リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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接触

 

ゲームが終了して部室に戻ってみると、フェニックス卿やグレモリー卿に久しぶりに顔を合わせた。まあ、婚約騒ぎなのだから当然だろうが。婚約は解消したが、気にする必要はないと言われた。この後の事は俺もどうしようもないんだが。所詮決闘をゲーム内でやっただけだからな。

 

「終わったか……中々楽しかったし、今日はこの辺で帰るかな。眠いしな」

 

「何時もながら君はマイペースだね、一誠くん」

 

「いまさらそんな大幅に性格が変わる訳がないでしょうに。それで何の用なんです?俺、本当にそろそろ眠いんですけど。これでゲームは終わったんだから帰らしてくださいよ」

 

俺は何も反応する事なく適当に返事をしたが、グレイフィアさん以外の面子が驚いていた。あれでも一応は魔王だからな。これぐらいは簡単に出来るだろう。そんな事しなくても普通に入ってくれば良いのに。

 

「……一誠くん、正直に答えてくれ。あれは一体なんだ?私はあんな光景、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)でもあんな事は出来ないだろう」

 

「そりゃそうですよ。覇龍ってのは破壊に特化した状態なんですから、あんな光景を作り出せた方がヤバイですよ。あれは竜具(ヴィラルト)だからこそ作れたんですよ」

 

「と言うと?」

 

「あの形態ーーーー滅神龍(クァルティカ)は一種の覇龍。その龍の本質を表す物なんですよね。天龍が覇を示すように、神龍は己の力の本質、自分が司る力を解放するんですよ。それが滅神龍(クァルティカ)。創世の龍のみが振るう事のできる力なんですからね」

 

創生龍はどうなのかは知らないが、龍を封印している神器だ。あれぐらいの事をやってのけるのは簡単だろうな。まあ、大した事はやってないからパフォーマンスみたいなもんだし、そこまで気にする必要はないか。

 

実際、あの力をちゃんと引き出せばもっと凄いことも出来ないことはない。あんまりやりたくないけどな。文字通り、地図から土地が消えるかもしれない事態になるから。覇龍もそうだけど、俺が全力を出せる場所は次元の狭間にしかないのかもしれない。……まあ、今はどうでも良いか。

 

「今回は使い捨てのフィールドだったから使いましたけど、普通なら使いませんよ。普段は禁手(バランス・ブレイカー)で十分ですしね」

 

「そうであって欲しいよ。まさかフィールド全体を凍らせた力がただの余波だとは……聞いた時は耳を疑ってしまったよ。君の従者の2人以外は面妖な表情を浮かべていたよ。あの状態はセラフォルーでさえ、勝てるか分からないと言ったぐらいだしね」

 

「へぇ。そりゃ光栄ですね。さて、今度こそ俺は失礼しますね。もう眠くてたまらん。力を使ったせいか、疲れましたしね。自分自身、サービスしすぎかと思うぐらいの力を使いましたからね。俺の仕事も終わったので、それでは」

 

首を鳴らしながら学校を出た。八舞がさっきから黙ったままこっちを睨んでくる。髪も瞳も元の色に戻っているとはいえ、俺があの技を使ったのが気に入らないんだろう。シエナも苦笑いしながらこっちを見ていた。

 

「師匠、あれはちょっとやり過ぎですよ。あんなの使わなくったって倒せたでしょう?大盤振る舞いしすぎですよ。それこそ竜技(ヴェーダ)でも倒せたじゃないですか」

 

「最初はそのつもりだったんだがな、気が変わった。ルヴァルさんから聞いたのか知らないが、ライザー・フェニックスはちゃんとした誇りを持って挑んできた。それに応えようと思ったんだけど……八舞にはご不満なようだな」

 

「……マスターの考えは分かりました。それでも、あそこまでやる必要はなかったと思っています。たとえ相手の尊厳に応える為だとしても、あんなことまでするなんて……」

 

何かブツブツ言っている。そんな八舞を苦笑いしながら見ている最中だった。俺たちを霧が包み込んだのは。これはただの霧じゃない。かと言って魔法でもない。霧系の神器(セイクリッド・ギア)と言えば……まさか!

 

絶霧(ディメンジョン・ロスト)か!?」

 

 

「ご名答、と言ったところかな?まさか肌に触れただけでそれが何か把握するとは驚きの極みだな。さすがは世界最強だな」

 

声がした方向を振り向くと、肩に槍を当てている男と魔法使い然とした男。さらに複数の男女。しかも全員神器使いかよ。面倒だな。

 

「お前、誰だよ。こんな歓待を受けるような覚えは……あり過ぎるが、お前のような奴は見たことがない」

 

「おっとこれは失敬。俺は禍の団(カオス・ブリゲード)で英雄派のトップを張らせてもらっている曹操だ。こっちはゲオルグ・ファウストの子孫で絶霧(ディメンジョン・ロスト)の使い手のゲオルクだ」

 

「分かりにくい違いだな。曹操と言ったか?お前の持ってるその槍ーーーー黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)だな?まさかテロリストの手に渡っているとはな。世も末って奴か?」

 

神滅具(ロンギヌス)のトップにして代名詞。神の血に濡れた槍であり、神殺しの概念を植えつけられた神器(セイクリッド・ギア)。それによく見てみると後ろの連中も禁手(バランス・ブレイカー)には至っているようだ。ますます面倒だな。

 

「聖書の神が死んだ時点で分かりきっている事だろう?……何故知っているのか、という顔だな。単純にオーフィスから教えてもらっただけだ。他の神話体系の者は知らないだろうから安心してくれ」

 

「そうかい。それで?一体英雄派のトップとその幹部連中が俺に何のようだ?……分かりきった事ではあるけれど、お前がそんな所にいるとはな。ちょっと悲しくなってくるぜ、ジークフリート」

 

「曹操の理念に賛同しただけさ。それに分かっていたのなら止めれば良かったんだよ。止まったかどうかは知らないけどね」

 

ニコニコとした表情で待ち構えていたジークフリート。曹操の理念に賛同した、ね。一体どういう物かは知らないけど、俺の邪魔をするなら殺すだけだよ。無言で赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を展開した。

 

「待て待て、まだ交渉を終えてないんだから勝手な事をするな、ジーク。一応、幹部全員できたが、勝てる見込みは無いに等しいんだぞ?」

 

「彼と打ち合ったことがあるから分かるんだよ、曹操。彼は絶対に僕たちと組みする事はない。彼が欲しいのは家族を守れる場所だ。それが出来るなら僕たちに組みしてくれるかもしれないが、僕たちはテロリストのような物だ。それにオーフィスも断られたと言っていたじゃないか」

 

「それはそうだが……しかし此方としても最低限でもこちらと戦わないようにしてもらいたいんだ」

 

 

「良いぜ。ただし条件付きにはなるがな」

 

 

「……その条件とは?」

 

「なに、簡単な話だ。第一に正当防衛は有効とさせてもらう。そうじゃなきゃ無理だしな。第二にこれはお前たち英雄派と俺個人の契約だ。俺の家族とは関係がないし、他の派閥とも関係ない。第三に」

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

 

「俺にお前たちと契約を結ぶだけの価値があるという事を示してみせろ。ここでやられるならその程度の器だという事だ。俺に自分の価値を示してみせろよ、英雄」

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