やとこさ完成。
あまり変わってない。
「全く、私が入部してあげるって言ってあげてるんだからさっさと入部させなさいよね。」
「何を偉そうに言ってるんだてめぇ、普通下手に出るだろ。バカかお前は。」
とりあえずは中に迎えてくれた黒髪の少女。少女っていっても同じ年なんだが、いいだろ、うん。いや、やっぱ女子にしようそうしよう。
既に中に居たのは先程もいった黒髪の女子、それに目付きが悪い金髪に染め損ねたような髪をした男子。よくよく見ればコイツもどこかで見たような記憶があるな。
「とにかく、入部は認めよう。それでそっちの男子、足は平気か?」
俺の足を思いっきり挟んだのには流石に罪悪感があるらしい。気にしないほうが人間としてどうなのかと思うが。俺は片手をひらひらとさせて大丈夫だという合図を出した。
「まぁこうして部員が増えたんだ、いいことじゃないかなぁ夜空。」
染め損ねた・・・鬱陶しい、もう男子でいいや。がそう場の雰囲気を明るくしようと話しかけた。コイツ見た目の割には空気読めるんだなぁ~とか関心する。
「そうだな、これで早くも部員が4名。順調だな“小鷹”。」
「小鷹、だと?」
夜空と呼ばれた女子が男子に向かってそう呼んだ。呼んだ名前が俺の頭を強く叩いた。ように思ってしまったのは勘違いではないはず。
「お、おう。俺の名前は小鷹、羽瀬川小鷹っていうんだ。」
改めて自己紹介しようと思ってたのかすんなりと名前を教えてくれた。同じ部員で名前が知りませんでした~とか残念というか寂しいことこの上ないけどな。
だがそんなことはどうでもいい。コイツの名前が小鷹、それが分かっただけでも十二分な収穫はあった。
羽瀬川小鷹。
小学生の頃、俺の友達だと思っていたやつが同じ学園にいるなんてな。
だが小鷹は俺に気付いてないのか、よろしくといって右手を差し出してきた。
え、やだこの子。握手とかするつもり?今時ないわ~ありえないわ~。
だが俺は空気の読める男。その差し出された右手をパシッと左手で弾いた。
「え・・・?」
「・・・・・・・・・。」
「ちょ、何やってんのよ。」
上から順に小鷹、夜空、星奈という順番になっていますよ。
まぁ普通ならここは爽やかにこっちこそよろしくな!とか言って握手をすればこの瞬間友達になれそう!というステップは大人の階段上る~くらいにアップすることには変わりない。でも。
友達だと思っていたヤツと、今更握手なんて出来るわけがない。
約束を、子供の頃お前を信じて遅くまで待っていた純粋な気持ちを踏み躙ったお前なんかと。
「貴様と握手する気なんて全く無い。大切な約束を破り、今もこうして思い出せない貴様と。」
小鷹に対し、怒りしか湧き上がってこない。小鷹を射抜くように睨む俺。肩を揺らし驚く小鷹。その小鷹と俺を交互に見て心配そうにする夜空。この空気がどういうものか理解しかねる星奈。
「なんなんだよ、いったい。」
俺の対応に怒りを覚えたのか眉間に皺を寄せて睨み返す小鷹。だが、そんな濁った眼をしてるお前なんて、俺は見たくなかった。これは俺の勝手な理想だったが。所詮理想は理想でしかなかったということだ。
「・・・黙ってろ、“タカ”。」
タカと聞いて体が跳ねた、そしてなぜか冷静さが欠けた夜空。驚きと、どうして知っているんだという表情の小鷹。ついでに俺を指差すんじゃねー。
「な、なんで、知って!」
それ以上の言葉が見つからない。それが一番しっくりくるだろう。小鷹は俺を指差しながらそう言った。だから指差すんじゃねーよ。
「・・・小学生の時、お前と一緒になって遊んでいたんだよ。“友達”としてな。」
そう、あの日もまた遊ぼうという約束で俺はずっと待っていたんだ。あの約束の公園で、ずっと・・・ずっと、待ってたのに!
「名前を聞けば思い出すのか? 川崎龍司。初めて見たお前を殴った男だよ。」
その言葉を聞いた小鷹は思い出したのか、あっと声を上げた。
「お前、龍司、なのか?」
「今名前教えただろ、何言ってんだてめぇ。」
思い出してくれた、名前を聞いただけで。それだけで怒りより、嬉しさが上回るのはコイツも少なくともは記憶に覚えがあったから。名前を聞いただけで、過去にあった人なんて思い出せないなんてことはよくある話だ。俺自身見覚えがないこともないからな。
それを聞いた夜空や星奈は驚きの表情をしてる。こいつ等もおもしれー顔になるなーとか思ったり。
「貴様、過去の小鷹を知っている、というのか?」
「過去の、とはまぁありきだが、幼い時期一緒に遊んだことがある。ただそれだけだ。」
それしか言う事、それしか言う事がない。だが、その言葉はいろんなものの波乱を呼ぶことになる。それは・・・。
「そうか、そうだったのか。」
何かを考える仕草をする夜空。
「小鷹と、龍司が、友達だった・・・。」
そう呟いた、悲しげな表情の星奈の二人だった。
ややこしいけど幼少期のころが一番楽しい記憶