リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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お久しぶりです!合宿を終えて帰ってきました!それではどうぞ!


我を通せ

 

 

翌日、教会2人組と祐樹はグレモリー眷属を訪ねた。シエナは事情を聞いていたので対したリアクションは取らなかったが、グレモリー眷属の面々はたった1人を除けば全員が驚いていた。教会からの伝言を伝えると、ゼノヴィアはアーシアに視線を向けた。

 

「魔女、アーシア・アルジェントか。まさかこんな極東の地で悪魔になっているとは思わなかったな」

 

「ちょっとゼノヴィア。突っかかる必要はないでしょう?まさかまだ信仰心を持っているわけがないのだし」

 

「いや、彼女からは信仰の匂いのような物を感じるんだ。君はまだ主を信じているのだろう?」

 

 

「……諦めきれないだけです。長い間信じてきたものですから」

 

 

「そうか。……悪魔になっても信仰を持つとは尋常ではない。信徒の鏡と言ってもいいだろう。何故それ程の者が魔女などと呼ばれるのか不思議でならないが、それはまあいい。それよりも……何故君はさっきから私たちに殺気をぶつけているのかな?」

 

「一手仕合ってもらいたいだけだよ。先輩として、君たちの実力を知りたいんだよ。……失敗作だったけどね」

 

複数の魔剣を出現させ、さらに殺気を大きくした。その光景に先程からフードを被ったまま立っていた祐樹は唇を噛みながら辛そうな表情を浮かべていた。

 

「なるほど。それなら」

 

「それは貴女の仕事じゃないでしょ?それは彼女の役割だよ。分かってるでしょ?」

 

「彼女?」

 

祐樹は手元に一本の聖剣を創り出し、同時にフードを取り払った。その顔に教会2人組とシエナ以外の全員が驚いていた。何故なら最早瓜二つと言っても良い程に似ているのだから。

 

「久しぶりだね、祐斗。元気そうでなによりだよ。……こんな風に会いたくはなかったけどね」

 

「どうして……どうして君がそこにいるんだ!祐樹!君は教会を恨んでいないのか!?あんな事を僕達にした教会を!」

 

「祐斗をなんとか逃がしたすぐ後に、兵藤さん達が私たちの事を助けてくれた。私にとって、教会はただの取り引き相手。私に信仰心なんてない。私にあるのは、兵藤さんーーーーいいえ、一誠さんに対する忠誠心と家族を思う事だけだよ」

 

 

「ならそこを退いてくれ!僕は、皆の仇を討つ!エクスカリバーはこの手で折らなきゃいけない。その為に僕は戦うんだ!僕は復讐する為に生きてきたんだ!だから僕は絶対に教会を許しはしない!」

 

「私たちは!祐斗にそんな思いを託して逃がした訳じゃない!ただ私たちよりも生きていて欲しかったから!だから私たちは命を賭けた!それでも復讐の為に戦うって言うんならーーーー止めてみせるよ。私だって、戦士なんだから」

 

 

「……それじゃあ、2人共表に出ようか。師匠の予想通りの事態になっちゃったよ。まったくどうしてこうなっちゃうかな」

 

シエナがそう言うと、2人は黙って下に降りて行った。そして裏の庭で向かい合った所でシエナは結界を張り、グレモリー眷属と教会2人組と共に剣をぶつけ合う2人の姿を見ていた。そんなシエナにイリナが話しかけた。

 

「イッセーくんはこうなるって分かってたの?」

 

「まあね。でも、これは好機なんだよ。エクスカリバーの呪いを断つには絶好の機会だって言ってたよ。きっと彼の中にある辛み恨みは私たちが思っている以上に深くて重い物なんだ。だからこそ、彼を止めるのは祐樹ちゃんでないといけないんだよ」

 

同じように苦楽を共にした仲間であり友達でありーーーーなによりも家族なのだから。何も知らぬ部外者が口を挟むべきではない。違うからこそ求める物がある。片方は仲間の仇を討つことを。もう片方はたった1人の血の繋がった家族の幸せを。

