「輝け、聖槍よ!」
最初に切り込んで来たのは、意外だったが曹操だった。まあ、俺は力を見せろと言ったのだから結局は見る事に変わりはないんだが。大規模な光での目潰しとは……サポートに徹するつもりか?目が使えなくったって気配で多少の事はわかるというのに。そう思っていると、何かが鎧に当たったような感じがした。
「なるほど、聖槍で目を潰し魔法で傷を与える作戦か。悪くはないが……圧倒的に威力不足だな。この鎧を貫通させたかったらこれくらいはないとな!」
「ほらほらその程度かよ?そんなんじゃ俺に届かせるなんて夢のまた夢だぜ?せめて鎧の一部分を破壊するぐらいはしてみろよ」
「やってやるよ!」
巨体の男がこっちに向かってきた。そして拳を振り下ろしてきた。一体何を考えているのかと思っていると、拳が当たった部分が爆発した。
「効果はないか……!ヘラクレス!退け!」
「ちっ!これをくらっても傷一つ付かないなんてどれだけ硬いんだよ!?」
「ヘラクレス?……なるほどな。英雄の魂を継いだ奴って訳か。ああ、だから英雄派か。英雄の魂を持ってんだ。そりゃそう名乗っても自然な事だ。でもな」
大量の魔法陣を展開して放った。悪魔式、堕天使式、天使式、北欧式、ルーン法式、その他諸々。それに俺なりのアレンジを加えた術式だ。しかし
「くっ!これだけ多くの、しかも全部違う術式の魔法を無造作に使うなんて……これが世界最強か」
「これだけで満足してもらっては困るぜ。まだまだ俺は手札をきっちゃいないんだからな。大体、お前らだって俺を甘く見過ぎだろうが。
「そう、だね……。曹操、やはり出し惜しみは止めよう。彼を相手にしてそんな事をしてたらこちらが殺されかねない。彼は力を示して契約を結ぶだけの価値があるという事を証明しろと言ったんだ。その価値がなかったらここで殺されかねない」
「……分かった。全力で戦うとしよう。ジーク、ジャンヌ、ヘラクレス!」
「「「
ジークフリートの背中から出てきた
「これが僕の
「腕が増えようが知った事か。忘れるなよ、ジークフリート。お前は未だ一回たりとて俺に勝てた事がない事をな。その程度で変わる物かよ」
次にジャンヌと呼ばれた女性の出した聖剣が集まりはじめ、徐々に大きくなりその姿はまさに聖剣で出来た龍。
「これが私の
「意気込みは多いに結構だが……それよりも大きな敵と相対した事のある俺からすればどうってことはないな」
最後にヘラクレスは背中からなにやらミサイルのような物が出てきた。正直に言うと、気持ち悪いな。背中から無機物が生えてくると言うのが気持ち悪い。
「これが俺の
「迫力だけは伝わってくるんだがな……まあ、頑強さでは半端ではないヘラクレスが使うんだから恐ろしくもある、かな?」
まあ、三人同時なら少しは通じるかな?ジークフリートの剣戟を受け流し、ジャンヌの龍を拳で破壊し、ヘラクレスのミサイルを魔力弾で撃墜させる。三人で攻めてくるから攻撃に移る隙間がないな。どうした物かな。
「どうしたどうした!防戦一方じゃねえか!こんなんが世界最強かよ!笑えてくるじゃねえか!」
「あ?手加減してもらってるくせに何言ってんだこの木偶の坊は。本気でやって欲しいならさ……やってやるよ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
猛烈な速度で倍加し、ヘラクレスに近づいて殴り飛ばした。周囲には民家の模型があるからそこに突っ込んでいた。止めを刺そうかと思うと、上から龍が落ちてきた。身体を捻って回し蹴りを直撃させると、そのまま横に吹っ飛んだ。その間にジークフリートが向かってきた。
「伸びろ!」
怒りで視野狭窄を起こしていた俺は正面から向かってきたジークフリートに集中しすぎて、背後から迫ってきた曹操に気づかなかったのだ。背後から急襲してきた聖槍によって体勢は崩されたが、回避は不可能ではない。背中のスラスターですれ違うように離脱した。
「
曹操の
「これが俺の
「そうだ。それで良い。出し惜しみなんてしてると死んじまうぜ?まだボーダーラインはクリアしてないんだからやる気だせよ」
せめて鎧の一部分を破壊するぐらいでなければやる気など起きない。飛んできたミサイルを防ぎ、向かってくる聖剣の龍を叩き潰し、六本の剣を携えて向かってくるジークフリートをいなし、七つの球体『七宝』を使って果敢に挑んでくる曹操を吹き飛ばし、他の面子をサポートするように魔法を撃ってくるゲオルクの対処をする。
そんな事を1時間も続けていると、英雄派の面子は地面に倒れ伏していた。まあ、よくこれまで死ななかった物だと褒めるべきだろう。ゲオルクを除けば大小の怪我を負っているものの、それでも死んでいない。全員を一箇所に集めて傷を治した。
「いや、予想していたよりも長かったな。あんなに粘るとは思わなかったよ。さすがは英雄の魂を持つ者だ、と褒めるべきかな?」
「賛辞は痛みいるが、結果的に見てどうだったんだ?俺たちは君と契約を結ぶだけの価値があったのか?」
「まあ、結局鎧の一部分を破壊する事も出来なかった訳だが……格上の相手と1時間も死なずに戦えたのなら上出来さ。良いぜ。結ぶよ、その契約」
「そう、か……。それじゃあ俺たちはこれで失礼する。ゲオルク、頼んだ」
「……分かった」
俺たちはまた霧に包まれ、気づくと元いた場所に戻ってきた。既に眠っていたシエナを担ぎ、俺たちは帰路についたのだった。英雄派か……これから大変な事が起こりそうだ。
その後、英雄派はと言うとーーーー
「……あれが世界最強か。強さの底がまるで見えなかった。オーフィスが友と呼ぶだけの事はある、と言うべきか。まさか鎧を破壊する事もかなわないとは。幹部クラスが
「彼が教会から離れて二年、僕も強くなったと思ったんだが……やはりまだまだ修行不足か」
「あの魔法……俺も知らないような術式が多数あった。アレンジを加えていると言っていたが、一体どんな物なんだ?興味があるな」
「俺の攻撃がまるで効かねえなんて初めてだったぜ。攻撃をくらっても涼しい顔してやがった。どんだけ硬ぇんだよ」
「急に戻ってきたと思ったら何なんです?え?世界最強に挑んできた?……どうして私を誘ってくれなかったんです!?いなかったから?呼ばれれば私も行きましたよ!」
「まあまあ、落ち着いてくださいよ兄さん。……ジャンヌさん?どうかしたんですか?なんだか顔が赤いようですけど……?」
「…………かっこよかったな。今度会えるのは何時になるかしら?」
「ちょっ!?どうしちゃったんですか、ジャンヌさん!他の皆さんもなんだか燃えてらっしゃいますし!ああ、もう!どれだけカオスなんですか!ここは!?」
などという事態に陥っていたとかいなかったとか。少なくともこの後、英雄派の大幅な実力強化の為の特訓が行われその時の男の幹部クラスは熱意に燃え、唯一の女性幹部のジャンヌは恋する乙女のようだったとか。