難航していた。しょうがないんだけどな。
「やってますね。……やっぱり難しいですか。無理ないんですけどね。今まで魔力を魔力としてしか扱ってなかったんですから、出来なくてもしょうがないんですけどね」
「いえ、なんとか物にしてみせます!段々コツを掴めてきたような気がしますし、なんとかしてみせます。……これはイメージはなんでも良いんですよね?」
「ええ。剣でも弓でも、はたまた槍でもね。簡単な例をあげるとすれば、こんな感じですね」
左手を指鉄砲にして置いてある的に向ける。人差し指に魔力を収束させて簡易的な収束砲を作り出した。発射の真似をすると魔力弾が置いてあった的を貫通し、真ん中に丸い穴が空いた。それを見て納得がいったのか、同じように右手を構えるとそこに雷の魔力弾が精製された。そして発射すると、衝撃を殺しきれなかったのか転んでしまい魔力弾は上に向かって飛んでいった。
「大丈夫ですか?このやり方、簡単に出来るけどその分反動が凄いんですよ。まさか同じやる事をするとは思わなかったんで、言いそこねました。すいません」
「いえいえ、こちらの不注意の所為ですのでお気になさらず。でもこんな技を簡単に扱ってみせるなんて凄いですね」
「本当はここにさらに魔法陣を重ねがけするんです。さっきの問題点は魔力の込めすぎです。最初はもうちょっと少なくても構いませんから、的に当たるように心がけてください。できますよね?」
「はい!必ずやってみせますわ。私もリアスをみすみすライザー様に渡したいとは思いませんもの。勝って皆で笑う為に、これぐらいクリアしてみせます」
「その息です。それじゃあ修行を継続してください。大丈夫です。貴女は必ず出来ますよ」
激励の言葉かけた後、俺が教えた術式を徐々に覚え始めたアーシアさんの所に向かった。彼女は元々シスターで戦闘員ではない。だけど彼女の持つ神器
「どう?順調に進んでるかい?」
「あ、兵藤さん!はい、でもこういうのばかりで良いんでしょうか?私も皆さんみたいに戦える力があれば……」
「アーシアさん、貴女の神器は十分皆の力になる。だから気負う必要はないんだ。貴女がいるから皆怪我を気にせずに戦えるんだ。
ーーーー俺は君に言っておかなきゃいけない事がある。すまなかった。俺が良かれと思ってグリゴリの施設に保護を頼んだのにあんな事態になってしまって……」
「あ、頭を上げてください!教会を出てアザゼル様やシェムハザ様、それにバラキエル様などのいろんな方々に助けていただきました。むしろ、支えてくれる人がいたから。私はマシだったんだと思います。だから気にしないでください、それに今は皆さんと一緒にいれて幸せなんです。だから私は頑張りたいんです!」
「……そっか。それは良かった。リアスさんには感謝しないとね。それじゃあ頑張っていこう!」
「はい!頑張ります!」
熱心なアーシアさんのいる場所から、リアスさんの修行場に向かうと所々が穴だらけになっていた。これは多少制御を誤ったな。……まあ、操作は大変だからしょうがないんだけどね。肩で息をするリアスさんにスポーツドリンクを渡して休憩させた。
「頑張りますね。と言うか、どうしてリアスさんはライザー・フェニックスとの婚約を断るんです?まあ、俺が貴女の立場でも結婚したいとは思いませんけどね。あのチャラ男は」
「……私は『グレモリー』だけど『リアス』なの。だから私は嫌なのよ」
「結婚するなら自分の意思で、ですか。大変ですね。その意思を貫くのは並大抵な事ではない。それでもその意思を貫くと言うなら、俺は止めません。でも、ゲームに参加する上で言っておきたい事があります。
貴女は
それが誰かの命を背負うって事だから。指示を出す者は気後れをしてはならない。他人の無念も抱えて勝たねばならない。それが王たる役目なのだから。怖くても辛くても立ち向かう意思。それこそが戦う上で必要な物だ。
「最後まで立つか……中々厳しそうね。それでも分かったわ。私はあの子たちを信じている。あの子たちが勝つと信じている」
「そうですね。まあ、俺も協力しますし完全に負ける事はありえません。……リアスさんが諦めなければね。王は最後まで悠然と立っていなければならない。それが皆の為なんですからね」
「二言はないわ。私は勝つ。そして皆でまた楽しい日々を過ごす。それが私の願いなんだから」