 

相反する願いがぶつかり合い、久しぶりに会った家族は剣をぶつけ合う。己が我を通す為に、戦う。願いを果たす為に。その願いを挫く為に。残酷なる世界の運命はいとも簡単に悲しき運命へと人を誘う物なのだから。それを一誠は理解していた。そう在らねば良いと考えながらも、納得してしまっていた。せざるを得ない環境にいたがゆえに。

 

それを聞かされ、さらに共に見てきていたシエナと八舞はそれを悲しき物だと思いながらも、現実の厳しさだと納得していたのだ。そしてそんな物に振り回され続けてきたこの人を支えたい、とそう切に願ったのだ。その時に少女は己が好意を自覚したのだ。平穏な日常を捨ててまで非日常の塊でもあるような男と一緒に行きたいの思った本当の理由を。

 

だが、八舞もシエナも自分にはこの男を縛る程の力はないと自覚していた。そうであるが故に力を欲した。未来永劫共にあり続ける為に、世界最強と共に道を進み続ける為なら精霊であることを、人間であることを辞めても良いと、そう考えたのだった。だからこそ、彼女らは揺らぐ事がなく止まる事もあり得ない。それが世界最強と共に進む条件なのだから。

 

絶対の忠誠を持って共に覇道を突き進む。止まることなどありえはしない。それが最強に仕えるという意味なのだから。故に何処までも貪欲なのだ。世界を共に見てその大きさを、自分の傍にいたいと思う者の強さを知りながらも尚止まろうとはしない。限界など知らない。自分の障害があるのなら、ただ叩き潰す。一度で駄目ならもう一度、それでも駄目ならもう一度……諦めることを知らないが故に高みを目指す。ただ追い駆ける者であり続ける。待ち焦がれている者の元へ。

 

「私たちは師匠のためならなんだってできる。少なくともその間は私たちの事を見ていてくれるからね。私たちには必要なんだよ。悲しき現実を、運命を打ち破る力が。でもね。それには禍根を持ち続けているようでは出来ない。未来への可能性を抱いた者だけが、そこに至れるの。だからこれは祐樹ちゃんにとっても試練なんだよ」

 

未来を望む者だけが至れる極地ーーーー森羅万象や運命の一切合切の全てを打ち破り己の望む未来にその手を伸ばす。邪魔な物は消し飛ばせ。障害になるなら破壊しろ。それこそが唯一の道なのだから。

 

「どうしたの?祐斗。こんな物じゃエクスカリバーなんて折れやしないよ!せめて罅ぐらいは入れてみたらどうなの!?」

 

「……くっ!どうして同じ創生系の神器(セイクリッド・ギア)なのにここまで差があるんだ?」

 

「方向性の違いだよ。私は束ねるけど、祐斗は量産している。だからこそ消費の量が違うし、損耗度も違う。ーーーー変幻(チェンジリンク)破聖剣(ブレイク・カリバー)

 

祐樹は持っている聖剣の質を変えて大上段に振り上げる。あからさまな隙を見せたが故に、祐斗は飛び込んでいった。悪魔の速度を持ってすれば反応しきれないと考えた。だが祐樹は一誠より数ヶ月間つきっきりで教えを請うた身である。その実力は同じ者に教えを請うていても質と練度の差はとてつもなく大きく、大上段の振り下ろしはかわせたが第二波である剣の腹による打撃はかわしきれなかった。一切合切の全てを壊す破聖剣に腹とはいえ触れたが故に起きた激痛と、自分ではまだ勝てないと言うことを自覚し祐斗は泣いた。

 

祐樹は心苦しそうな表情を浮かべて祐斗を見た後、結界が解除されたのを確認し睨んでくるリアス・グレモリーに忠告をしたーーーー眷属ぐらいちゃんと抑えろと。そしてシエナの元に戻り、ゼノヴィアとイリナと共に学校を出ていった。ーーーー涙を流しながら。

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