私立グリモワール魔法学園。
そこは、人類の仇敵、霧の魔物を殲滅するため、魔法使いと呼ばれる存在を育成する機関......なのだが!
ここではそんなシリアスなことはどうでもいい!
ここはグリモア天文部!
原作の天文部に、オリジナルキャラ、黒崎戒斗を加えた6人の、騒がしくも平和な緩い日常をご覧あれ!

元ネタはグリモアの中でも特に、ミヤコヒトさんが連載する『てんもんぶらり!』を使わせて頂いております!


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どうも、御堂明久です!
僕はグリモアユーザーでして、キャラとしては風子たん推しですが、天文部の緩やかな雰囲気が好きでして......。
書いちゃいました!
彼女たち天文部に男子生徒を一人(ゲーム内の『転校生』とは別人です!)加えたらどんな日常を送っていたのか?

ご覧下さい。どうぞー!



天文部+αとババ抜き

私立グリモワール魔法学園。

そこは、日本にある、いわゆる魔法使い養成機関である。ここでは詳しい話は省くが、日々、この学園の生徒にあたる“魔法使い”と呼ばれる少年少女(おっさんやおばさんもごく稀にいるが、字面も絵面もキツいので割愛)たちが、この世界に蔓延る“霧の魔物”と呼ばれるモノたちと戦いを繰り広げている。

これは、そんな学園にある部活の一つ。

『天文部』の和やかな日常を描いた物語である。

 

 

* * *

 

 

俺、黒崎(くろさき)戒斗(かいと)はある教室の前でげんなりとした表情を顔に貼り付けながら突っ立っていた。

 

「ええいまだか!まだブラックスリーパーは来ないのか!おーそーいー!」

「落ち着けミナ。戒斗が遅いのはいつものことじゃ。おおかた、またどっかで寝てしまっとるのじゃろ」

「にしても今日はまた一段と遅いっすねー、先輩」

「ひいっ⁉︎まさか私のことが煩わしくなって顔を見るのも嫌だから......!?はうぅぅ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜!」

「............」

「......卯衣(うい)、起きとるか?」

「起きてるわ」

「そ、そうか......」

 

五月蝿い。

めっちゃ五月蝿い。廊下まで声が聞こえてきている。いい加減この部活は落ち着きという言葉を学んだ方が良いと思うのだが、そうもいかないのがこの部活–––––天文部が天文部たる所以である。

俺は重い身体を引きずるようにして引き戸を開く。

 

「うーっす......」

「ブラックスリーパー!遅いぞ!」

「あー......悪い。屋上で寝てたら風紀委員に見つかっちまってな......」

 

その際に立ち入り禁止の図書館棟の屋上で寝ていた為、めっちゃ怒られた。氷川(ひかわ)め......。

俺はこの部活の部長である風槍(かぜやり)ミナに軽く謝罪する。それでも尚風槍は納得いかないのか、頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。

 

「む......なぁ南条(なんじょう)、お前からも何とか言ってやってくれよ」

「いや、わっちもふぉろーの一つでも入れてやろうと思っておったのじゃが、校則違反を犯していたのなると......のぅ?」

 

真面目かコイツは......。いや、まぁ俺が悪いんですけどね?眠かったんだもん、仕方ないよね!

まぁいい。俺はいつもの指定席に腰を下ろした。

 

–––ここは、私立グリモワール魔法学園天文部部室。

この学園の中でもとりわけクセのある奴等が集う部活である。......俺は一般人ですよ?うん、絶対。

そもそも面子からして濃い奴等ばかりだ。

 

「まったく!我等円卓の騎士の集会に遅れるなど、本来ならば極刑ものだぞ、ブラックスリーパー!」

 

このThe 中二病みたいな言動をしている眼帯っ娘が天文部部長、風槍ミナ。今でこそ部員全員が慣れたものの、入部当時は何言ってるのか半分くらい分からず、ちょっとイラッとしたものである。

 

「まぁ、いつものことじゃから今更怒り直すこともないがのう」

 

このババアみたいな.......もとい、古風な話し方をするなんちゃってロリは、この部活の副部長兼風槍の親友、南条(れん)。この部活の中で唯一まともな感性を持つ生徒であり、天文部のストッパー、というより風槍の暴走を止める役を担っている。

 

「そうっすねー。ひどい時は部活のことも忘れて帰りかけてた時もありましたもんねー」

 

この人の過去の汚点をほじくり返してくる赤マフラーは服部(はっとり)(あずさ)。その正体は人類の中でも指折りの戦闘力を誇る“忍者”である。......が、それを匂わさない自由奔放な性格と根っからのパシリ気質を持つ、どこか掴めない女である。

 

