12年後の僕から君へ   作:ねぎさだ

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主人公の名前はコウキ、女主人公の名前はヒカリ、ライバルの名前はジュンとなっております


1話:ことのはじまり

 目の前のディアルガが天を仰ぎ見る。まずい。そう思った次の瞬間、ディアルガは僕のポケモンとその直線上に居る僕を視界に入れて、世界ごと震わせる程の声量で、吼えた。

鼓膜どころか全身を打ち据えるような咆哮は、只の威嚇だったとしても十分に僕に影響を与えたらしい。大きく貯めて放たれた光線とも呼ぶべき光の帯を、相棒であるゴウカザルのヒコが僕を抱えながら辛うじて避けた。しかしその余波すらも、圧倒的な威力を誇っていたのは言うまでもないだろう。

初めて体験する、僕という存在すら揺るがすような衝撃に、抵抗すら出来ずに僕は意識を手放した。

 あ、これは死んだかも。死ぬ直前とかって案外落ちついているものなのかもしれない。

 

 事のはじまりは、ギンガ団の一件だった。ボスのアカギ(ハンサムさん曰く二十七歳)が赤い鎖でディアルガとパルキアを使って世界を作り直そうとしたという、はた迷惑極まりない事件だ。この一件で僕はシンオウの伝説のポケモンが存在して、且つテンガン山に居る事を知った訳である。

それをバトルフロンティア用のポケモンのレベル上げ兼進化の為にテンガン山に行った時に思い出した訳だ。そうしたらどんなポケモンなのかも気になってしまったし、何より挑んでみたいという欲が生まれた。

 伝説のポケモンを前にして戦ってみたいと思わないだなんて、嘘だと思う。僕の欲求はきっと、ポケモントレーナーならば誰でも持ちうるものだ。たぶん。

捕まえられるかとかは問題じゃないのだ。伝説と謳われるようなポケモンと戦いたい。そしてあわよくばポケモン図鑑に観察したい。

逸る気持ちをそのままに、少しの期待を込めて捕獲要員のサーナイトを用意した。そして僕は雪霰吹雪くテンガン山の槍の柱を目指し、果たしてディアルガと対峙するに至った訳である。

 あの時の僕に、僕は心から考え直せと詰め寄りたい。僕の命がそんなに安いものの筈がない。

 

 不安そうな鳴き声に、僕は意識を覚醒させた。そこで僕は初めて自分が眠っていた事に気が付く。寝起きでぼんやりとした視界に、心配そうに僕を覗き込んでくるゴウカザルを見つける。

 

「……ヒコ?」

 

 声をかけた事で、僕は自分が気を失っていた事に気が付いた。勢い良く起き上がり、目の前の相棒の様子を確かめる。

 

「ヒコ! 怪我は?! まともに喰らってない?!」

 

 半分取り乱したような僕に、驚いた様子でヒコも一緒に慌ててみせた。そのコミカルチックな行動と、逆に僕を心配してみせる様子から一先ず大きな怪我はなさそうだと安心した。

 

「よかった〜……」

 

 ほっとしたついでに抱き締めて、僕は気を失う前を思い起こす。そうだ、ディアルガに、テンガン山で挑んでいた筈だ。頂上は何故か吹雪いていなかったとはいえ、あの天候の中で気を失ってよく生きているものだ。というか、ディアルガがよく見逃してくれたものである。

そこまで考えて気が付いた。ここはどこだろう。明らかにあの山頂の、よく分からん遺跡ではない。雪も積もっていないし、森の中である。

 周りを見回して途方に暮れた僕に気付いたのか、ヒコが慰めるように寄り添ってきた。こんな状況でなければ撫で回す所なのに。

 

「ここ、何処だかわかる?」

 

 声に出してそう尋ねてみたが、返って来たのは分からないと言わんばかりに首を傾げる姿だった。ちくしょう、かわいい。そんなヒコを撫でながら、僕は図鑑からタウンマップを呼び出して現在地を確認した。便利だ。

