「月輪割り断つ天龍の大爪」
「疾く在れ、
王馬はいきなり、古城に向い伐刀絶技を繰り出す。しかしそれを彼は自分の眷獣である
「雪霞狼!」
「くっ!」
しかしそれはそれを感知した雪菜の妨害によって不発に終わる。王馬は一度下がり出した。それと交換するように多々良幽衣が前に出た。彼女の固有霊装はチェーンソー。それを振りかぶり雪菜に襲いかかる。
「疾く在れ、
しかしそれは古城が新たに召喚した眷獣の能力で雪菜の周りにダイヤの壁を作られたことで攻撃が阻まれた。幽衣は舌打ちをすると、いつの間にか目の前にいた雪菜に腹部に手を当てられてた。
「若雷!」
その衝撃によって彼女は後方に飛ばされた。
「行け! スフィンクス!
次に攻撃を仕掛けたのは凛奈だった。彼女は乗っているスフィンクスに命令を出し、伐刀絶技を繰り出させた。それは古城達の近くに直撃したのか土煙で彼らの姿が見えない。その事実に凛奈はご満悦といった表情であった。
「如何に最強の吸血鬼であるとはいえ、我のスフィンクスの前には適わなかったなぁ!」
しばらく彼女の高笑いが続いた。暁の面々はつまらなそうに土煙の方を伺っている。しばらくするとそれは晴れていった。そこで凛奈の表情は驚愕に染まった。
「な、何故今の一撃で死んでおらぬのじゃあ!」
土煙が漂っていた場所で彼らは五体無事の姿で立っていた。彼らの前には雪菜の雪霞狼の穂先が地面の刺さっている。
「あまり油断をするなよ。あの女は多分異能が効かない」
「それはどういうことですかなぁ?」
王馬の言葉に玲泉は怪訝な様子で聞いてきた。
「昔聞いたことがある。獅子王機関は対魔人戦闘の為に巫女を育てていると」
「対魔人? それは本当か」
驚愕の声を上げる凛奈は徐ろに雪菜に目を移す。
「その中でも希有な能力を宿す者が現れるという。それこそ破魔の力。すべての魔を無効化する力。獅子王機関では確かこういう力に目覚めた者の事をこういうらしいな。破魔なる剣を持つ巫女。お前はそれだったのか高神の巫女。いいや、剣巫」
王馬の言葉で皆が驚愕に顔を染めていく。
「そういうことでしたか」
「道理で俺の反射が効かねえ訳だぜ。けっ!」
「・・・・・・」
それぞれ反応を示すと雪菜は徐ろに雪霞狼を引き抜く。
「そんなことは今は関係無いです。私が今やるべき事は貴方達を破軍学園から追い出すことだけです」
「そういうことで無駄話は終わりだ。疾く在れ、五番目の眷獣。
古城は雪菜の前に足を進め右手を掲げた。するとそこから大量の血があふれ出し、雷の獅子の形に成形されていく。獅子の黄金はでるや否や、暁学園の面々に雷を落としてく。各々がそれを回避していくと雪菜は槍を構えて走り出した。
「貴女が破魔の能力を持っていようとそれが分かってしまえばこっちの物だ」
冷泉は雪菜に向い、自身の固有霊装である糸を放った。しかしそれは雪霞狼によって阻まれる結果になった。
「甘く見てもらっれは困りますよ」
彼はそんなことを言うと展開した糸で瓦礫を吸い寄せ、彼女に放つ。しかし、未来視のある彼女にはそれが効かずにあっさりと躱されてしまう。
「少し寝ていてください」
いつの間にか冷泉の懐に忍び込んでいた雪菜は助走を付けて彼の体に両手の掌底を食らわす。
「響よ」
その声と共に彼は学校の敷地外にまで吹き飛ばされた。
「油断すんじゃねーよ、クソが!」
背後から幽衣が自慢の固有霊装で彼女に切りつける。しかしそれは古城が出していた神羊の金剛のダイヤによって阻まれてしまう。舌打ちを鳴らす幽衣は懲りずに雪菜を切りつけようとする。それでも
