軍師の心、王知らず   作:御子柴

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続けてみた。


二話目

 

 

朝の目覚め方というのは日によってまちまちである。

 

気持ちよく目覚める日もあれば、体が重く頭がもやもやした状態で一日が始まることもある。

 

では問題、デデン!!

 

”今日の北郷一刀の目覚めは如何でしょうか”

 

尚、目の前には昨日途中退室したはずの美少女軍師様が、穏やかな表情で眠っているものとする。

 

アイエエエエ!?

 

ナンデ!?

 

軍師様ナンデイルノ!?

 

……お、2番のあなた早かった。

 

何だって?ふむふむ……リア充爆発しろ?

 

痛い、石を投げるな石を!!

 

----てな具合に現実逃避をすること暫し、多少は頭も冷静になってくるというもの。

 

何?その下半身はどうしただって?

 

違う!!

 

これは男の生理現象だ!!

 

決して疚しい気持ちなどない!!

 

”下は大火事、上は冷静これなーんだ?”

 

はい、閉店ガラガラ。

 

そろそろ現実に向き合おう。

 

取り敢えず、こっそりと寝台を抜け出して部屋を後にする。

 

え、なんだって?

 

朝の目覚めはどうだったか?

 

-----勿論、この世界に来て以来、二番目に刺激的だったよ。

 

 

 

 

 

性は北、名は郷、字は一刀。

 

ついでに言うと真名も一刀。

 

と、いうことになっている、この世界では。

 

朝目が覚めるとあら不思議、そこは雪国だった。

 

ほ、ほたるぅ……、てのは冗談だが、ある意味では冗談であって欲しかった。

 

雪国ではなく只管に続く荒野は、もはやそこが自分の知る世界ではないであろうことを示していた。

 

暫く呆然と佇んでいると、偶然通り掛かった袁紹軍を名乗る将兵たちに拘束され、地下牢へドーン。

 

虫怖いよー、気持ち悪いよー、なんて涙ながらに訴えていたら、兵に同情を買われ、気が付くと謁見の間に立たされていた。

 

どうやら服装や見た目があまりに賊などとは懸け離れていたため、申し開きの機会を得ることができたらしい。

 

やったぜ、やっぱり日頃の行いは大事だったんだ。

 

ありがとうお爺ちゃん。

 

人に優しく自分に厳しく、ここテストに出るよー。

 

人生のテストね!!

 

とは言ったものの、ここで下手を打てば地下牢へ逆戻りどころか、後ろに控えている兵に切り殺されかねない。

 

あまりに現実味のない話だが、後ろに剣やら槍やらを突き付けられれば、もはや認めざるを得ない。

 

ここはもうあれしかあるまいて。

 

そう、ジャパニーズ精神。

 

DOGEZA!!!

 

土下座である。

 

お願いします、何でもします、殺さないでください。

 

俺のあまりの勢いに呑まれたのか、袁紹様と思われる人物は俺を文官として雇ってくれた。

 

後に彼女はこう語る。

 

なぜあの時、北郷一刀を雇い入れたのか。

 

「面白そうだったからですわ」

 

 

 

 

 

 

文官として働き始めた当初は、それはもう仕事をバリバリこなしていける……訳もなく。

 

まずは文字が読めない。

 

文化も、歴史も、慣習や、通貨、何もかもが分からない。

 

唯一、救いだったことは言葉が通じたことであろう。

 

これが無ければ本当に、どうなっていたか分からない。

 

毎日、来る日も来る日も竹簡を運び、書物を借りてきて手の空いた同僚に文字を教えて貰った。

 

この時代、使われているのは漢字なのだが如何せん達筆すぎて読めない。

 

もうミミズがのた打ち回っているかのような書物をスラスラと読み上げる彼らはまさに外国人。

 

いやまぁ、実際外国人なのだが。

 

そうして寝る間も惜しんで働くというか、生きるために努力し続けること一か月。

 

因みにこの世界にカレンダーなんてものはないので、自分で日付表を作ってみた。

 

月月火水木金金

 

大三国志帝国の七曜表は月月火水木金金だ!!

 

痛い!!

 

酷いや、指を木づちで叩くなんて!!

 

親父にも殴られたことないのに!!

 

なんてことはなく、袁紹軍の人たちは普通に休みを取らせてくれた。

 

まぁ、お世話になりっ放しというのは居た堪れないので、休みなど関係なく書物を読んで読み書きの勉強は続けていた。

 

すると何という事でしょう。

 

あれだけ右も左も分からなかった一刀君が、文字の読み書きがたどたどしくもできるようになっているではありませんか。

 

人間、死ぬ気で頑張れば何とかなるものである。

 

そしてなんと、一か月間読み書きの勉強をしていただけの俺に、袁紹様はお給金まで支払ってくれたのだ。

 

「袁紹様、袁紹様。私は未だ政務に携わることはなく、読み書きに励んでいただけの身で御座います。

命を助けて頂いたどころか、衣食住まで提供して頂いている立場で、この上お給金などを貰うのは-----」

 

「構いませんわ。文官からも貴方のお陰で政務が捗っていると報告が上がっています。

その調子で励みなさい。オーホッホッホッホ!!!」

 

なんて高笑いと共に去って行ったウチの御殿様は、とても器の大きい人だなと思いました。(マル)

 

流石は三公を輩出したあの名家、袁家である。

 

そうして文字も読めるようになってきた頃だっただろうか。

 

この袁紹軍の最高軍師様である田豊と出会ったのは。

 

 

 

 

 

 

 




人物紹介しきれんかった、すまぬぅ。
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