どうやらここは208番道路付近の森の中で、テンガン山の麓の辺りらしい。一番近いのはヨスガシティのようだ。何が原因で槍の柱から放り出されたのか分からないが(十中八九ディアルガだろうけど)、先ずは休んでから考えよう。そう結論して、僕は立ち上がる。流石に薄暗い森の中で一人は心細いので、ヒコと一緒に森を抜ける事だけを考えた。

 

 大分歩いた頃、漸く森から抜ける事が出来た。そうして辿り着いたヨスガシティは、僕が知っているヨスガシティとは大分様変わりしてしまっていたのだ。

 

「待っていたよ、コウキ」

 

 呆然と街を歩き回って辿り着いた、あまり変わっていないコンテスト会場の前の広場で。ベンチに座っていた男の人が、僕を見つけて声をかけて来た。いきなり名前を呼ばれて、少し驚いてその人を見る。知らない人だ。でも、少し見覚えがあるような気がしなくもない。

 

「すみません、どちら様ですか」

「僕は君をよく知っているし、君も僕を知っている。……僕の名前はコウキというんだ」

 

 男の人の返答に思わず顔をしかめると、その人は少しばかり苦笑してから名乗った。僕と同じ名前の男の人は、不信そうに見つめる僕に笑う。

 

「ここではちょっと都合が悪いから、場所を変えよう。君の疑問に答えてあげる」

 

 そう言って先導するように歩き出したその人を、信用してもいいものか判断に迷っていると、その人は振り向いて苦笑した。

 

「何も取って食おうってんじゃないんだから、そんなに警戒しないでよ。君も腰を据えて話したいでしょ?」

「知らない人について行くのはどうかと思うんですが」

「知らない人じゃないから安心して。君が何をしていたかを僕は知ってるし、これから君がどうするべきなのかも教えて上げるられる。悪い話じゃないと思うんだけどな」

 

 僕の行動を把握してるとか。

 

「……ストーカー?」

「あはは、その思考は流石だね。でも君は僕に着いてくるでしょう?」

 

 警戒していない訳ではない。けど同じ名前を持つこの人と、少し話してみても嘘をついている訳ではなさそうだ。誰だか分からないけれど、妙な自信がある程度には僕を把握しているようである。

 

「……そうですね」

 

 訳の分からない事が起こりすぎていて、何かに縋らないとやっていられない。多分そう言うのも全部見越して、この人は僕を誘っているのだろう。それなら誘われてみるのも一興かもしれない。

そんな気持ちで前を行く不審者に、僕は自分の意思で着いて行った訳である。

 

「それで、何から聞きたい?」

 

 彼に連れられて入った喫茶店の奥まったボックス席で、とっておきの話をするような笑顔で彼が口を開いた。僕は注文したオレンジジュースのストローを銜えて、喉を潤す。それから真っ直ぐその人を見て、尋ねる。

 

「あなたは一体誰なんですか」

「ふふ、分からない? まあ分からないよね。名乗った通り、僕はコウキ。未来の君自身だ」

 

 楽しそうにそう言う自称・未来の僕に、僕は思わず顔を顰めた。

 

「そんな顔しないでよ。ちゃんと話すから。……完結に言えば、君は槍の柱でディアルガが放った『時の咆哮』に巻き込まれた。そしてここ、君から見た『未来』へと飛ばされた。僕は僕が覚えているから、こうして君と向かい合っているんだよ」

「……ちょっと信じ難いんですけど」

「まあそうだよね。でも実際、ヨスガシティは君の知っている街と随分変わってる。そうだろ?」

 

 実際の所、ちょっとどころでなく信じられない訳だが。この未来の自分を名乗る男が語る事も、間違っていない。僕は何も話していないのに、この男はあった事も思った事も、全部知っているように話すのだ。

 