「火雷!」
今後は雪菜の放った炎を思わせる壁の衝撃を受けて後方に飛ばされた。
「今度は我ぞ。
「させるか。
凛奈の一撃は古城が獅子の黄金を出したことで封殺された。獅子の黄金を間近でみた彼女は一瞬怯む。雪菜はその隙を見逃さず、賺さずスフィンクスを駆け上がる。
「させません」
彼女に攻撃をしようとする雪菜に凛奈の侍女であるシャルロットが襲いかかる。さすがの雪菜もそれには対処が出来なかったのかスフィンクスから落ちてしまう。
「姫柊!」
古城は落ちていく雪菜を目にして咄嗟に彼女に手を向ける。すると彼女の落下スピードが緩やかになっていく。彼女はそれを利用して体勢を立て直す。
「大丈夫です。それよりも」
「ああ、そうだな。疾く在れ、十番目の眷獣。
新たに召喚したのは全身を銀水晶の鱗に覆われた、水晶柱の山羊の様な角を持った魚竜。麿羯の瞳晶はスフィンクスに向かい合った。
「スフィンクス、やってしまえ」
凛奈は命令を下す。しかしスフィンクスは言うことを効かなかった。
「どういうことだ? 動け、スフィンクス。動け!」
「無駄だぜ」
焦って混乱している凛奈に古城は声をかける。すると彼女は怒った様子で声を荒げる。
「貴様! 我がスフィンクスに何をした!」
「麿羯の瞳晶の能力は魅了。今、あんたのスフィンクスは俺の言うことしか聞かない」
「そ、そんなぁ」
失意に落ち込む凛奈はへたり込む。それを見て古城はスフィンクスに命令する。
「おい、スフィンクス。今すぐあんたの飼い主連れてここから立ち去れ」
スフィンクスはすぐに古城の言う事を聞き、彼女らを背中に乗せたまま学園の敷地外に出て行った。
「あと何人だ?」
「先輩、伏せて!」
雪菜の叫び声にあわててしたがった古城。すると先程まで自分の上半身があった場シィに王馬の刀が通り過ぎた。古城は慌てて屈んだ状態で雪菜に近づいた。
「二人がやられたか。どうやらお前ら相手では我々も分が悪い様だな。今日は引いてやる」
王馬は一人ごとの様に呟く。その言葉を聴いていたのか彼の後ろに今回参加していなかったサラと紫音。そして雪菜に吹っ飛ばされた幽衣が並んだ。
「ならさっさと出て行け」
「言われずともそうする」
彼らは古城の言葉に従い、校門の方に歩いて行く。その様子を二人は油断せずに伺っている。しかし何も仕掛けてこず、彼らはカナタに消えていった。
「終わったんだな。にしてもこれ。どうすんだよ」
ため息を吐きながら周りを見渡す古城。そこには瓦礫の山が沢山あった。
「そうですね。とりあいず、まだ、怪我して動けない人がいるか探しましょう」
「そうするとか。うおぉ!」
古城は建ち上がるや否や強風に襲われた。
「ったく、強い風だな。姫ら・・・」
おもむろに雪菜の方を向くと風でスカートがめくり上がり、ピンクのチェックの下着が目に映った。彼女は急いでスカートを下げ、顔を真っ赤ににしながら古城を睨んだ。
「何を見ているんですか」
「いや、今のは事故だろ」
理不尽に怒られている古城は言い訳がましい事を口にする。それでも雪菜の怒りは収まらなかったのか、彼女はそっぽを向いて歩いて行ってしまった。
「いやらしい」
数歩進んだ後彼女はそれだけ古城に言うと、また歩いて行ってしまった。
「はあ、勘弁してくれぇ」
ため息をして、見上れば憎らしげな太陽がいつものように暑苦しく輝いていた。
続きます。