模擬戦のあった日から三日目。入学式の朝、雪菜は朝早くに目覚め寝台から身を起こした。
「ふあー」
あくびと共に身を伸ばした雪菜は上で古城が寝てるのを確認してシャワーを浴びるため着替えを持って備え付けの浴場に入っていった。
「いよいよ、今日からですね」
そういうと雪菜は冷水を浴びた。本来朝に弱い彼女は毎朝冷水で眠気を覚ましているのだ。この間彼女が寝坊したのは本当に偶然の出来事であり、彼女が滅多にやらないことなのである。
数分間冷水を浴びた彼女は脱衣所に出て髪を乾かし、制服を身にまとった。
「よし」
その言葉と共に雪菜はそこを後にして古城を起こしに向かった。古城の寝台は二段寝台の上にあり雪菜は梯子を上った。
「先輩。先輩起きてください」
体を揺さぶりながら雪菜は古城を起こした。しかし当の古城は少し唸った。
「うーん。あと五分」
「調子に乗らないでください」
そういって雪菜は古城の頬をつねった。それには古城は目を覚ました。
「痛いじゃねーか」
「ふふっ、そうですね。でもこれで先輩は起きてくれました」
古城は頬を擦りながら雪菜に訴えたが雪菜は少し微笑んで梯子を下りた。
「さあ、起きて下さい。朝食はこちらで用意しますから」
そういって雪菜はキッチンに向かった。
「はあ、勘弁してくれ」
古城は呟いた後ゆっくりと梯子を下り、洗面台のある方向へむかった。
数分後古城が顔を洗い、着替えも済ませて戻ってくると雪菜はキッチンに立っていた。
「何を作ってくれるんだ」
古城が問いかけると雪菜が振り返った。
「今は朝ですから簡単にスクランブルエッグとトーストですね。あと今コーヒーを淹れています」
そういうとコーヒーメーカーに目配せをした。古城はそれを見るとコーヒーメーカーに向かって行き、それをカップに注いだ。
「うん、うまいぞ」
古城は一口含ませて感想を言った。それを聞いて雪菜はほっとしたように息を吐き「よかった」と呟いた。
「それではこれもどうぞ」
雪菜はそういうとさらに持ったスクランブルエッグを出した。
「じゃあ、いただくか」
そういって二人は朝食を食べだした。
「それでは私はここで」
「おお、一輝が居たらよろしく言っといてくれ」
「はい。分かりました」
そういうと雪菜は自分がこれから過ごす教室に向かって歩き始めた。すると後ろから抱きしめられた。振り返るとそこには知っている顔があった。
「やっぱり、雪菜ちゃんだ。よかった。間違えていたらどうしようかと思っちゃた」
「あ、久しぶり凪沙ちゃん。いつからこっちに来ていたの?」
「うん、昨日こっちに着いたの。まったく牙城くんがうるさく言って困ったよ」
そういうと彼女、暁凪沙は雪菜にだけ聞こえる声で愚痴を言い始めた。雪菜はそれを聞いて苦笑いをするしかなかった。
「あっ、凪沙ちゃん。体はもう大丈夫なの?」
雪菜は話を反らすように話題を変えた。そうすると凪沙は笑顔を返してきた。
「うん大丈夫だよ。今は私とこの子の状態で安定しているし」
そういうと凪沙はおもむろに胸に手を当てた。雪菜はそれを聞いて「良かった」と答えた。
「それにね、この子すごいんだよ。昔のことを教えてくれるの。おかげで私歴史が好きになったんだ」
「そうなんだ。今度私も話したいな」
「いいよ。多分あっちもokしてくれると思うし」
凪沙はそういいつつ笑った。それに釣られて雪菜も笑った。
「あ、聞いたんだけど古城君と同じ部屋って本当? エッチなことされていない? 本当に大丈夫? なんだったら私が倒してあげてもいいよ‼」
凪沙に畳みかけられた雪菜は少し身を引いて「大丈夫」と答えた。
「それはよかった! あ、今日部屋に行っていい? 古城君にここに来ること言ってなかったしね。雪菜ちゃん言ってないよね」
「うん、言ってないよ」
凪沙の問いかけに雪菜は微笑んで答えた。
「よかった! 古城君の驚いた顔で口をパクパクさせるの雪菜ちゃんもみたいでしょ‼」
雪菜は「うん」と曖昧に答えたがそれを想像してしまい思わず笑った。
「ねえ、雪菜ちゃんは何組なの?