「はぅっ!ご、ごめんなさいごめんなさい!私なんか黒崎さんを見る権利もありませんよね、不躾な視線を送ってしまいごめんなさい〜!」

「いや......」

 

俺と目が合った瞬間に謝り倒し始めたこの少女は双美(ふたみ)(こころ)。謝罪という概念を体現したような奴であり、コイツが誰かに謝ってない日を俺は知らない。時々、まるで別人のように冷静になる時もあるが、基本謝罪の王様、もとい女王状態である。

 

「...................」

 

部活中だというのに爆睡している(ブーメラン)、どこか儚い雰囲気を纏う人形のように整った顔立ちのこの少女は立華(たちばな)卯衣(うい)。とにかくよく寝るので、俺とは意外と気が合ったりする。よしんば起きても基本無口無表情である。

 

以上のメンバーに俺を加えたのが天文部部員である。一癖も二癖もあるこのメンバーの中で、今日も日常は動いていく。

 

 

* * *

 

 

「よし、では今日は悪魔残し(ノット チョイス デビル)を行うぞ、ブラックスリーパー!」

「ババ抜きな」

 

入部当時と比較すると、大分風槍の妄言も解読出来るようになってきた。

風槍がトランプを切ろうとするも下手にも程があったので俺が受け取り、手際良くシャッフルしていく。あ、カード落ちた。

......ちなみに、風槍は親友の南条以外の生徒は奇天烈なあだ名で呼ぶ傾向にある。もちろんそれは部員でも例外ではなく、俺はブラックスリーパー(俺がいつも寝ているのと、そこそこ珍しい闇属性の魔法を使うのに由来しているのだろう)、双美はマインドシーカー、立華はアートフィシェルハート(またはフォーリンエンジェル)、服部はニンジャだ。服部だけ手抜き感が否めないが、実際に忍者だから仕方ないね!

 

「カード切れたぞ。......俺と風槍の二人でやるの?」

「違うぞ?もちろん円卓の騎士全員だ!」

 

円卓の騎士=天文部部員。

この部活は、天文部らしくはないものの、部員たちの結束は固く、仲も良い。マジで天文部らしくはないけどね。ほら見て!南条ったら風景画描いてる!ここ天文部だけどね!美術部じゃないんだよ!

 

「お?ババ抜きっすか?やりましょうやりましょう!丁度暇してたんすよー」

「部活中に暇するって何なの......」

 

服部が言うが、コイツ一応風紀委員も兼任してんだけどな......そんな気がまったく感じられないんだが。コイツは風紀を正すどころか乱しまくる側だと思う。......まぁ、そうは言ってもいざという時は働くんだからタチが悪い。いや、別に悪くはないけどさ。

 

「お?どうしたんすか先輩、自分をジッと見つめて......自分に惚れちゃいましたか?」

「......いや、お前の後ろの本棚に見惚れてた」

 

俺が適当言うと、服部は「恥ずかしがり屋さんなんすからー」とニヤニヤ笑いながら俺が服部に放ったカードを拾い始める。この野郎、あんまからかってるとお前の手札にジョーカー仕込んじゃうぞ。

俺はカードを各部員の人数分に振り分けつつ、立華と南条がいる方へ視線を向けた。

 

「南条、立華起きたか?」

「お、起きん......今日は眠りが深いようじゃな......」

「............起きてるわ......」

「寝てんな。起こすか?」

「いや、寝かせてやろうかの。今日、卯衣はクエストだったのでな」

 

俺たちグリモア(学園の略称である)の生徒たちも、魔法といった超常の力を持っていると言っても所詮は学生。この世に蔓延る魔物たちを倒すのも、学校の執行部という機関を通し、『この魔物なら生徒たちでも安全に倒せるよね!』と判断された魔物を“クエスト”として討伐する。

 

「なのに部活来てんのか。律儀だな」

 

そして紛いなりにも命を懸けた褒美だろうか、クエストを受けたその日は授業や部活動が免除される。なので、立華も天文部に来る必要は無かったのだが......。

 

「よっぽどここの居心地がいいんかのう」

 

そう言って南条が微笑む。しかし......。

 

「もしかしてココを部活として認識してないのかもなー。ここメッチャ緩いし」

「うっ......否定出来ん......」

「わ、私なんかがいるからですよね!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜!」

「ええい、五月蝿いぞ双美!ほら、さっさとトランプ取れ」

「ご、ごめんなさいっ!すぐ取りますね!私ごときが黒崎さんの時間を浪費させるわけにはいきませんからぁ〜!」

「お、おぅ......」

 

凄絶なまでの双美の謝罪に若干引き気味になる。コイツはもう土下座のスピードが、某ハンター協会の会長の拳の速度を超えてる気がする。

 

