焔光の夜伯と剣巫の英雄譚   作:カラムイラス

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 長くなりそうなので今回は短めに。


十二話

「遂に来たか」

 破軍学園を上空から見下ろしていた那月は苦い顔をしていた。

「いつか来るとは思っていたが・・・・」

 彼女は焦る様子もなく眼下を眺めていた。

「彼奴ら。今日を狙っていたのか。それだと納得がいく」

 ため息を吐き、懐から携帯端末を出した那月はあるところに連絡を入れた。

「私だ。遂にお出でなさったぞ」

 端末の向こうでは驚愕の声が上がっている。しかし彼女はそれを気にせずに言葉を続けた。

「足止めは私がしておく。お前達も学園が無くなってほしく無ければ早く来るんだな」

 連絡を切った彼女は懐にそれを入れ、再び眼下を見下ろした。

「全く。こういう馬鹿な事をする奴らばかりいるな」

 嫌そうな声を出した彼女はすぐにそこから姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 合宿が終わり、破軍学園から参加していた生徒は車で破軍学園に向かっていた。参加している生徒が多いため車も二台用意されていた。一台目には出場選手と生徒会役員が。二台目にはその他の理由で来た生徒が乗っていた。古城もその他の理由で参加していたため二台目に乗っていた。

「先輩。起きてください。暁先輩!」

 同じく二台目に乗っていた雪菜の焦ったような声で古城は目を覚ました。

「ん? どうしたんだ、姫柊」

「大変です! 先輩」

 欠伸混じりに返した古城に雪菜は焦燥を宿した声で伝えた。

 

 

 

「破軍学園が襲われています!」

 

 

 

 雪菜の言葉で古城は完全に目を覚まし、顔つきを変えた。

「それは本当か、姫柊?」

「はい。先ほど南宮先生から連絡がありました!」

「連絡があったのはどのくらい前だ?」

 古城にも焦りが移ったのか雪菜の方を掴み、説いた。

「およそ十分前です」

「な! そんな前に連絡が入ったのか。くそ!」

 古城は悔しそうに膝を叩いた。

「私もすぐに起こそうとしたのですが、先輩の疲労が思いの外あったようなのでなかなか起こしきれませんでした。すいません」

 俯きながら話す彼女の声は段々弱々しいものになっていった。古城をすぐに起こせなかった事を深く反省している様子だった。

「お前が謝る事じゃ無い。俺が寝なければ良かっただけの話だ」

 彼女を慰めるようにやさしい声をかける。

「それに今からでも急いで行けばいいだけだ」

「! はい!」

 その言葉を聞いて雪菜は立ち直り古城に顔を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古城達が那月から連絡を受けてしばらくのこと。一台目に乗っていた一輝たちはボロボロになった破軍学園に着いた。

「これは酷い」

 目の前の惨状を目にして彼らは呆気にとられた。

「! 一輝、あれ!」

 ステラが指を指したところには一輝達の担任の折木有里とあることがきっかけで知り合った綾辻綾瀬が倒れていた。

「大丈夫ですか」

 一輝達は彼女らに急いで近づき声をかけた。しかし返事は無く、意識を奪われていたようだった。

「なんだお前ら。遅いご帰還だな」

 背後から声が聞こえ、一輝は慌てて振り返った。

「み、南宮先生!」

 そこにはフリフリのドレスを着た那月がいた。

「何があったんですか?」

「これを見てもわからんのか? 襲われたんだよ」

 一輝の問いかけに少し馬鹿にしたように答える那月。それを見たステラは彼女に突っかかった。

「それは見てわかるわよ! 誰に襲われたの?」

 ステラの言葉に彼女は不機嫌そうに「ふん」と鼻で言いながらある方向に向くように促した。

「あれが今回の襲撃事件の主謀者達だ」

 那月がそういうと一輝達はようやくその方向を見た。

「な!」

 そこで彼らが見たのは鎖につながれた六人の姿であった。

「くっ、この程度で呪われた我を縛る事などできんよ」

「お嬢様。どうやらこれは動けば動くほど絞まる仕組みのようです」

 ドレスをした眼帯の少女は大口を叩きながら必死に解こうとしており、その近くに居た従者は那月の鎖の特性を彼女に教えていた。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 残りの四人は唯それを静観していた。

「彼らがこれをやったんですか!」

「ああ、そうだな。主にこいつらが学園を破壊した」

 那月の言葉を聞いて一輝は再び彼らをみた。

「!」

 するとそこには知っている顔があった。

「お兄様、あれは」

「ああ。間違いない」

 妹の珠雫の動揺の声が聞こえた。

「ん? なんだ。知っている顔がいるの・・・・・くっ!」

 言葉の途中で那月が突然倒れた。

「南宮先生!」

 一輝は彼女に駆け寄った。彼女の背中には剣が刺さっており、それが体を突抜けていた。

「いやあ、やっと隙を見せてくれたね。君が居るという情報は無かったんだけどね」

 剣を突き刺した本人。紫乃宮天音が愉快そうに口を開く。

「そうか。・・・き・・さまも。い・・・たな」

 苦しげに話す那月に天音も笑ってみせる。

「君が戦闘不能になればあの鎖は消える。そうだろう」

 彼の言葉で一輝は先ほどまで縛られていた六人を見る。彼の言葉道理彼らを縛る鎖は消え、自由になっていた。

「さあ、さあ。やっと君たちにご紹介できるね」

 ピエロの男が仰々しく両手を広げていた。

「〈空隙の魔女〉。あなたの居ることは誤算だったがこれで計画は進められる」

「ふん! だから言ったであろう。我を縛る事などできん」

「お嬢様。これで涙をふいてください」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「あはははは」

 それぞれが自由な行動をし始めた彼らに一輝が問うた。

「貴方たちが破軍学園を襲ったんですか!」

 一輝の問いにピエロの男が笑いながら答えた。

「そう僕たちがやりました」

 

 

 

「僕たち暁学園がね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、見えました!」

 雪菜の声で顔を上げた古城は絶句した。

「なっ! どうなってんだよ。これは!」

「どうやら遅かったみたいですね」

 雪菜は唇を噛みしめて悔しそうにする。

「とにかく行こう。まだ襲撃した奴らが居るかもしれない」

「はい!」

 二人は車から飛び出し、学園に向かって走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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