「じゃあ信じるとして、具体的に何年先の未来なんですか」

「全く信じてない当たりが僕だよね。今年で僕は24になる。君の時代から12年後って事になるのかな」

「何か信じられるようなものは」

「じゃあ……フタバタウンに行ってみよう。それからマサゴタウンにも。信じられないとか言ってられない証拠があるからね。流石に一年やそこらで自宅とか博士の研究所とか変わる訳ないし」

 

 あくまで信じられないと主張する僕に、彼は具体的な証拠を見せる事を提示して来た。

 

「そうですね……そんなに変わっているなら信じるしかないです」

「この後、一緒に連れてってあげるから安心するといい。それで、元の時代に戻る方法なんだけど」

「その突拍子のない設定を信じるとなると、僕はディアルガに会わないといけないんですよね」

 

 この人の言う事を信じるとなると、原因はディアルガという事になる。話が通じるのかは分からないが、ディアルガの力を借りて元の時代に戻らなければいけないだろう。

 

「うん、話が早くて助かる。で、君はもう一度テンガン山に登らなきゃなんだけど、問題があってね。今、テンガン山はシンオウのジムバッジを九個集めないと立ち入れないんだよね」

「……九個?」

 

 思わず尋ね返してしまった。ジムバッジは八個だったはずだ。それにテンガン山に立ち入り禁止とか、そんなものもなかった。

 

「10年前位にね、テンガン山が立ち入り禁止になったんだよね。山頂のあの辺りの野生のポケモンが強くてさ、新人トレーナーとかが立ち入るのが危ないって判断された。それで、ジムバッジを一新するついでに立ち入りをジムバッジで認識するシステムになったんだ。その時に新しくジムも出来てバッジも増えた、と」

「納得できるようなできないような……」

「君の持ってる旧バッジでは立ち入れない」

 

 ずばり切り込んで来たその人は、そう言って少し冷めてしまっただろうコーヒーのカップを口に運んだ。それは僕の予想と違わないもので。

 

「……でしょうね」

「だから君は、もう一度このシンオウ地方を回って、ジムに挑戦してバッジを集めなければならない」

 

 そう言って、その人はバッジケースとトレーナーズカードを差し出して来た。

 

「これは君の為に用意したバッジケースとトレーナーズカードだ。そのままのメンバーで行って大丈夫だよ、ジムリーダーには話を通してあるから。集め終わったらチャンピオンにも挑戦だ。大丈夫、みんな楽しみに待ってるからさ」

「なんでそんな事になってるんですか……」

「僕が話したから。それに普通に回ってもきっとばれるし。あ、四天王のジュンがやたら乗り気だから、挑戦しないとか言うと突撃されるよー」

 

 かなり迷惑な話が進行していて、どうしてこうなった。というか

 

「ジュン、四天王になったんですか?」

「うん。あと、ヒカリちゃんがファクトリーヘッドになってるよ」

「へ?」

 

 ジュンがチャンピオンに近い所に居ると言うのに驚いた。というか、てっきりクロツグさんの後を継ぐとか言い出すものだとばかり思っていたのだが。

ヒカリちゃんがフロンティアブレーンとか、しかもファクトリーヘッドとかちょっと想像出来なくて、変な声が出た。

 

「ほんとほんと。博士の助手と兼業というか、研究の一環と言うかな感じになってるんだけど」

「いみがわかりません」

「研究の一環として育ててたポケモンを、ファクトリーに貸し出ししてたんだけどさ。そのうち本人もファクトリーに出入りするようになってね。いつの間にかなってたとしか」

 

 苦笑しながらそう言うこの人の反応が、本当に知らない間になっていたと言うようで。僕は思わず呻いた。そんな僕の反応を楽しむように、彼は穏やかに目を細める。

 

「持っているバッジの効果は変わらない。だから空を飛ぶで好きなジムから回るといいよ。後は……そうだね、結構ジムリーダーが変わったりしてるから、楽しみにしてるといい。みんな君とバトルするのを楽しみにしてる。君は、シロナさんに勝った後だもんね?」

「なんか評価を盛ってません? 確かに殿堂入りはしましたけど、あれはチャンピオンになる為の挑戦じゃないじゃないですか」

 