「遅いぞブラックスリーパー!怠惰の魔女にでも呪われたか⁉︎」

「お前も手伝ってくれればもう少し早く終わったんだろうけどな。ほら、終わったぞ」

 

風槍が急かしてくるので、俺は手早くカードを配り終え、自身の手札を揃える。......と、同時に。

 

「......何の時間?」

「ん、立華。起きたのか」

「ええ。......何をしているの?」

「何、ババ抜きしようってウチの部長が駄々こねてな。今からやろうとしてたとこなんだが」

「だ、駄々などこねておらぬわ!適当ゆーな!」

 

深き眠りから目覚めた立華に説明する俺。先程は立華が気持ち良さそうに寝ていたものだったので躊躇してしまったが、今なら誘っても良いだろう。

 

「立華もやるか?ババ抜き」

「......やるわ」

「そっか。よし、じゃあもう一回配り直しだな。おら、風槍手札寄越せ」

「な、何ィ⁉︎折角我の手元に悪魔が降臨せず、手札も僅か4枚だったというのに......!!」

 

うだうだ五月蝿い風槍や、他の部員から手札を回収し、再度切り始める。途中服部が「忍法っスよー!」とか言ってジョーカーを特定の人物の手札に仕込むイカサマを働こうとしたが、南条が看破した。ちなみに、その特定の人物とは俺だった。許さんぞ服部......。

しばらくして、手札を配り終える。

 

「......手札少ねぇ。六人ともなるとこんなもんか」

「そうじゃのう。それから更に被ったかーどは捨てるのじゃから、相当少なくなるぞ」

 

俺含め、全員の手札の平均は大体6枚といったところか。まぁ、俺は4枚だし、双美に至っては2枚だが......一人、平均を下げている部員が。

 

「ば、馬鹿な......我だけ9枚......だと?」

「カードはジョーカーを入れて53枚。それを6人で割って一人当たり8〜9枚っスから......あちゃー、ぶちょーったら一枚も捨てれなかったんスねー」

「ごめんなさいごめんなさい!私ごときが2枚しか負担しないなんて申し訳無いですごめんなさい〜!」

 

そう、我等が部長、風槍ミナである。流石、ここぞというときに運が無い。俺は反射的に上がりそうになった口角を抑えるのに必死だった。

 

「ううう〜!おいブラックスリーパー!ちゃんと切ったのか⁉︎我だけこんなに手札があるのはおかしいだろう!」

「ああ、可笑しいな。メッチャ可笑しい」

「戒斗、お主『おかしい』のにゅあんすが違くないかの?顔から嘲りの色が滲み出ておるぞ......」

 

流石南条だ。鋭い。

 

「まーまー。それより早く始めましょうよ、ぶちょーだって負けると決まった訳じゃ無いんスから」

「くっ、そ、そうだな!この逆境から勝利を我が()()()()に......手中に納めてこそ円卓の騎士の長たる我の力が示されるというものだ!」

 

盛大に噛んだ風槍と、間違いなくソレに気づいていながらも指摘しない部員たち。優しい世界だ。

そして、ババ抜きが幕を開ける。引く順番は、俺→風槍→立華→南条→双美→服部の順。

つまり俺は風槍の、風槍は立華のカードを引くわけだ。風槍なら頭脳戦を仕掛けられても圧勝出来そうなので正直不安は無い。

 

「さて、引こうか」

「うむ、どこからでも来るが良いブラッ「そら」

 

風槍の台詞を途中で遮るようにヒョイっと風槍が持っている9枚の手札から一枚を抜き出す。そして、カードを裏返し、その数字を確認する。それは......。

 

–––––JOKER(悪魔)

 

「ぷっ......くくっ......」

 

必死で笑いを堪えようと肩を揺らす風槍。それを見てか、他の部員も俺の手にジョーカーが渡ったことを悟ったようである。

こ、コイツ......いつの間にあんな演技力を......。

もう手遅れだと知りつつも、努めて自然な動作で手札にジョーカーを加える。クソ......。

 

「ふははは!さて我のターンだ!さぁ我が手中に降臨せよ同じ数字(ドッペルゲンガー)!やぁっ!.............はい、次はアートフィシェルハートの番」

「ブハッ‼︎」

 

どうやら風槍はペアを引き当てることが出来なかったらしい。8枚の内どれにもヒットしないとは、コイツはどれだけ引きが悪いのか。

 

「え、ええい笑うなブラックスリーパー!」

「フハハハ!すまんな風槍‼︎別に笑うつもりは無かったんだプー!」

「ううう〜っ!」

「子供かお主らは......」

「......ペアだわ」

 

