強い雨が街をたたく。屋根を壁を、そして窓をたたく音に自然と意識が浮上した。
薄暗い寝室で目を覚ました俺は目を開かせる前に自分の心音を確認する。
今日も規則正しく動いてくれているか。そして明日も規則正しく活動し続けてくれるか。
それは子供の頃から繰り返してきた習慣のようなものだった。
だがそんな俺の左胸に暖かい手が触れる。優しく触れられたその手はまるで心音を確認するようにそこに止まっていた。
やがて目を開かせた俺はすぐそばにいる真琴の顔を眺める。
「おはよう、ここまで眠り込むなんてよっぽど疲れてたんだな」
確かに昨日の学会はなかなかハードだったけどと真琴は苦笑いを浮かべた。
「まこと……」
その優しい姿に思わず名前を口にした俺は……
想像以上に涸れ果てた自分の声に驚いた。
そして同じように驚いたらしい真琴はすぐに嬉しそうな顔を見せた。
「悪い。疲れたのは学会のせいだけじゃなかったな」
真琴は笑顔のまま謝罪する。
こいつ、絶対悪いと思ってねぇだろ。
「ああそうだ。なあ光秀」
重い身体を起こそうとしていると隣で真琴が動き出した。
そして一本の瓶を手にする。
「昨日のカル○ス、まだあるけど使っていいか?」
「は?」
「あいにく今日は雨でどこかに出掛けることもできないからな。それに光秀も動けないだろ?」
誰のせいで動けなくなってると思ってるんだ。
悪びれた様子のない真琴に呆れながらも俺はそれを拒絶することができなかった。
昨夜の罰ゲームだって、真琴だから許したことだ。
真琴じゃなけりゃありえない。
馬鹿げたことだというのはわかってる。
一回りも年下のガキに溺れてどんなことでも許すなんて。
そんなことは以前の俺だったらありえなかった。
いや、真琴が月城医大に来た当時だってこんなことになるとは思ってなかったのに
窓をたたく雨の音が遠くに聞こえる。けどすぐそばではぐちょぐちょと別の水が音をたてている。
そしてさらにそれをかき消すように俺の中で心臓が激しく脈打っていた。
けど俺はシーツを強く握りしめてそれらすべての音を無視している。
いや、もうそんなの頭に届かなくなってるのか
真琴が俺の中に入り込んでかき乱して、頭の中もおかしくさせちまうから
「なあ、光秀」
うつろいだ俺の頭に真琴の声が忍び込む。
「カ○ピスとどっちがうまい?」
「っ……るせ…」
とんでもないエロガキだなこいつは
けど昨夜と違って律動は優しく扱いが丁寧だった。
それでも真琴が動くたび、先に注がれた液体が溢れて太ももを伝い垂れていく。
これ以上心臓が激しく脈打ったら俺は死ぬんじゃないか。
そう思う部分もないわけじゃない
けどやっぱり俺はどうしようもないくらい真琴に惚れちまってて
真琴に抱かれてる間は心臓の事なんてどうでも良いと思えるんだ