一誠が行方不明になったと聞いたリアス・グレモリーとソーナ・シトリーは眷属たちと共に捜索に乗りだそうとしたが、配下の3人によって止められた。
「師匠の事ですから、何か気になる事があって調べに行ったんですよ。だから気にする必要はないです」
と言うのは部室に来たシエナの弁である。実際この3人は一誠が死んでいない事を知っているし、なによりも死ぬはずがないと思っている。自分たちが仕える主はそこまで弱くはない。誰も勝てないからこそ、世界最強の名を背負っているのだ。行方不明程度で慌てる程、3人の肝っ玉は小さくないのだ。
そう言われた2人は手を出さなくなった代わりに街での監視の目を厳しくした。そんな中、共同でエクスカリバー破壊を試みていたグレモリー眷属の高神創生と塔城子猫、さらに木場祐斗。さらにシトリー眷属の匙元士朗が教会組と共にペリドールと接敵していた。
「悪魔なのに神父の格好をしてるとは思わなかったな。……どうやら兵藤一誠はいないようだな」
「なんでそんな事を気にしてるんだい?まさか兵藤さんと戦って生き残ったとでも言うのか?」
「当たらずとも遠からず、だな。つい先日戦ったんだが……ありゃ人間じゃねえ。実力はまだよく分からなかったが、
「とんでもない奴……一誠さんはそれに接触して行方不明になったのか?一体どれだけ強いんだよ。あの人は世界最強とか言われてんだろ?そんなあの人が手こずる奴ってどんなのだよ。想像もつかない」
「まあ、なんでも良いか。敵は殺すだけだ。クライアントの命令なんでな。お前らのエクスカリバーも貰い受ける。多めにあって困ることはないからな」
「舐められた物だ。確かに我らは一誠さんほどの力はない。だが教会の戦士だ。貴様のような者に負ける気などさらさらない。ここで貴様の持つエクスカリバーを奪還する」
「やれるもんならやってみな!」
圧倒的な戦力差であるにも関わらず、それを物にもせずに対応してみせた。しかしながら仕留めきれるほどの実力差ではなかった故に時間切れとなり途中から現れたバルパー・ガリレイと共に撤退した。ご丁寧に魔術で傷を負わせた上で、だ。しかし聖剣で護りきったゼノヴィアとイリナ、自分の神器で壁を作って防いだ木場兄妹はすぐさま追撃を開始した。
それを追おうとした3人はそれぞれの主に痛めつけられたのだが……どのような目に会ったのかそれは彼らの名誉の為に伏せておこう。そしてその夜、リアス・グレモリーの元にコカビエルが襲来し戦いの始まりを宣言する。戦場はーーーー駒王学園。
流石にこれ以上傍観に徹する訳にはいかないと判断した八舞とシエナも戦場に向かった。しかし、途轍もない威力の波動に襲われた。周りを見渡しても何処にもいないと判断すると、次元の狭間を調べた。するとそこには行方不明だった一誠が知らない誰かと戦っていた。しかしそこは別に驚く所ではなく、驚くべきは戦っている者の有する
「『天使』、ですか……。師匠以外にもいたんですね。ああいう事が出来る人が」
「本来ならあそこに介入するべきなのかもしれないけど、放っておきましょう。明らかに楽しんでいるようだし邪魔するのは無粋というものでしょう」
連絡を入れた後、2人は急いで走りだした。街になにかしらの術式を張られたためだ。それをまずい事の前兆だと理解した2人は飛んだ。幸い、もはや皆が寝ている状況だったからだ。そして結界を突き破り入ってみると、そこには摩訶不思議な剣を持った木場祐斗がいた。
時を戻してリアス・グレモリーがコカビエルと相対した所でコカビエルは大量のケルベロスを召喚した。それを屠っている最中に教会組と共に木場祐斗が戦場に介入した。だが追撃に入っていたイリナの持っていた剣はエクスカリバーではなかった。廃教会でコカビエルの襲撃を受けた時に奪われたのだ。今イリナが持っているのは
瞬く間にケルベロスが殲滅されたその時、術が完成し4本のエクスカリバーが統合された。そして同時にあと20分でこの街は崩壊するらしい。それをなんとか防ごうとした時にバルパーはこれも全て聖剣計画のおかげだと言った。聖剣計画の被験者たちが死んだあの時に技術を確立させた事で聖剣使いを増やせると喜び、あの時創ったなけなしの聖なる因子を祐斗に投げ渡した。
それを慈しむように抱きとめると、光が溢れた。その場にいた全ての因子に反応したのだろう。そして祐斗は言った。自分が本当に幸せになって良いのか分からないんだ、と。因子に宿っていた全ての意思が告げた。聖剣を恐れる必要はないと。僕らは何時でも一つなのだと。そしてその場に高らかに聖歌が響き渡りーーーー木場祐斗は新たな境地に至った。
「僕らのような犠牲を生み出さないために……バルパー・ガリレイ!あなたはここで倒す!」
「それがどうした。科学には必要な犠牲というものだ。そのような事を言われても困る」
「僕は今こそ自分を知った。だからこそーーーー応えてくれ!