「えっと、私は一組だったと思います」
「やったあ、私も一組なの。これから一年またよろしくね‼」
「うん、こっちもよろしく」
雪菜はそういうと二人は教室に着いた。
「いやあ、本当に広いね。ここは」
学園の説明が終わって帰っていいと言われた雪菜は凪沙に誘われて学園の施設見学をしてきて教室に戻ろうとしていた所だった。
「それにしてもユリちゃんが血を出して倒れたのはびっくりしたね」
「うん。まさか本物の血を吐き出すとは思わなかったけど。同じクラスに黒鉄先輩がいてよかった」
二人が言っているのは破軍学園の教師であり、担任である折木有理のことである。彼女は学園の説明を終えると共に口から勢いよく吐血して倒れた。雪菜はすぐに近づいて、パーティー用の血糊ではなく本物の血であることを確認した。とりあいすそこは一輝が保健室まで運んで行った。
「あんな人もいるなんて、面白いところだね、ここって」
「うん、そうだ・・・・・ね?」
雪菜は苦笑い気味に答えたがその途中で前方が騒がしいことに気が付いた。
「雪菜ちゃん?」
「凪沙ちゃん。前を見て」
凪沙に促すとそこには人だかりができていた。雪菜はそこに駆けていく。凪沙も「待ってよ」といいつつもついてきた。
「これはいったいなんの騒ぎですか」
「来たか姫柊雪菜」
だれかが雪菜を呼んだ。その声の主を探すとすぐに見つかった。
「南宮先生。なにがあったんですか!」
雪菜はすぐに那月のもとに向かい問うた。
「あれを見ろ」
そういうと那月は人だかりの中央を見る用の促した。雪菜がそれをみるとステラともう一人が一触即発状態にあった。
「まったく、最近の生徒は血の気が多くて敵わん」
「あの、止めないんですか?」
雪菜が聞くと那月は開いていた扇子を閉じて雪菜を睨んだ。
「なぜ、私がこの程度のことで動かねばならん」
その声から不機嫌なことがうかがえた。雪菜はそこでため息をした。
「なんなら、お前が止めろ。姫柊雪菜」
「っ・・・・・・。ですがそれでは校則に反することになります」
「いや、私が許可しよう」
雪菜はその声がした方向をむいたそこには破軍学園の理事長である黒乃がいた。
「私からも頼む。あいつらを止めてくれ」
黒乃の言葉の後、雪菜は再びため息をした。
「あの二人を無力化すればいいんですね?」
「ああ。得意だろ」
那月は笑みを浮かべて答えると、雪菜は凪沙に向きなおした。
「大丈夫?」
「多分大丈夫だよ」
凪沙が珍しく不安げな顔つきになっており、雪菜はその不安をやわらげようと笑みを浮かべて答えた。
「ふっ‼」
雪菜は人壁を超えるように大きく跳躍して、
「来てください、〈雪霞狼〉」
手に銀色の槍を顕現させた。
「「殺すっ!!!」」
と発言して魔力によって異能を出す二人の間に割り込み、着地と同時に〈雪霞狼〉の穂先を地面につけた。その瞬間、二人の放っていた異能は消え去った
「ここは
怒った口調で雪菜は二人に言いはなった。
というわけで今回は凪沙を出しました。いやー、凪沙って書きやすいですね。(おいっ!)
いや、失礼しました。そして凪沙が言っていたこの子とは誰でしょうか。(絶対みんな分かっているでしょう?)
今回も読んでくださってありがとうございます。