真・恋姫†無双 ~護国の蒼龍~(凍結)   作:むこうぶち

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第二話『満寵』

「「先生っ!!」」

 

華琳様に連れられて宛を離れて五日、衰弱した私を気遣いながらの道程を終え、華琳様の居城である陳留で私を出迎えたのは二人の教え子でした。

 

「心配と苦労をかけたね、灯里、舞歌」

 

灯里。徐庶、字を元直。私の塾では珍しく学問だけではなく、武芸も修めていた少女。早くに両親を亡くし、以前にいた私塾では基礎の学問を学び、そちらを卒業してからこちらへと来た変わり種。口では冷徹なフリをするが、心優しい子。あとは家事が得意で、よくかつての私塾での親友の話をしながら菓子を作ったりしていた。

 

舞歌。劉曄、字を子揚。私の塾で最も古株であり、私の代わりに教鞭を取る事もあった直弟子とでも言うべき存在。常に飄々としていて、後輩たちには歳上の姉、と言った風情で接していた。何故か、気配を消して背後に立っている事が多く間諜としての才能もあるのではないか?と思われる。

 

その二人が、目に涙を浮かべながら飛び込んできました。弱りきった私では受け止めきれず、倒れてしまいましたが。ですがそれだけ心配をかけたんだろう、と。

 

「もう私はいなくなりませんよ」

 

二人の頭を撫でると、声を上げて泣き始める。

 

「随分と慕われているのね」

「ええ、私には勿体無いぐらいですよ」

 

―――――――――

 

「名を、捨てたのですか?」

「確かに、左豊とやらの愚挙が原因とは言え先生は一度官憲に捕らえられています。そのままの名で華琳様へとお仕えするには何かと不都合が生じるでしょう」

 

二人に事の経緯を説明すれば、即座に私が■■である事によって発生する不利益を理解してくれた。

 

「以後、私は『満寵』と名乗る事にしました。それと最早ここは塾ではありません、互いに同じ主君に仕える同胞です。であれば私が預けた真名、もしくは満寵と呼ぶのが適切かと思うのですが?」

「いえ、先生は先生ですから!」

「公の場では無論、満寵殿とお呼びします。ですが普段であれば、特に問題は無いと思います」

 

とまぁ、そこだけは押し切られてしまいました。出来れば、師と弟子では無く同じ立場の者としての関係を築きあげたくは思いましたが仕方ありません。そこはこれから何とかしていくとしましょう。

 

「早速だけれど龍牙、貴方は暫く療養のために書類仕事をしてもらう事になるのだけれど・・・・」

 

と、華琳様が切り出す。確かに、私の経歴を考えた場合その方が適正でしょう。とは言え本来は私の兵法もアテにして軍師、もし武がそれなりであるならば将として、運用したかったのでしょう。早めに身体を整えなければなりませんねぇ。

 

「一人、貴方の補佐を付けるわ」

「助かります」

 

何せ未だに歩くのですら、杖をついている状態だ。必要な書類があった時に取りに行くのも大変、となればそれを代わってくれる者がいてくれるのはありがたい。

 

「少々、その娘は性格に難があるのよ。優秀ではあるのだけれども」

「か、華琳様・・・・まさか」

「『桂花』を、先生の下に?」

「そのまさかよ」

 

何でしょう、灯里と舞歌の様子が妙におかしいのですが。

 

「問題なのはその性格と、そこから生まれる一種の慢心。貴方にはその娘の教育をお願いしたいの」

「師として教え導け、と言う事ですか」

「ええ」

 

さて、問題点が性格とそこから生まれる一種の慢心とは言うが・・・・

 

「一つだけ、もしかしてその娘。『男嫌い』なのですか?」

 

私の問いに、我が意を得たりと微笑む華琳様、両肩を震わせる灯里と舞歌。

 

「華琳様っ!お呼びでしょうか!!」

 

そこに現れた少女、猫を模しているかと思われる頭巾を被り、傍から見て分かる程に華琳様に対して尊敬、いや盲信とも言える眼差しを向けている。成る程、彼女が件の。

 

「えぇ、桂花。貴女の上司になる『男』を紹介するわ」

「お、男ですか!?」

「あら、不満なの?」

 

声を荒らげた少女に対し、不敵な笑みを浮かべる華琳様。

 