 どのこ地方でもそうなのだが、殿堂入りと打倒チャンピオン戦は違う。四天王もそうだ。彼らとのバトルはトレーナーの意欲の向上の為なのだ。殿堂入りを果たした上で、四天王及びチャンピオンに改めて挑戦出来るという、そう言うシステムになっている。実際、僕は殿堂入りは果たしたけれど、その後はポケモンリーグに近寄ってすらいない。

 

「そうだけど、ちゃんと覚えてるよ。君、バトフロに嵌まってたよね?」

 

 だめだ、この人本当に僕かもしれない。そんな気がしてくる。

バトルフロンティアにすっかり嵌まって、最近まで図鑑は放置しっぱなしだった訳で。そもそもディアルガに挑んでみようと思ったきっかけも、バトフロが絡んで来るあたり言い訳はきかない。

 

「ぐっ……でも手持ちの面子はそんなことないですし」

「旅仕様の子たち連れてるはずだよね。あ、ソノオジム以外は非公式戦扱いになる。だから何処のリーダーも本気で来るはずだからがんばってね」

「えっ、はあ?!」

 

 この人が言った事が本気なら、どのジムリーダーも勝負所でフリーバトルを吹っ掛ける時のような仕様という事になる。

 

「か、勝たなきゃ駄目なんです?」

「そんな事はないけど。会って、バトルする。それがバッジを貰う条件だけど、君も負けず嫌いでしょ?」

 

 そうでなきゃバトフロなんて廃人施設に嵌まらない。

 

「まあ勝たなきゃバッジ貰えない訳じゃないし、がんばって」

 

 そんな風に煽られたら、意地でも勝ちたくなる訳で。本当に彼が僕なら、分かってやっているんだろう。そう思ってもバトルで負けたくないのはもうどうしようもない。

 

「と。大体僕から君に言う事とかは言ったけど、他に聞きたい事とかある? ないならフタバタウンへと行きたいんだけど」

 

 そう言って尋ねて来た彼に、僕は口を開く。誰がジムリーダーとか、聞きたい事はいくらでもある。でも、一番気になっているのは当たり前の事だ。

 

「僕は、未来のあなたは今何をしてるんですか?」

 

 聞かれるのが分かっていたのか。彼はくっと吹き出すのを堪えた様子を見せて、僕を正面から見据えた。そして顔を合わせてから一番の笑みを浮かべる。

 

「それは自分で確かめなよ」

「プー太郎ではないって事でいいんですよね?」

「ひどっ?! 君の自分の評価って……そうだ、バトフロに引き蘢りたいとか言ってた頃だった……」

 

 僕の台詞に大袈裟に反応して、それから肘をついて組んだ両手に額をつけて俯いてしまう。この人は本当に未来の僕かもしれないと、少し信じてもいいような気がして来た。

正直、今僕は自分のやりたい事が見えていない。ただ楽しいからとバトルフロンティアに入り浸っているけれど、ジュンやヒカリちゃんのような確固とした目標があるわけでもないのだ。

そんな僕が、何かになれているらしい。それはたとえ嘘だろうとも、僕に取っては嬉しい事だ。

 

「ジムリーダーが誰かとかは、会って確かめなよ。じゃあ、行こう」

 

 そう言って腰を上げた彼に習って、僕も席を立った。それから彼を追うようにフタバタウンへと向かった。

着いた先の僕の家は、彼の言った通り、完全にリフォームを遂げていた。ここまで大幅に変わったのだとしたら、ママから一言位連絡があってもいいはずだ。

 

「あら、おかえりなさい。まあまあ! 本当に小さいあなたが来るなんて!」

 

 呆然と変わり果てた我が家を見上げていると、家から出て来たママが出迎えてくれた。僕が知ってるママより大分老けてしまっているが、ママにこんなに似ている姉がいるとかは聞いた事がなかった。

 