祐斗の手に握られた物は魔剣に非ず。されど聖剣にも非ず。混じり合うはずのない聖と魔は混じり合い新たな境地にその身を至らせる。祐斗の至った
「これが僕の
「態度だけは一丁前だが……それがどうした。所詮一撃で壊れなくなっただけだ。そんな物で聖人に届きうると本当に思っているのか?それなら片腹痛いと言うしかないな」
「それなら此方からも切り札を切らせてもらうとしよう。
ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。ーーーー聖なる名において我は解放する。デュランダル!」
「へぇ……デュランダルか。って事はお前は天然物か。聖人以外でそれ程の聖剣を扱える程の因子を持つってのは相当珍しい事なんだろうな。そうなんだろう?バルパーの旦那」
「そうだな。だが、使い手はまだまだ未熟だ。お前が恐るほどではないだろうし、力だけではお前の攻撃には対応しきれん。だが邪魔なのも事実だ。ーーーー早急に潰せ」
「あいよ。つーわけで、お前は邪魔だ。退け」
「ぐっ!あああああああっ!」
「祐斗!」
元々、悪魔や天使などの人外を圧倒できる身体能力の持ち主である聖人が相手なのだ。テクニック系の祐斗では抑えきれるはずがないだろう。吹き飛ばされたのを皮切りに攻撃が始まった。創生からの宝具の攻撃を躱し、祐樹やイリナの斬撃を防ぎ、リアスや朱乃の魔力を切り裂き、子猫の攻撃を回避する。そして待ち構えていたゼノヴィアに攻撃を当てようとした所で吹き飛ばされた。
「ここまでですね。シエナ、術式の解除は?」
「終わったよ。……まあ、こんなの片手間で終わるくらい簡単な物なんだけど。それでどっちがどっちの相手をするの?」
「それでは私が上の烏を駆除するとしましょう。貴方は聖人をやりなさい。どっちでも良いのですがやはり貴方と烏では生きてきた年数が違いますからね」
「貴様……何者か知らないがこの俺を烏とはいい度胸ではないか。殺される覚悟は出来ているのだろうな?女郎」
「貴方如き、敵ではありませんが……我らが主の敵はここで抹殺しておきましょう。最強を証明するために戦争を起こすなどというその愚かさ。ここで綺麗さっぱり消し飛ばしておいた方が良さそうですし」
「主?……貴様、あの男の、兵藤の従者か!ちょうどいい。あいつは何処だ?今この場であの男を殺し、俺が世界最強の名を背負ってやろう!」
「貴方が?最強?……フフッ。あはははははは。無知蒙昧とはまさにこの事ですね。私にすら届きもしない雑魚の分際で我らが主を殺す?貴方風情では現ルシファーすら殺せはしないと言うのに、その愚かしい自信は何処から湧いてくるのでしょうね?」
「……ありゃりゃっ。相当怒ってるね。君のクライアント死んじゃうかもしれないけど、いいの?傭兵としては何とかした方がいいんじゃないの?」
「冗談は辞めてくれ。あんな化け物みたいな奴に勝てるわけないだろ?その従者と戦うのだって本当は嫌なのによ。これは本気で逃げた方が良さそうだし……はっきり言って俺は兵藤一誠と相対して生き残る自信がないからな」
シエナは思っていたよりも懸命な思考ができるこの聖人が何故、今もなおこの場に残っているのか不思議でならなかった。嫌と言っている割に闘志はまるで衰えておらず、尚も増え続けていた。
「……ふん。それにしても貴様ら信徒共はよくそこまで懸命に戦える物だな。守るべき物も亡くなっているくせに」
「……どういう意味だ!」
「なんだ、兵藤から聞かされていないのか。まあいい。教えてやろう。……聖書の神は三大勢力の戦争の時に死んだのだ。貴様らが受けている恩恵はあくまでミカエルたち、セラフの面々が『システム』によって与えている物にすぎないのだ」
そのあまりに衝撃の大きすぎる言葉に八舞とシエナ、それに祐樹の3人を除いた全員が動揺していた。むしろ3人はそれがどうしたと言わんばかりの表情だった。最初から神など信じていないのだから当然だが。信じているのは主である兵藤一誠だけなのだから、仕方ないのだが。
「神様なんて最初から信じてないよ。姿の見えない物を信じるなんて無理な話だよ。日本で育ったせいか、宗教なんて物にはさして興味もないしね。大体、それがなんなのさ。元々姿の見えなかった存在がさらに分からなくなっただけじゃん」
「そうですね。マスターは知っていたようですが……元々信仰など有しない我々には縁遠い物です。むしろ祐樹の方がキツいのではありませんか?」
「神様なんていたっていなくたって私には関係ない。大切なのは家族と仲間と一誠さんだけだし。それに今は目の前の敵を倒すだけだよ」
まったく堪えていない3人の姿にコカビエルは笑いが止まらなかった。しかも1人は聖剣計画の被験者であったのだから尚更だろう。戦闘に入ろうとした3人の身体に突如とんでもない量の力が流れ込んできた。これを好機と見たペリドールはエクスカリバーによって強化された神速によって3人を殺そうとしたところで急に吹き飛ばされた。
突如現れた存在による急襲。歴戦の猛者であるコカビエルすら、その存在に気がつかなかった。煙が晴れたその先にいたのはーーーー銀髪に紅い瞳の女性。『滅』のヘルブストの血統において最後の魔乖咒師、アイリス・マリア・ヘルブストであった。
どもども、シュトレンベルクです。ちょっと長めだった今回、如何だったでしょうか?
感想にありました最後に出てきたのはコカビエル?という予想ですが、残念ながら外れです。ちゃんと後で名前を出しますが、オリキャラでございます。
そして前から考えていたアイリス再登場回!感想でも多く頂きましたが、この作者名もあの作品に影響されております。なので作者本人としましても、今回は待ちに待った回でした。皆様が楽しめたら幸いです。他のキャラは……出来れば出していきたいと思います。どうすれば良いか分かりませんが!
それでは今回はここまで。それではまた次回!