ハグリッドだ!映画とまんまおんなじだ!大きぃなぁ!
ジェシーは10年ぶりに会う大男にワクワクしていたが、ハリーは覚えている訳がなくこれ以上問題が起こらないように祈るしかなかった。
「おめぇさんがハリーか?ちょと見とらん間にでっかくなったなぁ?」
ハグリッドがわざとなのか、ダドリーに聞いている。
「ぼ、ぼ、僕ハリーじゃない」
吃りつつ言うダドリーの言葉にハグリッドは「そりゃそうだよな」と言っていた。
そして、部屋の隅にいた抱き合っているハリーとジェシーに気がついたハグリッドは、まるで旧友に会ったかのように意気揚々と近づいた。
その様子に、ハリーはジェシーの前に出て守るようにする。元々シスコンだったハリーは最近目に見えてこういうことが多くなった。うれしいのだが、その後ろ姿があの日の事件を思い出させて少し胸が痛かった。
「やぁ、ハリーにジェシー。久しぶりだな。そうだ、おめぇさんらにプレゼントがあるんだ。」
「ちょいと潰れてるかもしれんが」
ハグリッドが取り出した少し潰れた箱を恐る恐るハリーが開けてみると、
『たんじょびぃおめでとう』
とメッセージ付きのバースデーケーキが入っていた。
これには、二人同時に喜びの表情が現れた。
誰かに自分たちの為にケーキを貰うなんて事は初めてだからである。
ボロの小屋をハグリッドと出てボートに乗る。
しばらく寝てるように言われたジェシーとハリーは、半ば癖となってしまった、いつもの体制、抱き合って眠った。
その様子に、ハグリッドがリリーとジェームズを思い出して涙ぐんでいたことは、既に寝ていた二人には分からなかった。
一度にたくさんのことを知ったハリーは今日は良い夢を見ていそうで、それはジェシーも同じようだった。二人で微笑みながら寝ている姿はまさしく天使のようだ。
翌朝、ハリーとジェシーは早々と起きていた。ジェシーにとっては、いつもの時間だが。
眠い眼をこすっているハリーが
「きっと、夢だったんだよ。ハグリッドっていう大男がやってきて僕等が魔法使いの学校に入るって言ったけど、あれは夢だったんだ」
と言った。それにジェシーは
「いいえ、ハリー。これは夢じゃないわ。ちゃんと目を開けて、自分の目で見てみなさい」
と隣で言った。ハリーは言葉通りその緑色の目を開けた。
「あれ?ここ…どこ?」
「ハグリッドの船の中だよ。だから、夢じゃないわ」
「夢じゃないんだ!」
「そうなのよ。今年はハグリッドに先を越されたけど…ハリー、誕生日おめでとう」
ジェシーは、ハリーと自分の誕生日には必ず一番乗りでお祝いしようと決めていた。今年はハグリッドが先だったが。
「ありがとう。ジェシーも、誕生日おめでとう」
「ありがとう。愛してるわ」
そしてハグをしているとき、トントンとノックの音が聞こえた。
ハリーとジェシーは嬉しくて同時に音がする窓を開け放った。
すると、一匹のふくろうが入ってきてハグリッドの上に手紙を落とした。ふくろうがジェシーの持っているハグリッドのコートを激しく突っつき始めた。
その行動からも、なにかもせがんでいるとは分かったが、ジェシーはそれ以外からもふくろうのしたいことが分かるようだった。
この子のしたいことが分かる。
『コートのポケットにある配達料をくれ』という意思が伝わってくる。
「こら!ジェシーから離れろ!…ハグリッド、ふくろうが!」
ハリーは呆然とするジェシーからふくろうを追い払おうとしながら大声で呼んだ。その声でジェシーは我に帰った。
「金を払ってやれ」
「「え?」」
ポケットにお金が入っているから5クヌート(銅貨一枚)を渡せという。
ふくろうが言ってたのと一緒だ。
取り合えずハリーと一緒に左右のポケットをまさぐってようやく見つけたコインをふくろうに恐る恐る渡す。
するとふくろうはさっと嘴でくわえて入って来たのと同じようにスィーと窓から出て行った。
その時、ジェシーにはふくろうが『毎度ありー』と言っているように感じた。
ハグリッドのナイショの魔法でダイアゴン横丁に行くすがら、ジェシーはハグリッドに話しかけた。
「ねぇ、ハグリッド」
ハグリッドは読んでいた写真が動く新聞を閉じて脇に置いた。それを写真に興味を持ったハリーが見ていた。
「なんだ?ジェシー」
「私、ハグリッドに会ったの、今日が初めてじゃないと思うんだ」
思うじゃなくて、確信を持っているのだが、今はそういっておく。
「そうさ。ハリーとジェシーに会ったのは今日で…何回目になるんだっけか…まぁいい、初めてじゃない。…まさか、覚えちょるのか?」
「ううん。でも、夜に私とハリーをハグリッドがオートバイに載せてくれたのは覚えてる」
「ジェシー、それって空飛ぶオートバイ?」
新聞を読んでいたハリーが入ってきた。
「そうだよ。私も空飛ぶオートバイ覚えてたの」
ハグリッドは、その小さな目を見開いていた。空飛ぶオートバイに載せたのはあれ一度きり。それを覚えてるなんて
「…二人とも、あの夜のことを覚えちょるか?」
「「全然」」
ジェシーは、トラウマになるほどしっかりと覚えていたが、ハリーに合わせておいた。
その返答を聞いたハグリッドは安心しているように見えた。恐らく、あんな事件は子供には刺激が強すぎると思ったのであろう。
しばらくして、薄汚れたパブ『漏れ鍋』に着いた。
中にはいると、皆がハグリッドの事を知っているようだった。
「大将、いつものやつかい?」
「いんや、今日はホグワーツの使いなんだ」
と言いながら、ジェシーとハリーの肩を叩いた。大男に相応しい馬鹿力で叩かれたので二人とも僅かに顔をしかめている。
「なんと。こちらが…いやこの方々が……」
バーテンはジェシーとハリーをじっと見た。『漏れ鍋』は急に水を打ったように静かになった。
「やれ嬉しや!」
バーテンを始め、店にいる全員が感激し、涙を浮かべて握手を求めてきた。
それに二人は若干引きつつも答えていた。
「ポッターさん。お会いできて光栄です」
「あなた方と握手したいと願いつづけて来ました。…舞い上がっています」
「ポッターさん。どんなに嬉しいか、うまく言えません。ディグルです。ディーダラス・ディグル」
ジェシーとハリーは最後の人を知っていた。前に買い物先の店でお辞儀してくれた人だ。
「私、あなたのこと知ってます」
「僕等にお辞儀してくれた人ですよね?」
すると、ディグルと名乗った人は感極まった様子だった。
「クィレル教授!」
ハグリッドが言った。
ジェシーは注意深く観察していた。クィレルは今年の悪役だからだ。