天衣無縫な男の話 作:シデン
燃え盛る廃墟と化した街並み。呪いに侵された
だって仕方ねえだろ?見渡す限りがソレなんだ。人っ子ひとりいやしねぇし、平時であれば見かけるハズもねぇ
正しく世界の終わりに相応しい光景だろうなクソッタレ。
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1時間前
あの後、所長であるオルガマリー=アニムスフィアのご高説を要点をまとめて話すなら、カルデアスすごいでしょ?・来年世界が滅びます・7つの特異点を修復して人理を守りましょう、ということらしい。
正直小難しい話は隣にちょこんとすわっているマシュに聞いてもらうとして、俺はバレないように居眠りでもキメこんでやろうと考えてたがそりゃバレるわな。つーか一般公募のみそっかすを最前列に座らせるなんて、席決めたヤツ頭沸いてんじゃねぇのか?
当然俺は上官が新兵の指導をする際の見せしめのような形で、
ABCにマスター候補者を分けて順にレイシフトを行う、なんて所長は言ってたが俺はおそらく最後の方だろうな。もしかするとマスター候補者から外される可能性もありえるがそこはソレ。俺本来の目的を完遂するだけだ。
自分に割り振られた部屋での待機を命じられたので、レフをどうやって始末してやろうか策を練りながら俺の部屋まで歩いてきたんだが、部屋の中から
中にいる、多分男だろうソイツにアイサツしてやらねばと思い、俺はイイ顔しながら勢いよく入室して一言、
「俺の部屋で何してんだゴラぁ!!」
「ファっっっ!?」
ソイツは驚いて変な声を上げながら後ろにひっくり返った。良いリアクションするじゃねぇかと感心しながら、その男に害は無いこと確信して俺は雰囲気を柔らかくして話しかける。
「わりぃわりぃ、ちっとばかしからかっちまった。怪我はしてねぇかよ?つーか驚き過ぎだって、なぁミスター?」
「あイテテテ。ビックリしたじゃないか!ヤクザのカチコミみたいな登場の仕方は僕の心臓に悪いよ、もう」
そう言って起き上がろうとするので手を貸してやる。ありがとう、と言いながら朗らかに笑うソイツを立たせてお決まりの会話を切り出す。
「そんじゃあ改めて。本日付けで入館したマスター候補者一般枠、シデン=ベルフォルマだ。よろしく頼むぜ」
「ハハハ。第一印象が強烈だったからね、キミの名前は忘れそうにないよシデン君。僕はここカルデアの医療部門スタッフ、ロマ二=アーキマンだ。みんなからはDr.ロマンと呼ばれているのでキミの好きなように呼んでくれて構わないよ」
そう言って右手を差し出してきたので握手に応じる。なんとなく気が合いそうなんでロマンとは仲良くしとくか、と考えながら俺はロマンが部屋にいた理由を聞いた。
ただその理由がサボっていた、だけだったのは表紙抜けもいいところだった。てっきり今回の真の依頼人である英霊からのメッセンジャーなのかと考えていたが、俺の考え過ぎだったようだ。
それからロマンと軽い雑談をしつつ時間を潰そうと考えていたんだが、レイシフトを開始するにあたりあのレフからロマン宛てに通信が来たようで渋々部屋から出て行った。
そうしてロマンが出て行った2分後に事件が起きた。
館内アナウンスが言うにはレイシフトを行う管制室と電力を生成する施設から火の手があがったらしい。ただ、直前の爆発音から察するに何者かに爆破されたんだろう。心当たりがありすぎるのだが今はそれすらどうでもいい。
管制室にはマシュがいる。そう考えるだけで俺の足は動いていた。途中ロマンに出くわしたが、アイツは無事だった。なぜなら俺の部屋から管制室までは5分かかるらしい(ロマン談)なので爆発に巻き込まれなかった、と。