「うんただいま、母さん。暫くこっちの小さい僕がこっちの家に帰ってくると思うから、宜しくね」

「アンタだって言う程寄り付かないでしょうに。でも小さいコウキを見てると、なんだかママも若返った気分になるわね……疲れたらいつでも戻ってらっしゃい。ママはあなたのママなんだからね」

 

 言いながら、ママは僕に目線を合わせる様に少し膝を屈めて言った。どうやら未来の僕は、前もって僕が来る事をママに話していたらしい。帽子の上から頭を撫でられて、何だか妙に照れくさい気分になる。

 

「で、アンタも今日はうちで過ごしてくの?」

「そうしたいなって思ってたんだけどね、ちょっとした野暮用が片付いてなくて、戻らなくちゃならないんだ。だから小さい僕を宜しく頼むよ」

「そう、ならちょっと待つ位はできるんでしょう? お夜食詰めてあげるから持って来なさいな」

「ありがとう、助かるよ」

 

 そう言ってママは家の中に引っ込んで行く。そんな風に世話を焼かれるのを嬉しそうに、大きな僕は僕を促して家の中へと入る。そのまま未来の僕の部屋へと通されて、机の上の折り畳まれた紙を手渡された。

 

「これ、タウンマップ。12年前から見ると大分変わってるし。それからこの部屋は自由に使うといいよ」

「あ、ありがとう……」

 

 彼を改めて未来の自分だと認めると、なんだか何とも言えないむず痒いような気持ちになってくる。そんな僕を見透かしたように、彼は僕の頭を乱暴に撫でてきた。

 

「そんなに畏まらないで。それに放り出す訳じゃないから安心してよ、時々様子を見に来るし」

「分かった。……あの、なんて呼べばいい、かな」

 

 見透かしたようにじゃなくて、多分分かってるんだろう。大人しく撫でられながらそう尋ねれば、今思い出したとばかりに目を丸くした。

 

「あー……そうだね。名前じゃ呼び辛いよな……なら、お互いにコウって呼ぶのでどう? 僕らが一緒に居る時は君がコウって呼ばれてもらってもいいかな」

「……ああ、そっか。仕事? あるんだよね?」

「……どうしてそこで疑われてるのか分かんないんだけど。ちゃんと働いてるから」

 

 僕がコウと呼ばれる事に対しては不満はない。僕だけの時はコウキでいいらしいし。頷きながら尋ねれば、眉は八の字なのに笑っていると言う、何とも器用な表情でコウは僕の頭を軽く叩く。

 

「今日はこのまま休んで、明日からあちこち動けばいい」

「コウはなんで、僕にこんなに色々してくれるの?」

 

 会った時からの疑問をそう問えば、コウは少し困ったように笑って言った。

 

「君が過去の僕だからってだけじゃなくて……僕が手を貸さなきゃ君を過去に帰せないから、かな」

「そうなの?」

「少なくとも、僕の時はそうだった。だから、今度は僕が君にする番なんだ」

 

 だから君も忘れないで、未来で『僕』を助けてあげて。僕に目線を合わせて屈みながら、コウはそう言った。僕がそれに頷くと、丁度タイミングよく下からママがコウを呼ぶ声がした。

 

「行こうか」

 

 ママの声に答えてから、コウが僕に荷物を置くように言った。コウはそれを待ってくれて、僕らは一緒に階段を下る。

 

「これ、時間が空いた時にでも食べなさいね。多めに入れてあるから、よかったら皆さんにも食べて貰って」

「ありがと、母さん。それじゃ、コウも。いってきます」

 

 ママ手渡された大きめのバスケットを受け取って、その中味を覗きながらコウはママにお礼を言った。それから僕とママに手を振って、出かけて行った。

 

「それじゃ、ちょっと早いけどお夕飯にしましょう。ポケモンフードも用意してあるから、コウキのポケモンも一緒にね」

 

 そう言って笑ったママを見て、なんだか僕の時代のママに無性に会いたくなった。元の時代に戻ったら、真っ先にママに会いに行こうと、そう思った。

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