「華琳様が選ばれたのなら・・・・とは思いたいのです、が」

 

成る程、恐らくはその娘の周りには言い方は悪いがマトモな、少し擁護するならば彼女の求むるに足る男性と言うのがいなかったのだろう。しかも宦官、と言う無能中の無能、人間の屑を体現したような連中までいる始末。その娘が『男』と言う存在にロクな印象を抱かないのも当然と言えば当然だろう。とは言え、恐らくは華琳様の存在もそれに拍車をかけたのだろう。器量よく、頭脳明晰、おそらくではあるが立ち居振る舞いから武術も相当なものと見た。さらに私のような、処刑寸前の罪人ですら実力があれば引き入れる器。男嫌い、と言う事実と相乗効果を両方に及ぼしたものと見える。

 

「お初にお目にかかります、私は満寵。この度華琳様の幕下に加えていただくことになりました。突然私の下につけ、と言われても私は貴女の事を何一つ知らないし貴女も私の事を何一つ知りません。ですから先ずは貴女の眼で私と言う人物を理解してみて下さい、私も最大限貴女を理解するように努めます」

 

こういう場合、無理に認めさせようとする必要は無い。彼女も私も、少なくとも華琳様のために働くと言う共通した意識があるのだ。であるならば、時間がかかっても互いを理解し認め合えるように勤めればいい。

 

「・・・・荀彧よ」

 

やや間を空け、彼女、荀彧は視線をこちらには合わせようとしないもののその名を口に出した。うん、互いの名を知り合うのも第一歩である。荀家、と言えば華琳様の曹家や三公を排出した袁家と並ぶ漢王朝の名門である。ならば無能な宦官連中の姿を目の当たりにする機会も多い、それで男嫌いが助長されてしまったのだろう。

 

「では早速ですが荀彧、執務室に向かいましょう。一刻は千金にも勝る、時間を無駄にしてはいけませんよ」

「分かってるわよ」

 

―――――――――

 

side 華琳

 

兵に道案内をさせ執務室へと向かう龍牙と桂花、を見送るようにしてその背を見ていた。

 

「華琳様・・・・」

「よろしかった、んでしょうか?」

 

と心配そうに灯里と舞歌が声をかけてくる、まぁそうね。ある種の賭け、とも言えるのかもしれないわ。でも、思ったよりも私は不安を抱いていない、そう。

 

「それよりも、自分たちの心配をした方がイイんじゃないかしら?」

「「え?」」

「見てごらんなさいな、あの二人。上司と部下、と言うよりも既に教師と生徒だもの」

 

二人とも意識しているわけではないのでしょうけども、それでも私にはそう見える。

 

「あぁ、この路地裏はいけませんね」

「なんでよ?」

「商店の在庫などが倉庫に入りきらず乱雑に置かれているでしょう?表通りから奥が見えない、と言うのは良からぬ事を企む輩にとって好条件の一つと言えます」

 

街並みを見ながら問題点を挙げてく龍牙、それを聞いた桂花が疑問を示せば即座に龍牙が注釈を加えながら説明をする。ええ、本当に教師と生徒じゃない。

 

「舞歌ちゃん、桂花ちゃんが先生の生徒になると言うことは私たちの後輩になるということではありませんか?」

「思っていても口に出さない方がいいわね、桂花なら怒るわ」

 

龍牙に春蘭、秋蘭、栄華、華侖、桂花、灯里、舞歌。いずれも新進気鋭、これからの時代を担うに足る未来の英傑ばかり。でもそれでも足りないわ、私の『道』を支えてくれる者は一人でも多い方がいいのだから。

 

「さぁ、私たちも仕事にとりかかりましょう」




第二話でした。

そして第一話投稿からここまででお気に入り登録が二百五十を突破していた件について。

思わず飲んでたコーヒーを吹き出しました(実話)。

英雄譚未プレイにも関わらず英雄譚キャラを出す、と言う暴挙(?)を次話からチャレンジしてみようと思います。お給料入ったら英雄譚123+を買うつもりなのでその頃から、微調整はすると思いますがそれまでは多少の違いは笑って許してもらえればと思います。

そして主人公によるフラグ建築中。自分でやっといてなんですが、桂花までヒロイン候補とはこれいかに。いや桂花タンは好きなキャラの五本指に入るんですけどね?
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