ものぐさ女の成長   作:妄想女子

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第6話

『漏れ鍋』でたくさんの人と握手をしてから、ハグリッドに連れられてダイアゴン横丁に行った。

 

そこは、ほんとにほんとに不思議な横丁だ。建物は変な形に歪んでいるし、商品もきっとダーズリー一家は買わないであろう変わった物ばかりだ。

それに、最も変わっていたのは歩いている人たちだった。

皆、夏だっていうのにローブを着ていて(脱いでいる人もいるが)、尖んがり帽子を被っている。でも、中にはジェシーやハリーと同じような年頃の子供達もいた。

 

目をキラキラと輝かせる二人をハグリッドは微笑ましく思っていた。

 

三人がまず向かったのはグリンゴッツ銀行だ。物を買うにも、お金を引き出さなければならないからだ。

 

初めて見るゴブリンと、トロッコに二人はますます興奮した。それ以上に驚いたのは、リリーとジェームズの金庫だった。いくら小説と映画の描写で分かっていたとは言え、これにはジェシーも勿論ハリーもあんぐりと口を開けていた。

 

見る限り、金庫の中は金貨だけ。それも山のように積んであり、夢の金貨風呂を何回もできるであろう量があった。

それぞれ金貨を20枚ずつ取り出して、ハグリッドの用事に付き合った。

 

ハグリッドの用事とは、『賢者の石』をホグワーツに運ぶこと。

今し方金庫から取り出した古い小さな包みがそうだろう。

ハリーは気になっている様子だったが、それをハグリッドに聞くことは無かった。

 

帰りもジェットコースターの様なトロッコに乗って来て、外に出た。

 

「ほんじゃ、まずは制服を作りに行くか」

 

次に行ったのは『マダム・マルキンの洋裁店』だ。ハリーは初めてのダイアゴン横丁での買い物にワクワクしていた。一方でジェシーは少し緊張していた。

 

 

ここで、ドラコ・マルフォイに会うんだよね。

 

 

ハグリッドはまた用事があると言ったので、二人でドアをくぐる。そこには既に先客がいた。

 

 

青白い顔にプラチナブロンドの髪、まさしくそれは、ドラコ・マルフォイだった。

 

 

台が二つあり、そのうち一つをマルフォイが使っていた。

その隣にハリーは藤色ずくめの服を来たマダム・マルキンに促されて立った。

 

 

マルフォイは、隣に来たハリーと脇にいるジェシーに目を向けて、計測されながら話しかけてきた。

 

「やぁ、君達もホグワーツの一年生かい?」

 

「うん」

 

とハリー。

 

「僕の父は隣で教科書を買ってるし、母はどこかその先で杖を見てる」

 

マルフォイはどこか気だるそうな、気取った話し方をする。

 

 

すこし、子供っぽくないけど、この時のマルフォイは、そんなに嫌な感じしないな。やっぱりホグワーツに入ってから更に捻くれるのか

 

 

とジェシーは思った。

 

 

「もうどの寮に入るかもう知ってるの?」

 

「ううん」「いいえ」

 

「まぁ、ほんとのところは、行ってみないと分からないけど。そうだろう?だけど僕はスリザリンに決まってるよ。僕の家族は皆そうだったから……ハッフルパフなんかに入れられてみろよ。僕なら退学するな。そうだろう?」

 

そうだろう?と言いつつ、マルフォイの中でそれは決定事項のようだった。

 

ハリーはどう答えれば良いのか唸っている。

 

「あら。スリザリンやハッフルパフがどんな寮かは知らないけれど、まだ行ってもないのに決め付けるのは良くないわ。もしかしたら、そのハッフルパフっていう寮には英雄がいるかもしれないじゃない」

 

 

平等、公平、をモットーにしているジェシーはマルフォイにそう答えた。すると、異が帰ってくるとは思っていなかった彼は、すこし目を丸くしていた。

 

マルフォイは言い返そうと、窓の外を顎でしゃくった。

 

「ほら、あの男を見てご覧」

 

店の外にはハグリッドが立っていた。その両手にはアイスクリームを持っていて、これがあるから入れない、というジェスチャーをしていた。

 


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