ゼロの使い魔ー紅の契約者ー 作:紅の蓋
広場は歓声に包まれていた。
格下が格上を倒す。
下剋上。
番狂わせ。
ジャイアントキリング。
レッドが起こしたことはまさにそれであり、下馬評でいえば奇跡なのだ。
しかし、奇跡を起こしたレッドは倒れるようにルイズにもたれかかった。
「……ちょっとどうしたのよ!」
ルイズが声を荒げる。
シエスタも心配そうに急いで近づいてくる。
「レッドさん!? レッドさん!」
「レッドあんたまさか精神力が……」
ルイズとシエスタ2人の声を聞いてレッドは消え入りそうなか細い声で言った。
「……お腹すいた」
そう。レッドは朝から何も食べていなかったのだ。
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「見ましたか?」
「……うむ。しかし、なるほど。これは……」
トリステイン魔法学院、学院長室では、オスマンとコルベールが先ほどの決闘について話していた。
2人は遠見の鏡を使って先ほどの決闘を全部見ていたのだ。
「しかし、火龍とは」
「彼は完璧に火龍を操っていましたね。一瞬暴走したかとも思ってひやりとしましたが、見事止めて見せた。やはり彼はヴィンダールヴに間違いありません!」
コルベールは興奮していた。召喚の儀のときレッドの右手のルーンに見覚えがあり、古い書物を漁って1人調べていたのだ。
そして見つけたのが伝説の使い魔。
神の右手ヴィンダールヴだったのだ。
「至急、政府に連絡を!」
「ならぬ」
興奮するコルベールをオスマンが制した。そして言葉を続ける。
「わしはな、若者は好きに生きるべきだと思っとる。戦うもよし寝るもよし女の子とチョメチョメするのもよし」
「最後のは教育者としてどうかと……」
「だが、それらは全て自由でなければならぬ。人に強制されては駄目なのだ」
「そうですね」
つまり、オスマンはレッドが戦争の道具とされるのを嫌ったのだ。
「もう少し様子を見よう」
「……わかりました」
「それと……その伝説の使い魔の主人はどんな子なのかね?」
オスマンがコルベールに尋ねた。
「ヴァリエール家の三女です。座学は非常に優秀ですが、実技は……」
「なるほどのう」
(そんな子が伝説の使い魔を召喚するとは。全くわからんもんじゃわい)
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一方その頃、学院の厨房ではレッドが並べられた飯を口いっぱいにかっこんでいた。
「……よく食べるわね。アンタ」
ルイズが呆れたように言う。
「騎士様ですから。やはり英雄は健啖家なのですね」
「何よ。その騎士様とか英雄って」
ルイズがシエスタに尋ねると、シエスタは顔を赤らめて興奮して言った。
「レッドさんは私の騎士様なんです!
私のために貴族と戦ってくださり、そして私のことをす、す、す、すきゃだちょお…」
「はぁ? ……何言ってんのか聞き取れないわ」
その時レッドの手がぴたりと止まった。
「ど、どうしたのよ。もうお腹いっぱい?」
「……美味しい」
「おう! ありがとうな。我らが英雄」
コック長であるマルトーが嬉しそうにいう。
「……から、みんなにも上げていい?」
「みんなって誰よ……まさかさっきの火龍?」
ルイズの疑問にレッドはこくりと頷く。
「みんなってことはあんなのが何匹もいるってこと!? というか、あんなのがいるならなんでさっさと言わないのよ!」
レッドの胸ぐらを掴んでルイズが揺する。
「……き、聞かれなかったから。ぐ、ぐるじい」
「レ、レッドさん! ちょっとミス・ヴァリエールやめて下さい!」
一悶着あった後、ルイズとレッドとシエスタの三人は外へと移動した。
流石にあの厨房では狭すぎるからだ。
ちなみに、マルトーには食材の準備をしてもらっている。
ルイズは火龍の食費がどれくらいかかるか知らず心配したが、他にも竜を使い魔とするメイジの竜と同じ食事でよければ、食費は学院が持ってくれるとのことだった。
「……出てこい」
レッドがそう言ってモンスターボールを空に向かって投げる。
そして現れたのは、レッドの世界の言葉で言うのなら、
ピカチュウ
リザードン
カメックス
フシギバナ
ラプラス
エーフィ
の6体。
その光景を見てルイズとシエスタは呆然とする。
「……すごい」
「何よこれ。どうなってるの……? 幻獣が突然現れるなんて、しかも6匹それにどれも見たことないわ」
2人がわかったことは1つだけ。この幻獣たちがとてつもなく強く恐ろしい力を秘めているということ。
そして、これは2人とも気付いていないかもしれないが、先日召喚の儀で召喚した使い魔のどれよりも強い。
「……レッド。アンタメイジだったの? それとも幻獣使い?」
「……ポケモントレーナー」
「またそれ?」
「で、この子たちの名前は?」
ルイズの質問に1匹1匹レッドは説明していく。
「これで全部なわけ?」
「……もう2匹いるけど、カビゴンは連れてきてない。……カビゴンの食費賄えない。……もう1人の子は駄目」
「駄目? 何よそれ。出してあげれば?」
「……できない。起こすと怒る」
「キャー、レッドさん私こわーい」
レッドがルイズとばかり喋っているのが気にくわかったなのか、シエスタがわざとらしくレッドに抱きつこうとする。
しかし、何者かに邪魔された。
その正体はレッドのピカチュウだった。
ピカチュウの目を見てシエスタは察する。
「レッドさん! この子雌ですか!?」
「……ピカチュウの尻尾がハートなのは女の子の証」
「なるほど、ライバルですね……!」
電気ネズミとメイド2人はばちばちと火花を散らしていた。
そんな中マルトーがやってきた。
「おまちーどーさ……ん?」
マルトーは驚いた後、困ったような顔になった。
「これじゃ、足りねーな。……食材大丈夫かな……」
ありがとうございました。