週末になり、古城と雪菜は凪沙に連れられて近くのショッピングモールに来ていた。
「いやあ、ショッピングモールなんて久しぶりに来たよ」
「だろうな。お前はここ数か月入院していたし」
凪沙は嬉々としたように声を出した。対する古城はそれを見て呆れながら付き添い、雪菜もその横で微笑んでいた。
「それにしても凪沙ちゃんが走れるようになるまで回復してよかったです」
「だよね、雪菜ちゃん。やっぱり自分の足で走るっていいよね」
「う、うん」
凪沙が雪菜の手を取って熱弁すると雪菜は戸惑いながらも頷いた。
「じゃあ、最初はどこに行こうか? やっぱり服かな? 私、しばらく服を買ってないから新しい物が欲しいんだけど雪菜ちゃんは?」
「わ、私はいいかな。だけど凪沙ちゃんが欲しいのなら手伝うよ」
「え、手伝ってくれるの? ありがとう。じゃあ、あそこに行こうよ」
そういうと凪沙は雪菜の腕を引っ張って近くの女性服売り場に走り出した。雪菜は少しバランスを崩しながらも倒れないようについて行った。古城はその様子を見てため息を吐き、近くのベンチに座った。
「まったく、騒がしいのはそのままだな」
古城は少し頬を上げ俯いた。その声には少しだけ嬉しさが宿っていた。あんな妹でも入院した時は驚いたし心配した。古城は何やかんや言いながら少しシスコンなのだ。
「まあ、元気って証拠だな」
古城は顔を戻して上を向いた。
「・・・・・・。お前も元気なんだな。アヴローラ」
古城がある力を手に入れてもうすぐ一年になる。その力はある少女から譲り受けたもの。その少女の名がアヴローラ・フロレスティーナという。彼女の肉体は消滅したが、なぜか。・・・・いや、必然的に凪沙の能力によって彼女の肉体と同居している状態になっている。凪沙が入院した原因は凪沙とアヴローラとの間のバランスが一時的に崩れたからだったりする。しかしあそこまで回復したのだ。もう大丈夫なのだろうと古城は感じていた。古城がそんなことを考えている間に結構な時間がたったらしく凪沙達が戻ってきた。
「あ、いたいた。古城君」
凪沙が古城を見つけ手を振った。雪菜も古城のいる方を向いた。
「もう、探したよ」
「探すほど離れてないだろ」
「えー、だって急にいなくなるし。ねえ、雪菜ちゃん?」
凪沙が雪菜に同意を求めると雪菜は困惑したような表情をした。
「いや、その。私たちが先に行ってしまっただけで」
「雪菜ちゃんは古城君の味方なの?」
「そ、そうじゃなくて。私たちも悪いかなって」
雪菜の言葉に凪沙は顔を含ませた。それを見た雪菜は慌てて凪沙を宥めようと心みようとしたがすぐにそれは必要なくなった。
「そうだよね。うん。古城君、ごめんね」
その言葉に雪菜は息をついて安心した。
「別にいいんだが。そろそろ昼飯の時間だろ。腹減ってしょうがない」
「なら、ここのフードコートでいいよね?」
そういって凪沙はその方向に向かっていった。
「ったく、言った傍からあれとか。絶対反省してないだろ」
「そうですね、凪沙ちゃんですから」
「それもそうだな」
二人も凪沙を追ってその方向に歩いて行った。
「もお、またいなくなって。びっくりしたよ」
「それはこっちが言いてえよ」
三人は席に座ってそれぞれ頼んだものを食していた。
「あ、雪菜ちゃんの肉じゃがおいしそう。私のカルボナーラあげるから少し頂戴」
「おい、凪沙。姫柊に悪いだろ」
「いえ、いいんですよ先輩。はい」
雪菜は余っているさらに自分の肉じゃがを分け、それを渡した。
「ありがと、雪菜ちゃん。私もこれあげる」
そういうと凪沙は皿ごと雪菜に近づけ、スプーンとフォークを渡した。雪菜はそれを「ありがとう」と言って受ってカルボナーラをうまいを上手い具合に巻き付けて口に入れた。
「お、おいしい」
雪菜は少し驚いたような笑みを作った。
「ううん。こっちもおいしいね」
「ったく、凪沙は姫柊に感謝しろよ」
古城は凪沙にそういうと彼女は顔を顰めた。
「古城君に言われなくても感謝してるもんね」
最後に舌を「べー」っとされた。古城はイラッとしたのか「やろー」と言いながら拳を作ったが妹を殴るわけにはいかず、そこで押しとどめた。
「あの、先輩。私は気にしていませんから」
古城の様子に気づいた雪菜は古城を宥めた。
「雪菜ちゃんはすごく優しいね。少しは見習ってよ古城君」
「なんで俺が悪いみたいになってんだよ。おかしいだろ」
少し大きい声を出しながら古城は立ち上がった。
「あの、先輩。ここは公共な所なので少し声を控えてください」
雪菜が指を口に当て小さい声で伝えた。古城はそれをみて一度周りを見渡して声を出して笑いながらゆっくり座った。
「古城君」
「ああ、今回は悪かったよ」
そういうと古城は自分の前にあるハンバーガーにがっついた。
「せ、先輩」
「なんだ、姫柊」
「頑張ってください」