こう順序立てて考えると、レフからロマン宛てのあの通信は完全に殺しにきてるといっても過言じゃねぇ。医務室から2分で来れるだろ?→2分後に爆発って、下手くそかよ。
レフをさんざんこき下ろしながら管制室に到着すると、そこに拡がっていたのは死で溢れかえった空間だった。至る所から噴き出す炎、血の付着した瓦礫。そして当たり前のようにぶち撒けられた人体の一部。
その光景はあまりにも絶望的だった。俺の思考に目の前の現実が生存者はいないと訴えかける。
「ふざけるなァッ!!」
諦めかけていた思考に喝を入れる。絶望するにはまだ早い、お前は彼女の死体をその目で見たのか?、と。
「マシュ!!何処だ!!生きてんならなんでもいい、とにかく動いてくれ!絶対に見つけてやるから、助けるから!諦めんな、マシュ!!」
マシュの生存を願って声を張り上げる。動いてくれさえすれば気配で何処にいるのかが分かる。だから、気絶していようとも叩き起こすぐらいの大声で叫ぶ。すると奥の方の瓦礫の山の中から、生物の気配がする。
「マシュ!!」
マシュかどうかはまだ分からないが瓦礫の中にいる誰かを傷つけないように、瓦礫の上の部分を吹き飛ばして迅速に瓦礫を退かしていく。内心では俺はかなり焦っていた。俺は気配で大体の人間の判別はできるが、説明会の時に集まっていた他のマスター候補者の気配を感じ取れない。つまり判別が出来ないくらいこの中の人物は弱っている。
そうして瓦礫の中から助け出したのは、会ったばかりの俺を先輩と呼び慕う少女、マシュだった。
「ッ…⁉︎」
思わず息を呑む、何故なら一目見て助からないと分かる姿だったからだ。マシュも、俺が驚いてそしてこの理不尽に対して怒り狂う一歩手前の様子を見て微笑んだ。今にも死んでしまいそうな状態であるのに、激痛で泣き叫びたい筈なのに、だ。マシュが俺を想って微笑んだことに気付いて激情に駆られた思考が一気に冷静になる。
「ふふっ。せん、ぱい。りかいがはやくて、たす、かります。わた、しは、もうたすか、り、ません。せん、ぱい、はやく、ひなん、して」
息も絶え絶えになりながらも俺の身の安全を願うマシュ。異常を告げるアナウンスが、隔壁が閉じてしまうような内容を伝えているからだ。確かに、スプリンクラーが作動するみたいだが此処にとどまっていれば水が出るより早く焼け死んでしまうだろうよ。
けどな、
「悪りぃなぁ。マシュに案内してもらってねぇから、上手く避難できるか分かんねぇわ。それに、先輩が後輩を置いて1人で避難しろってか?そいつは筋が通らねぇ。行くなら2人で、残るのも2人で、な?」
「せん、ぱい…っ!」
俺がそう決意したのをマシュも感じ取ったんだろう、堰を切ったように彼女の目から涙が溢れ出す。大して力も入らないだろうに、必死に俺の服を掴みながら腕の中で泣き続ける。死にたくない、生きていたい、と。
マシュの泣き声に掠れて上手く聞き取れなかったが、どうやらシステムが作動しているらしい。48、再設定、なんて単語が聞こえたがそんなことはどうでもいい。
あらかた自身の感情を吐き出し終えたのか、鼻をすすりながらもようやく落ち着いたマシュを見て彼女と目線が合う。システムの駆動音なのか、やたら大きくなってきたその音をBGMにマシュが口を開いた。
「せん、ぱい?」
「うん?なんだよ、後輩」
「てをにぎって、ください、ますか?」
「ハッ。手を握るだけじゃ足りねぇだろ?…抱きしめてやるよ」
俺の返答に満足したのか、今日1番の笑顔見せてくるので俺はマシュが
そして、腕の中の生命の灯火が消えかけてしまいそうになったのを感じとり、
カルデアでの記憶が途切れた。
どうだったでしょうか?
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