そうしてババ抜きは進行していき、しばらくすると元々手札が少なかった双美、そして服部と南条が上がった。

 

「フフフ......我が手札は残り2枚......お前の手札も中々豊富ではないかブラックスリーパー......!」

「ハッ、俺を舐めるなよ風槍。たかだか一枚少ないだけで偉そうに......!」

「......残り2枚」

 

残ったのは俺、風槍、立華の3人。

それぞれ手札は、3枚、2枚、2枚である。俺はスペードのAとクラブの7、同じくクラブのQを所持しているので、片方が数字を2枚、片方が数字を一枚、そしてジョーカーを所持していることになる。

 

「さて、引かせて貰うぞ風槍」

「フハハ、さぁ来「ほい」デジャヴ⁉︎」

 

風槍から引き抜いたカードはハートの1。ペア成立だ。俺はニヤつきながら手持ちのAと共に風槍から引き抜いたカードを捨てる。

 

「......あと2枚」

「フン、我はあと一枚だがな!コレで当てれば我の上がり!!それっ!......ん?どうしたアートフィシェルハート。おい、この手を離すのだ!はなっ、離せ......ええい、離さんか!」

「................」

 

今風槍が持っているのは7かQのどちらか、そして立華はソレとジョーカーだろう。つまり風槍がどちらを引いても上がることは無いのだが、頑としてカードを離さない立華。無表情で感情を見せない立華だが......意外と負けず嫌いなのか?

 

「くっ......たああっ!はぁ、はぁ、ハズレか......」

「......残り1枚」

 

その1枚はジョーカーだけどね。

俺は苦笑しながら手札を差し出し、それを立華が引く。引かれたカードはQ。しかし当然ペアは揃わず、ちょっと悔しそうな表情を浮かべた......気がした。

 

「さあああああ、残り1枚だ‼︎行くぞ風槍ああああああああ‼︎」

「フハハハ‼︎かかって来いブラックス「そいやっさあああああああ‼︎」最後まで言わせろぉ!」

「だから五月蝿いわお主ら!」

「ここまでババ抜きに熱中出来る人たちも中々いませんよね.....あはは......」

「ぶちょーも先輩も子供みたいな人っスからねー」

 

外野が五月蝿い。

俺は風槍から引き抜いたカードを確認する。

数字は......7‼︎

 

「上がりだああああああああ‼︎」

「ば、馬鹿なああああああああ‼︎」

 

ペアが成立し、俺の手札はゼロとなる。

ククク、俺の勝利だ......!!

 

「くっ、だが我がここでアートフィシェルハートから女王の札を引き抜けば最下位は逃れられる!さあ行くぞアートフィシェルハート!」

「......っ」

「とりゃっ!......んっ⁉︎」

 

風槍が烈迫の気合と共に立華が所持する2枚のカードの内1枚を引き抜こうとする。しかし、先程と同じく立華はカードを強く握り締め、風槍にカードを引かれるのに抵抗を始めた。

............悪手!

アレではあのカードがQであると薄情しているのと同じ!これで風槍があのカードを引いたその時、立華は負ける!ソレに気づいた風槍は、ニヤリと嗤い、言った。

 

「クク、貰ったぞ、アートフィシェルハート!」

 

そして風槍は立華からカードを奪い取り......。

 

「...............ふぇっ?」

 

素っ頓狂な声を上げた。

風槍が引き抜いた際にカードごと腕を上げたものだから、後ろに立っていた俺には風槍の持っていたカードが見えた。それは。

 

「ジョーカー、だと......!?」

「成る程!立華先輩はぶちょーを欺くため、ワザとジョーカーが引かれる際にカードを握り締めたんスね!策士ッス!」

「先程ジョーカー以外のカードを引かれる際に抵抗したのもこの為の布石じゃったのか⁉︎」

「た、立華さん凄いです......!!」

 

いや、多分ソレは素だろうけど。

そして、悔しげにジョーカーを手札に加え、立華を見る風槍から立華はあくまで静かな動作でカードを引き抜き......。

 

「......Q。私の勝ち」

「くっ......」

『おおおおおおおおおおおお‼︎』

立華の鮮やかな勝利に、天文部一同が湧く!

天文部一同が........‼︎

天、文......部?

 

あ、ここって天文部なんだったっけ......。

 

天文部でありながら星を全く観察しない我等私立グリモワール魔法学園天文部。

俺たちの日常は、毎日騒がしく過ぎていく。

 

 

 




いかがでしたか?
いやぁ、天文部は皆キャラが濃くて再現が難しいです(笑)
でも書いていて楽しいので、これからも連載させて頂きたく存じます。
これからもよろしくお願いします!

ありがとうございました!感想待ってます!

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