その言葉で古城は机にひれ伏した。
「もうそろそろ帰るか」
「そうですね。もう夕方になりますし。凪沙ちゃん?」
雪菜は凪沙のほうを向くと彼女はなにやら震えている。それに気づいた雪菜は彼女に近づいた。
「どうしたの?」
「・・・・・・・。だめ。危ない」
その言葉と共に近くで銃声が聞こえた。古城と雪菜はその方向を見ると数人の武装した人物がいた。
「動くな。われわれは〈解放軍〉である。しばらくの間君たちの命は我々が握っているものとおもえ」
凪沙はその場で蹲ってしまって動かなかった。雪菜は何もすることができないことを悔やみながら〈解放軍〉がいる方を見つめた。古城も苦い顔をしながら呟いた。
「勘弁してくれ」
三人は自分たちが〈伐刀者〉とばれない様に集められていた人々に混じっていた。凪沙はまだ震えが止まっておらず両肩を抱えていた。
「大丈夫です。凪沙ちゃんは私と先輩が守りますから」
「ゆ、きなちゃん?」
雪菜が優しい声でそういうと凪沙は雪菜に身を任せて目をつぶった。
「落ち着いたか?」
「はい。そのようですね」
「で、姫柊はこの状況でどうする」
古城の問いかけに雪菜は苦い顔をした。
「さすがに人が多いですね。私一人では制圧は厳しいと思いますよ」
「姫柊でもそうなのか」
古城はそういうと雪菜は黙って頷いた。
「それにこの状況で私たちが〈伐刀者〉というのがばれるとこの場を危険にしてしまうかもしれませんしね」
「それもそうか。・・・・・・・おい」
古城が雪菜にその方向を見るように促した。すると〈解放軍〉の一人が子供に銃を向けている。
「先輩。あの子を助けたいんですね?」
雪菜は古城が立ち上がって向かおうとしていると気づいた。
「止めるな、姫柊。俺はあの子を助ける。たとえどんなに状況が悪くなっても俺はあの子を助けなきゃならない」
その声には焦燥が混じっており、状況が刻一刻と悪くなっていることがうかがえた。
「止めませんよ。あの子を助けたいのは私も一緒ですから。ですが今回は私に任せてください」
「姫柊」
雪菜の声で古城は頭が冷えたのか雪菜を見た。
「大丈夫ですよ。私はこの時の為にいるようなものですから。それでは」
そういって雪菜は跳躍して銃を突き付けている人物を蹴り飛ばし、民衆がいるところから少し離れた。
「子供に銃を突きつけるなんて非道なことをよくできますね」
「誰だ。お前は」
仲間が蹴り飛ばされたことで〈解放軍〉が雪菜の周りを取り囲んだ。
「高神の巫女といえばわかりますか」
「知るか。死ね。」
その言葉と共に雪菜に一斉射撃が浴びせられた。しかし雪菜には傷一つつかなかった。
「な、なんだよこいつは」
「当たらねーなんてことは無いのに。なんで当たらねーんだよ」
さまざまなことを言っている彼らに雪菜はその一人に走って近づき、顎に掌底食らわして吹っ飛ばした。雪菜はその隣にいた人物の顔面に蹴りを食らわし、反対の方向で銃を撃ち続けていた三人へ走った。
「く、来るな」
「こっちに来るなよ」
二人はどうやっても当たらない雪菜に恐怖を抱いていた。それでも雪菜は彼らに近づき、一人は腹部への掌底。二人目には踵落とし。三人目には顎と腹部へのどうじ攻撃で三人を無効かした。
「ゆ、ゆきな。なの」
集められた人たちがいる方向から知っている声がしたので振り返るとそこにはステラがいた。
「あ、ステラさん。お疲れ様です。私が対応できない人たちを無力化してくださりありがとうございます」
雪菜はそういうとお辞儀をした。ステラはそれを見て困惑した。
「あなた、すごいのは知っていたけど。これはやりすぎだと思うけど」
「すいません。でも殺してはませんし、この後しゃべれる程度で倒したと思うんですが」
ダメでしたかと聞いてきた。その程度の加減はしたという雪菜の言葉にステラは彼女の戦闘能力の高さを思い知らされた。
「まあ、いいわ。だけど私が活躍しようとしたのを邪魔したのはいただけないわね。せっかく一輝に私の勇姿を見せられると思ったのに」
「す、すいません」
雪菜は再び謝った。しかし次の瞬間ある方向を見つめた。
「ステラさん。油断しないでください」
ステラにそういうとステラも気づいたようでその方向を見つめた。
「何か騒がしいと思って来てみれば案の定。ここに〈伐刀者〉がいた」
メガネをかけた青年が出てきた。彼は両手を広げた。
「私はビショウと申します。初めましてステラ・ヴァ―ミリオンさま」
彼はそういうと怪しくメガネを光らせた。
それぞれのキャラが若干キャラ崩壊してすいません。というかビショウとかどういうキャラか忘れ・・ごっほ、ごっほ。いえ、なんでもありません。というかお気に入りをいままで気にしていなかったらいつの間にか93件もいただでけるなんて。正直うれしいです。これからもなるべくキャラ崩壊させないようにがんばります。